第2章:うたプリアワード
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「ん?綾奈じゃないか!久しぶりだな」
「瑛一さん。お久しぶりですね」
第33話
今日のレコーディングを終え、スタジオを後にしようとしたところで声をかけてきたのは瑛一さんだった。みんなで鍋をした日以来会っていなかったので随分久しぶりだ。彼も仕事を終えたところらしく、せっかくだしとスタジオのビル内に併設されているカフェでお茶することに。「構わない。座っていろ」とスマートにご馳走してくれる姿はあまりにもかっこよかった。
大人しく窓際のゆったり座れる席に腰を落ち着け、フゥと息を吐く。窓の外から差し込む光がキラキラと眩しい。その様子を特に何を思うでもなくぼんやりと眺めていると「待たせたな」と瑛一さんが2人分のコーヒーを手に腰を下ろした。
「すみません、ご馳走してもらっちゃって」
「なに、このぐらい気にするな。久しぶりの再会だ。楽しい話をしようじゃないか」
「ふふ、ありがとうございます。…うたプリアワードのノミネート、おめでとうございます。瑛一さん達がアイドルだってことを恥ずかしながら知らなくて。ビックリしちゃいました」
「ありがとう。まぁ当然だがな」
ST☆RISHのみんなも目指しているうたプリアワード。それを瑛一さん達のグループであるHE⭐︎VENSもノミネートされたということに私は驚きを隠せなかった。皇さんとは共演までしたというのに。あまりにも勉強不足だった、恥ずかしい。
「そういえばあの日、お前もST☆RISHの面々と一緒にいたな」
「あ…はい。同じ事務所なので一緒にお休みをいただいてたんです。まさかあんな形で発表されるとは思わなかったので本当にびっくりしたんですよ」
「そうか。奴等と交流があるのだろうが…勝つのは俺達HE⭐︎VENSだ」
「あの会場にいたファンの方達の反応を見ていれば瑛一さん達のグループが素敵なんだってことはすぐに分かります。勝つのはファンに求められた人。それだけですよ」
「意外に冷静なのだな。身内贔屓をしないその姿勢…イイッ…!」
「えっ。あ…ハハッ!ありがとうございます」
やっと笑ったか、と目を細めた瑛一さんにピクリと反応をしてしまった。…どうやら私は本当にそういうのを隠すのが下手らしい。
セシルくんが国に帰ったかと思っていたあの日。彼は王の許しを得てST☆RISHの元に帰ってきたのだ。そして彼等は曲を完成させ…社長の心を動かし、7人で歌うことの許可を得た。
加えて、念願のうたプリアワードへのノミネートが決まった。
生中継でうたプリアワードのノミネートを発表する会場と繋がる中で、正直、トントン拍子に進んでいく話に私はポカンと口を開けたままなにも反応出来なかった。嬉しいはずなのに、呆然としていた私はあの日…きちんとみんなにおめでとうと言えたのだろうか。…自信がない。自分の心の狭さに嫌気が差す。
「…みんなとは早乙女学園時代からの友達と言うこともあって…一丁前に寂しくなっちゃったんです、私。それにそうなるのも初めてじゃなくて。恥ずかしい話なんですけど」
断ち切らなければ、そんな感情。これからも自身がアイドルとしてステージに立ち続けたいなら、尚更。
そんな私の言葉を聞いた瑛一さんは「ふむ?」と少し考える仕草をして口を開いた。「当然なのではないか?」と。え?
「お前は早乙女学園に入学する前にもアイドル活動をしていただろう。μ's…だったか。あれほどのパフォーマンスをするグループだ。それはイイ仲間達だったんだろう?ならばグループで活動する人間を羨むのは当然だろう。解散したくてした訳ではないのなら尚更な」
「で、でも…わっ私はもう…プロで…」
「勿論プロだからこそ求められることはある。だが大切にしていたものに焦がれる気持ちは誰にだってあるものだ。お前のその気持ちは至極当然だろう。思うに、お前はST☆RISHを通してかつての仲間の姿を見ているんじゃないか?」
「っ…!!」
瑛一さんの言葉にボロリと涙が溢れた。私、そんな、そんな。思わず頬に手をやる。ワナワナと震える手は、冷たい。
振り切ったと思っていた。きちんと、思い出に出来ていると。そう思っていたのに。
私はずっと、μ'sの思い出を追いかけていた…?
