ハツコイアザミ
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自室へと連れ帰り、意識のない結衣を寝台へと寝かせ傍らに腰を下ろすと、横たわる美しい肢体を観察する。
それもありふれた美しさではなく、精彩な透明感を放つような、異様な生気を感じられる美しさだ。忍装束に身を固めていても、そのしなやかな肢体は隠しようもなく、眼を奪われて当然かもしれない。
数年前、雛鳥のように自分の背後を付いて回っていた少女は、美しく艶やかに、芸術というなら極上の女へと育った。特殊な才能を秘めた少女を自分好みに育て、最良の時期に傀儡に仕立て上げるのも悪くないなどと考え、従順な部下の一人として側に置いていた。しかし、この得難い宝石に対して、単純に良質な素材を欲しているという程度の興味本位の欲求でなく、今見下ろしているこの黒装束に包まれたその下の肌を晒してみたいという衝動。何時しか唾棄した筈の己の其れに違和感を覚えている。
此方に背を向け横臥し眠る身体の、肩から腰骨に掛けてのなだらかな曲線に指先を滑らせる。結衣はその感触にみじろぐと、吐息を吐き、寝返りを打ったと同時に瑠璃色の瞳を僅かに開かせた。
彼女の身を案じてか、まだ血の気の弱い主 の指先に止まる口寄せの蝶。気紛れに手を伸ばしてみると此方の指先へ移り止まり、蒼い羽が仄かな月明かりを受けて、七色へと変化する様を楽しみ乍問う。
「...死ななかったか...それにしてもあれくらいで気を失うとは…弱くなったか?結衣。」
...申し訳ありません、と弱々しく呟くと伏せられた長い睫毛が頬に影を落とす。
「お側を離れて...里に戻ったときから...
自分の能力を飼い殺していたのでしょう...」
「...お前の力も、能力も買っていたんだがな。
その才、腐らせるくらいならさっさと俺の物にして仕舞えばよかったか…いや、この身体は時が必要だったな。」
指先に懐く蝶のゆるやかに動く羽は星の瞬きのように美しく、蝶の留まる指先を静かに動かすとその空気の移動に驚いたか、ふわりと舞い飛ぶ蝶に、もう意識は向けておらず。相手の苦悩の滲む声に対して目を細め、伸ばしていた手で頬を撫でて唇へと滑らせる。
結衣の中に見え隠れする狂おしい程の苦悩、欲望、恋情...といった感情の渦には気付いていた。精霊の如く清廉な少女の、憂いを含み翳る表情は更なる優美さを掻き立て。苦悩を滲ませる声に、もっと近くで表情を見てやりたい、と上体を伸し掛ければあからさまに視線を逸らして頬を染める。遂には内に秘めた感情を曝け出させてやりたい、そうしてこの美しい顔が歪む様子を堪能するのも悪くない、と加虐心がふつふつと湧き上がる。
頬を撫でていた手を首筋まで滑らせると、首に触れた指に軽く力を込めれば気道を塞ぐほどではなくとも息苦しさを与えられるであろう、逸らされた視線を咎める事はせずに耳元へと口を寄せ、柔らかな声で囁く。
「...結衣。強さを放棄し、姿を消すほどに俺の寵愛が欲しかったのか?」
「ん...そ、んな...サソリ様...どうか...お許しください...」
瞬間乱れた呼吸はすぐに甘やかに震え、苦悩や悲愴を抱きながらも甘露でも含んでいるかの様な表情は過去に見たことの無い、蕾が艶やかに花開いたのだと感じさせるものだ。無意識のうちにドクドク、と核が脈打つのを如実に感じる。寝台に膝を乗せて上から覆い被さるように顔を近づけ、更に追い詰めるように続ければ、遂に艶やかな瑠璃色がぼう、と縁を滲ませ一筋の雫が頬を伝った。
「...何に許しを乞う?自分の口で言ってみろ。」
「それは......ッ...ただ、叶わぬ苦しみから...逃れたいがため...いっそ、傀儡にされて、ずっと...お側に置かれたいなどと...身勝手な事ばかりを考えておりました...」
一筋流れ落ちれば、後を付いて長い睫毛の間から露が頬を伝い流れて落ちる。
潤む瞳はまるで満月の夜に満ちた海のように鮮やかに融け、涙が頬を濡らしては次から次へと溢れる其れが、彼女の殺そうとしても心の奥で膨らみ続けた想いなのだろうと眺める。甘さと苦さ、蕩けるような熱と冷えた悲しみを感じれば、その相反する思いを抱く眼差しが一際美しい、と歪んだ感情が益々膨らんでいく。
気道を軽く塞がれている為か、溢れ出す恋慕の情か、桜色を過ぎて薔薇色に色付く肌。その表情は、大人になった顔立ちの中で未だ少女の如く無垢さを残し、掻き乱してやりたくなり堪らない。
「ククッ...くだらねぇな。その血の様に濁ったぐちゃぐちゃの中身を俺に隠せていたつもりか。」
「.......ッ...」
「今俺は機嫌が良い...お前が洗いざらい吐いて、求めるというなら...与えてやっても良いぞ。」
甘やかな声音と共にやんわりと耳朶に噛み付けば、小さな身体がピクンと震え、雫が弾けた。
「......っ...サソリ様...
