ブチャラティ達が去った後、レティシアは列車と車輪の隙間で今にも死にそうな男を見つめていた。
その瞳は何かをためらうように揺らいでいた。

「サンソン、この人を助けられる？」
「ええ、可能です。それに…そのために僕を連れてきたのでしょう？」
「そうね。彼を助けるために、手段は選ばないと決めた。…ためらいは、捨てないとね」

レティシアの問いかけに、何を今さらと言わんばかりに首をすくめるサンソン。
彼の言葉に、死かけの男に小さく「ごめんなさい」と呟いてレティシアは男の欠けた右腕に触れる。

「お願い」
「生は明日への活力（ライフ・バイタリティー）」

男から顔をあげたレティシアは2、3歩後ろへ下がりサンソンの方に視線を移す。
その目には先ほどのためらいはなく、揺らぐことのない決意が宿っていた。
サンソンは頷くと、男に近づき自身のスタンドを発動する。
スタンドは高速で男の傷を修復し、欠けた右腕も何処からか取り出した本物そっくりの義手を傷口と結合させる。
5分後には、虫の息だったのが嘘のように男は安定した呼吸をしていた。

ガクンっ
「サンソン！」
「心配ありません。僕には構わずに行って下さい」

治療が終わりスタンドが消えると、サンソンは足元から崩れ落ちそうになる。
慌ててレティシアが支えようとするが、その手を振り払い「早く行け」と諭す。

「……、エニウェア」

レティシアは少しためらったが、スタンドを発動して背後に自分の車を移動させる。
その車の後部座席に男を寝かせると、自分も運転席に乗り込んだ。

「グラッチェ、サンソン」
「……生きて、帰ってきてください」
「それ、フラグって言うのよ？」
「あなたが死んでも、悲しむ人がいます」
「……」

真面目なサンソンの言葉におどけて返したレティシアは、再び真面目な言葉で返され肩をすくめる。
結局、レティシアは何も言わずに車を発進させた。

「まだ僕は、あなたに恩を返せていないんですから…」
サンソンは車が見えなくなるまでそこに立っていた。

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(設定)
サンソン

FGOの見た目だが、性格はあちらよりもやや明るいよく似た別人

ネアポリスで医者をやっている

レティシアの主治医&友人(？)

(スタンド)生は明日への活力（ライフ・バイタリティー）
白衣を着た人形（ひとがた）スタンド
背後から手術に必要な道具が出てくる。
それを使ってその場で手術を行う。
必要時間は本人の体調によるし、スタンド使用後は実際に自分が執刀したように疲れる。