Monochrome

あらすじ


今日も変わらず学校へ行く。
うまく動かせない右足を引きずりながら、横断歩道に差し掛かった時、ふと人生の意味を考えてしまった。

──今後何を目標に、わたしは生きていけば良いのだろう。

そんな真綿のような痛みに浸っていると、すぐ近くから大きなブレーキ音が聞こえてきた。
と同時に、誰かがわたしの体を引っ張る。

クラクションと、人の騒ぐ声。シャッターの音。
地面に打ちつけられたのも、手が砂利まみれなのも、気にならなかった。私を覆うように、抱きしめてくれる人がそこにいた。

「怪我はないですか?」

腕から血を流しながら、その人は言った。

そのときわたしの、人生の意味を見つけた。

登場人物


伊勢翔平いせしょうへい
工事現場で働きながら通信制高校に通う、19歳の青年。
物腰柔らかで、誰に対しても敬語で話す。他人に善行を働くことを生き甲斐としている。
13歳の頃殺人を犯し、少年院に入っていた。
身長:181cm

瀬尾希空せのおそら
勉強に打ち込む高校2年生の少女。
中学生の頃、親友に階段から突き落とされ、陸上選手の道を断たれた。以来足が不自由で、走ることができない。
翔平と出会い、人生に希望を見つける。
身長:154cm