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FF7BC

◼︎志望動機



なぜタークスに入ろうと思ったのか。

つかの間の休憩時に挙がった話題。
スカウトされて、流れのままに、興味があったから…様々だった。
自分は、勧められたから、と曖昧に答えた。


“勧められたから”
決して嘘ではない。
たしかに勧められたことはキッカケになった。
でも、自分は希望してここにいる。


それは、ある日のこと。
クラスメイトと話をしている時に、誰かが「成績が良ければ、希望すれば総務部調査課も受けられるらしい」と言った。
「タークス、エリートばっかりだしいいんじゃない?」と同期から話を振られて、その場では曖昧に返事をしたが、課業を終えてひとりの時間になっても、頭の片隅でその言葉がくすぶり続けていた。

軍事学校に入って、良い成績をキープして、優秀者にしか受けられない選択課目を取り、ゆくゆくは軍の幹部になるんだと、そう思っていた。
考えたことのなかった進路に、少なからず衝撃を受けた。



「軍幹部じゃなくてタークスを選んだのは、なんでなんだ?」

休憩後、会議のために移動をしている最中、赤髪の先輩に聞かれた。

「え?」
「さっきの話の続きだぞ、と」

父親が軍事学校の教官で成績も優秀なやつが、こんな暗い仕事わざわざ選ばなくてもよくないか?という先輩に、思わずクスッと笑ってしまう。

「軍事学校で教官をしている父のこと、何かにつけて引き合いに出されるんです」

それを聞いた先輩は、少しバツが悪そうに頬をカリカリと掻く。

「あの人の娘ならばこれくらいできて当たり前、みたいな雰囲気というか。
とにかく、父の顔に泥を塗ることはしたくなくて必死でした。」

少し前までの自分の世界を思い出す。
饒舌になっている自分に気づくが、この先輩になら話してもいいかなと思う。

「父のこと、尊敬しています。
でも、軍幹部になるだろうと思っている父を、驚かせてみたいって思ってしまって。
…ちょっと遅くきた反抗期みたいな」

反抗期でタークスかよ!と笑う先輩。

「そして、軍よりももっともっと狭き門で、実力者の中で自分の技術を活かして、磨きたい。
天下に名を轟かせるレノさんたちとお仕事がしたくて、タークスの道を選びました。」

やる気はあるのでよろしくお願いします、と言いながらその場に立ち止まって敬礼をする。

「改まってなんだよ!」

いきなりの行動にビックリしたのか、先輩の声が少し裏返っていて面白い。

「まぁ、なんだその、わかってるから…がんばれ!」

ワシワシと頭を撫でられた。
突然のことに、今度はこちらが驚いてしまう。
でも、嫌ではない。

「ありがとうございます」

さっさと会議行くぞ、と言う先輩の背中に続きながら、撫でられた頭にそっと手を置く。

日々勉強だなあとしみじみと思う。
自分もタークスとして、不意をついた行動ができるようになろう、と心に誓った。
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