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FF7BC

◼︎塊


「レノ」
「なんだ、ルード」
「あれは、大丈夫なのか?」

ルードがルームミラーをちらりと見て、言う。
助手席のレノは、ルードが見たであろう物を確認すべく、体を後ろに向ける。
その視線の先、任務先への移動中の小型トラックの後部座席には、大きな毛布の塊があった。
その異様な光景にギョっとしつつ、レノは声をかける。

「…おーい、新人ちゃん」
「……はい」

もそもそと緩慢な動きで毛布の塊が動いて、金色の髪と白群の目の新人が顔を出す。

「なにやってんの?」
「…ちょっと、寒くて」

赤い頬、少し潤んだ瞳。

「体調悪い?」
「…なんで分かるんですか?」
「そりゃあ、伊達に仲間やってないぞ、と」

レノの言葉に、弱々しく「なるほど」と呟く。
どうやら、本当に体調不良なようだ。

「大丈夫か?」

ルードが、ルームミラー越しに聞く。

「寒くて暑くて関節という関節が痛いです…成長痛かもしれません」
「もう成長しないだろ」

冷静につっこみを入れる相棒に、レノは思わず笑う。

「おいルード。風邪ってポーションで治るのか?」
「…どうだろう」
「今からミッドガルに戻るわけにいかないしな…新人ちゃんポーションいるか?」
「…ご迷惑をおかけして、すみません」

弱々しい声で謝る新人。
少数精鋭のタークスゆえに、いつでも任務はギリギリの人数で組まれている。
そんな中で人手が減ることは、惜しい。
体調管理はしっかりして欲しいということは思うが、この新人は、それを怠るような人物ではない。
仕事に取り組む姿勢も、仕事のために体力作りに励んでいることも、よく知っている。

「まあしょうがないだろ、と。
気をつけてても体調不良はいきなり来るしなー。
とりあえずあっちに着くまでこれも着てろよ、と」

ジャケットを脱ぎ、座席から身を乗り出して、毛布から顔を出した新人の頭にバサリとかける。

「レノ」

ルードが、何か言いたげにレノに声をかける。

「だいじょーぶだぞ、と!
昨日クリーニングから返ってきたやつだ!」

「くさくねえよ!」と言うレノのことばに、弱々しく「洗濯物のいい匂いがします」という返事があった。
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