ハツコイアザミ
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月明かりが射す静かな部屋。
サソリは意識を失ったを寝台へ横たえ、その傍らに腰を下ろすと、しばし彼女を見つめていた。
忍装束に身を包んでいようと、そのしなやかな体躯は隠しようもない。
透けるように白い肌と引き締まった線。
数年前まで雛鳥のように自分の後をついていた少女が、今や一人の艶やかな女へと育っている。
――芸術と呼ぶなら、極上の一作だ。
当初は、才能ある素材として、いずれ己好みの傀儡に仕立てるつもりだった。
だが今、目の前にあるこの肉体に触れたいと思うこの衝動は、それだけではない。
「……くだらねェ。」
吐き捨てたのは、自分の中に燻るかつて否定したはずの欲。それでも、否応なく目を奪われていることに気づいていた。
寝台に横たわるの肩から腰にかけての柔らかな曲線に、指先がすべる。
その感触にの身体が小さく震え、寝返りを打った拍子に、ゆっくりと瑠璃色の瞳が開いた。
その瞳の端に、青く光る蝶が一羽。
サソリの指先に止まり、月明かりを受けてその羽が七色に瞬く。
「……死ななかったか。にしても、あれくらいで気を失うとはな。弱くなったな、。」
静かに呟いた言葉に、は伏せたまま長い睫毛を震わせ、か細い声で答える。
「……申し訳……ありません……」
「……お前、力を飼い殺しにしていたな。側を離れてから、腐るだけの日々だったか。」
「……はい……忍として、任務に従うだけの日々で……」
そう口にした声には、滲む悔いと痛み。
その色に、サソリは目を細め、手を伸ばす。
「お前の力も、その能力も、俺は高く買っていた。腐らせるくらいなら、いっそ早く俺のものにしておけばよかったな……いや。今の身体には、時間が必要だったか。」
指先に止まっていた蝶がふわりと舞い飛ぶ。
その羽ばたきを見送ることもせず、サソリは結衣の頬へと指を這わせ、そのまま唇に触れる。
「……」
唇が震える。
その動きに滲むのは、ただの戸惑いではない。
狂おしいほどの感情。
苦悩、欲望、恋情――それらすべてがの内に渦巻いていることに、サソリはとうに気づいていた。
憂いを含んだ彼女の瞳は、今や痛々しいほどに美しい。
「……強さを捨てて、姿を消してまで……俺の寵愛が欲しかったのか?」
低く囁く声が耳元に触れると同時に、喉元に指先がすべり込む。
軽く力を込めれば、苦しくなるほどではないにせよ、呼吸を妨げるには十分だった。
「……ん……そ、んな……サソリ様……どうか……お許しを……」
の声は震え、喉の奥で掠れる。
それでも唇の端には、抗えぬ甘さが滲んでいた。
まるで、解放を乞う花の蕾が、熱にほだされてほころんでいくように。
「……何に、許しを乞う?」
顔を寄せ、瑠璃色の瞳を見つめながら問えば、彼女は堪え切れず、ぽつりと漏らす。
「……ただ、叶わぬ想いが……辛くて……いっそ、傀儡になれたなら……ずっと、お側にいられると……身勝手な、ことばかりを……」
涙が一筋、頬をつたう。
長い睫毛の間から、こぼれ落ちる雫は途切れることなく零れ続けた。
それは、どれほど心を殺そうとしたかを物語っていた。
けれど、それでも殺しきれなかった想いが、今こうして溢れ出している。
サソリはその涙を眺めながら、微かに唇を吊り上げた。
「クク……くだらねェ。濁った中身を、隠し通せてたつもりか?」
は何も言い返せない。ただ、震える指先を握りしめるだけ。
「今、俺は機嫌がいい。全部吐いて、俺を求めるというなら……与えてやってもいい。」
低く甘い声音。
耳元にそっと噛みつけば、小さな身体がビクリと跳ね、頬に新たな雫が弾けた。
その震えとともに、震える唇から、掠れるような囁きが零れる。
「……っ……サソリ様……
……好き、です……」
その言葉を聞いた瞬間、サソリは何かの引き金が引かれたかのように、表情を変える。
そして、報いるように、そっと顔を近づけ――唇を重ねた。
