FF7BC
◼︎癖
「あら。あなたが食事をしているの、初めて見たわ」
「え?」
自分のデスクで昼食を摂っていると、亜麻色の長い髪を高い位置で結った同僚に、突然声をかけられた。
「たしかに!」
史上最年少でタークス入りした年下の先輩が、同僚の言葉に相槌を打つ。
「あなた、ちゃんと食べてる?」
「毎日、3食きちんと食べています」
食事は、いい仕事をするために大切なこと。
なのでどんなに忙しくても、抜かないように気をつけている。
「新人ちゃんは食べるのが異様に早いんだぞ、と」
斜め前の席で雑誌に目を落としたまま、赤髪の先輩が言う。
「なんで知ってるの、レノ」
「任務の帰りに飯食った時、5分で食い終わってた」
「5分!?」
自分と同じ量だったと付け加える先輩に、信じられない!と両頬に手を当てて言う同僚。
「だめよ、ちゃんとゆっくり噛んで食べないと!」
母かのように咀嚼する意義について語り出す先輩が、なんだか可愛らしい。
「わかってはいるんですが、癖で」
神羅軍事学校では、普通の学校にはない特殊な課業がある。
体育の授業で体操服に着替えるように、武器を扱う時にはそれなりの服装に着替えなければならない。
戦闘訓練で土まみれになったらシャワーを軽く浴びたいし、武器の整備も余裕をもってしたい。
しかし、女性はまだまだ少ない軍事学校では、女子に合わせるということはない。
自分の時間を作るためには自分で工夫をする必要があり、時間短縮が容易な食事の時間を削ると言うことに至る。
さらに、軍事学校では軍にそのまま入ることを想定して集団生活が基本なため、食事などは全て集団で行う。
自分が遅れれば、ほかのメンバーに迷惑がかかる。
その結果、食事スピードが早くなるのだ。
「軍事学校卒業生故に、ってことね。
まるでレールがあるみたいに異様にまっすぐ歩くのも、それが理由?」
ふーんと納得した表情を見せた先輩に、さらに質問されるが、自分が意識していないことについての質問だったので、「へ?」と間が抜けた声が出た。
「敬礼が異様に綺麗なのもきっとそうね」
同僚が、ニコニコ笑いながら言う。
「確かに異様に軍隊っぽい部分もあるが、お前ら、あんまり異様異様って連呼すんなよ。
かわいそうだぞ、と」
助け舟なのかなんなのか。
自分は普通にしてきたことがそんなに変わっていたなんて、なんだかすごく恥ずかしい。
耳が熱くなるのを感じながら、食べかけた昼食を、ゆっくりと咀嚼することを意識しながら、口に運んだ。
「あら。あなたが食事をしているの、初めて見たわ」
「え?」
自分のデスクで昼食を摂っていると、亜麻色の長い髪を高い位置で結った同僚に、突然声をかけられた。
「たしかに!」
史上最年少でタークス入りした年下の先輩が、同僚の言葉に相槌を打つ。
「あなた、ちゃんと食べてる?」
「毎日、3食きちんと食べています」
食事は、いい仕事をするために大切なこと。
なのでどんなに忙しくても、抜かないように気をつけている。
「新人ちゃんは食べるのが異様に早いんだぞ、と」
斜め前の席で雑誌に目を落としたまま、赤髪の先輩が言う。
「なんで知ってるの、レノ」
「任務の帰りに飯食った時、5分で食い終わってた」
「5分!?」
自分と同じ量だったと付け加える先輩に、信じられない!と両頬に手を当てて言う同僚。
「だめよ、ちゃんとゆっくり噛んで食べないと!」
母かのように咀嚼する意義について語り出す先輩が、なんだか可愛らしい。
「わかってはいるんですが、癖で」
神羅軍事学校では、普通の学校にはない特殊な課業がある。
体育の授業で体操服に着替えるように、武器を扱う時にはそれなりの服装に着替えなければならない。
戦闘訓練で土まみれになったらシャワーを軽く浴びたいし、武器の整備も余裕をもってしたい。
しかし、女性はまだまだ少ない軍事学校では、女子に合わせるということはない。
自分の時間を作るためには自分で工夫をする必要があり、時間短縮が容易な食事の時間を削ると言うことに至る。
さらに、軍事学校では軍にそのまま入ることを想定して集団生活が基本なため、食事などは全て集団で行う。
自分が遅れれば、ほかのメンバーに迷惑がかかる。
その結果、食事スピードが早くなるのだ。
「軍事学校卒業生故に、ってことね。
まるでレールがあるみたいに異様にまっすぐ歩くのも、それが理由?」
ふーんと納得した表情を見せた先輩に、さらに質問されるが、自分が意識していないことについての質問だったので、「へ?」と間が抜けた声が出た。
「敬礼が異様に綺麗なのもきっとそうね」
同僚が、ニコニコ笑いながら言う。
「確かに異様に軍隊っぽい部分もあるが、お前ら、あんまり異様異様って連呼すんなよ。
かわいそうだぞ、と」
助け舟なのかなんなのか。
自分は普通にしてきたことがそんなに変わっていたなんて、なんだかすごく恥ずかしい。
耳が熱くなるのを感じながら、食べかけた昼食を、ゆっくりと咀嚼することを意識しながら、口に運んだ。