...好き...」
囁やかな声が漏れ、その音が紡いだ言葉に対する褒美のように、そのまま顔を下げれば唇が触れ合う。
それもありふれた美しさではなく、精彩な透明感を放つような、異様な生気を感じられる美しさだ。忍装束に身を固めていても、そのしなやかな肢体は隠しようもなく、眼を奪われて当然かもしれない。
数年前、雛鳥のように自分の背後を付いて回っていた少女は、美しく艶やかに、芸術というなら極上の女へと育った。特殊な才能を秘めた少女を自分好みに育て、最良の時期に傀儡に仕立て上げるのも悪くないなどと考え、従順な部下の一人として側に置いていた。しかし、この得難い宝石に対して、単純に良質な素材を欲しているという程度の興味本位の欲求でなく、今見下ろしているこの黒装束に包まれたその下の肌を晒してみたいという衝動。何時しか唾棄した筈の己の其れに違和感を覚えている。
此方に背を向け横臥し眠る身体の、肩から腰骨に掛けてのなだらかな曲線に指先を滑らせる。結衣はその感触にみじろぐと、吐息を吐き、寝返りを打ったと同時に瑠璃色の瞳を僅かに開かせた。
彼女の身を案じてか、まだ血の気の弱い
「...死ななかったか...それにしてもあれくらいで気を失うとは…弱くなったか?結衣。」
...申し訳ありません、と弱々しく呟くと伏せられた長い睫毛が頬に影を落とす。
「お側を離れて...里に戻ったときから...
自分の能力を飼い殺していたのでしょう...」
「...お前の力も、能力も買っていたんだがな。
その才、腐らせるくらいならさっさと俺の物にして仕舞えばよかったか…いや、この身体は時が必要だったな。」
指先に懐く蝶のゆるやかに動く羽は星の瞬きのように美しく、蝶の留まる指先を静かに動かすとその空気の移動に驚いたか、ふわりと舞い飛ぶ蝶に、もう意識は向けておらず。相手の苦悩の滲む声に対して目を細め、伸ばしていた手で頬を撫でて唇へと滑らせる。
結衣の中に見え隠れする狂おしい程の苦悩、欲望、恋情...といった感情の渦には気付いていた。精霊の如く清廉な少女の、憂いを含み翳る表情は更なる優美さを掻き立て。苦悩を滲ませる声に、もっと近くで表情を見てやりたい、と上体を伸し掛ければあからさまに視線を逸らして頬を染める。遂には内に秘めた感情を曝け出させてやりたい、そうしてこの美しい顔が歪む様子を堪能するのも悪くない、と加虐心がふつふつと湧き上がる。
頬を撫でていた手を首筋まで滑らせると、首に触れた指に軽く力を込めれば気道を塞ぐほどではなくとも息苦しさを与えられるであろう、逸らされた視線を咎める事はせずに耳元へと口を寄せ、柔らかな声で囁く。
「...結衣。強さを放棄し、姿を消すほどに俺の寵愛が欲しかったのか?」
「ん...そ、んな...サソリ様...どうか...お許しください...」
瞬間乱れた呼吸はすぐに甘やかに震え、苦悩や悲愴を抱きながらも甘露でも含んでいるかの様な表情は過去に見たことの無い、蕾が艶やかに花開いたのだと感じさせるものだ。無意識のうちにドクドク、と核が脈打つのを如実に感じる。寝台に膝を乗せて上から覆い被さるように顔を近づけ、更に追い詰めるように続ければ、遂に艶やかな瑠璃色がぼう、と縁を滲ませ一筋の雫が頬を伝った。
「...何に許しを乞う?自分の口で言ってみろ。」
「それは......ッ...ただ、叶わぬ苦しみから...逃れたいがため...いっそ、傀儡にされて、ずっと...お側に置かれたいなどと...身勝手な事ばかりを考えておりました...」
一筋流れ落ちれば、後を付いて長い睫毛の間から露が頬を伝い流れて落ちる。
潤む瞳はまるで満月の夜に満ちた海のように鮮やかに融け、涙が頬を濡らしては次から次へと溢れる其れが、彼女の殺そうとしても心の奥で膨らみ続けた想いなのだろうと眺める。甘さと苦さ、蕩けるような熱と冷えた悲しみを感じれば、その相反する思いを抱く眼差しが一際美しい、と歪んだ感情が益々膨らんでいく。
気道を軽く塞がれている為か、溢れ出す恋慕の情か、桜色を過ぎて薔薇色に色付く肌。その表情は、大人になった顔立ちの中で未だ少女の如く無垢さを残し、掻き乱してやりたくなり堪らない。
「ククッ...くだらねぇな。その血の様に濁ったぐちゃぐちゃの中身を俺に隠せていたつもりか。」
「.......ッ...」
「今俺は機嫌が良い...お前が洗いざらい吐いて、求めるというなら...与えてやっても良いぞ。」
甘やかな声音と共にやんわりと耳朶に噛み付けば、小さな身体がピクンと震え、雫が弾けた。
「......っ...サソリ様...
...好き...」
囁やかな声が漏れ、その音が紡いだ言葉に対する褒美のように、そのまま顔を下げれば唇が触れ合う。