その口づけには、主従を超えた何かが確かに宿っていた。
サソリは意識を失ったを寝台へ横たえ、その傍らに腰を下ろすと、しばし彼女を見つめていた。
忍装束に身を包んでいようと、そのしなやかな体躯は隠しようもない。
透けるように白い肌と引き締まった線。
数年前まで雛鳥のように自分の後をついていた少女が、今や一人の艶やかな女へと育っている。
――芸術と呼ぶなら、極上の一作だ。
当初は、才能ある素材として、いずれ己好みの傀儡に仕立てるつもりだった。
だが今、目の前にあるこの肉体に触れたいと思うこの衝動は、それだけではない。
「……くだらねェ。」
吐き捨てたのは、自分の中に燻るかつて否定したはずの欲。それでも、否応なく目を奪われていることに気づいていた。
寝台に横たわるの肩から腰にかけての柔らかな曲線に、指先がすべる。
その感触にの身体が小さく震え、寝返りを打った拍子に、ゆっくりと瑠璃色の瞳が開いた。
その瞳の端に、青く光る蝶が一羽。
サソリの指先に止まり、月明かりを受けてその羽が七色に瞬く。
「……死ななかったか。にしても、あれくらいで気を失うとはな。弱くなったな、。」
静かに呟いた言葉に、は伏せたまま長い睫毛を震わせ、か細い声で答える。
「……申し訳……ありません……」
「……お前、力を飼い殺しにしていたな。側を離れてから、腐るだけの日々だったか。」
「……はい……忍として、任務に従うだけの日々で……」
そう口にした声には、滲む悔いと痛み。
その色に、サソリは目を細め、手を伸ばす。
「お前の力も、その能力も、俺は高く買っていた。腐らせるくらいなら、いっそ早く俺のものにしておけばよかったな……いや。今の身体には、時間が必要だったか。」
指先に止まっていた蝶がふわりと舞い飛ぶ。
その羽ばたきを見送ることもせず、サソリは結衣の頬へと指を這わせ、そのまま唇に触れる。
「……」
唇が震える。
その動きに滲むのは、ただの戸惑いではない。
狂おしいほどの感情。
苦悩、欲望、恋情――それらすべてがの内に渦巻いていることに、サソリはとうに気づいていた。
憂いを含んだ彼女の瞳は、今や痛々しいほどに美しい。
「……強さを捨てて、姿を消してまで……俺の寵愛が欲しかったのか?」
低く囁く声が耳元に触れると同時に、喉元に指先がすべり込む。
軽く力を込めれば、苦しくなるほどではないにせよ、呼吸を妨げるには十分だった。
「……ん……そ、んな……サソリ様……どうか……お許しを……」
の声は震え、喉の奥で掠れる。
それでも唇の端には、抗えぬ甘さが滲んでいた。
まるで、解放を乞う花の蕾が、熱にほだされてほころんでいくように。
「……何に、許しを乞う?」
顔を寄せ、瑠璃色の瞳を見つめながら問えば、彼女は堪え切れず、ぽつりと漏らす。
「……ただ、叶わぬ想いが……辛くて……いっそ、傀儡になれたなら……ずっと、お側にいられると……身勝手な、ことばかりを……」
涙が一筋、頬をつたう。
長い睫毛の間から、こぼれ落ちる雫は途切れることなく零れ続けた。
それは、どれほど心を殺そうとしたかを物語っていた。
けれど、それでも殺しきれなかった想いが、今こうして溢れ出している。
サソリはその涙を眺めながら、微かに唇を吊り上げた。
「クク……くだらねェ。濁った中身を、隠し通せてたつもりか?」
は何も言い返せない。ただ、震える指先を握りしめるだけ。
「今、俺は機嫌がいい。全部吐いて、俺を求めるというなら……与えてやってもいい。」
低く甘い声音。
耳元にそっと噛みつけば、小さな身体がビクリと跳ね、頬に新たな雫が弾けた。
その震えとともに、震える唇から、掠れるような囁きが零れる。
「……っ……サソリ様……
……好き、です……」
その言葉を聞いた瞬間、サソリは何かの引き金が引かれたかのように、表情を変える。
そして、報いるように、そっと顔を近づけ――唇を重ねた。
その口づけには、主従を超えた何かが確かに宿っていた。