…ST☆RISHのみんなに追い付けないはずだ。いつだって未来を見てる彼等と、過去のμ'sを振り返る私とじゃ交わる道なんて無いのだから。
ST☆RISHのスタイルは酷くμ'sと似ていた。だからこそ、重ねて見ていたんだ。だからこそ、そこに入れないことが悲しくて…寂しかった。ほんとに、私はなんて愚かで悲しいんだろう。
「…奴等と関わることで苦しむのなら、うちに来るといい。綾奈」
「…え…?」
「我がレイジングエンターテイメントでは奴等のような甘い人間はいない。所属する人間全てが上を目指し、そして己に自信を持っている。己を高めるには持ってこいの場所だ」
「そん、な」
「それに、お前の手のことを知らない者があまりにも近くにいすぎだ。うちならばお前のサポートに回れる者がほとんどだ。不自由はさせない」
「っ!」
断らなきゃ、いけないのに。手のことを出されると私はとんと弱い。それが自分の弱みだということを理解しているし、なにより隠し通すことにも限界があるからだ。
言葉に詰まる私に瑛一さんは特に急かすでもなく「そういう選択肢もあるということだ」と口元に笑みを浮かべてコーヒーを啜った。ST☆RISHのみんなに戦線布告した時のあの不敵な笑みではない、思いやってくれる優しい表情だった。
「…瑛一さんは優しいですね」
「ハハハッ!奴等を挑発する俺を見てもそういうのか」
「はい。だって自信は悪いことじゃありません。グループでやってる以上、自身を卑下することは…メンバーのことも同時に卑下することになりますもん、ね…」
そう言った自分にハッとした。μ'sの結成当初こそ自信の無さを吐露することはあれど、活動している時はここまでではなかったのだ。…早乙女学園に入学してから、私は手のひらを返すように弱くなっていた。一人というのは、本当に脆い。セシルくんが国へ帰ったと教えてくれた日に私の質問を鼻で笑ったカミュさんはきっとそんな私の心を見透かしていたんだろう。
「瑛一さん」
「ん?どうした」
「…私、アイドル向いてないですね」
アイドル向いてますかね。そう尋ねた私にカミュさんは悩むことなく「向いている訳がなかろう」と鼻で笑ったのだ。
悔しいが自分でもしっくり来てしまうのだから仕方ない。過去を追い続けてしまう私はアイドルを諦めるべきなんだろう。俯く私に瑛一さんは少しの沈黙を置いて「ならば、」と静かに口を開いた。
「ならば向けばいいだろう。難しく考えることはない」
「…え?」
「向いてないからと諦められるぐらいであればとっくにお前はこの業界にいなかっただろう。それだけアイドルが、歌が好きだということだ。ならば、その震える魂のままに届けたい相手にまっすぐに伝えるだけのこと」
「瑛一さん…」
「少なくとも俺はこれからもそうするつもりだ。エンジェル達が求め続ける限り。何があろうとな」
眩しい。素直にそう思う。確固たる自信があって、それを裏付ける努力も、きっとあって。かっこいい、思わず笑みと共にこぼした言葉を拾った彼は高笑う。
「いつでも連絡してこい」
そう言い残して彼は私の頭にポンと手を乗せ、先にカフェを後にした。彼のカップは空だった。
一人になった空間でフゥ…と溜め息を吐く。まさか事務所の移籍の誘いをされるとは思わなかった。けど、どこか心が軽くなったのは確かだった。ありがたいな、と私はすっかり冷めきったブラックコーヒーを口にした。その苦さが、今は心地よかった。
「…ん?」
ふと、ゆらりと視線を動かした先に見えた赤色と金色。声は届かなそうだけど見覚えのあるそれに思わずじっと視線を送る。するとソロリ…とこちらを見遣った2つの目とバチッと視線が交わった。あ、あ〜…もしかしてあんまり良くない場面を見られたかもしれない。苦笑を浮かべながらチョイチョイと手招きしてみれば、2人は少し迷った様子だったけどすぐにこちらの席にやってきてくれた。
「綾奈っ!あいつにひでーこと言われてねーか!?」
「さ、さっきの鳳瑛一だよね…!?高原って知り合いだったの…!?」
「えっと…皇さんとドラマ共演した時に瑛一さんにもお会いする機会があって」
「「瑛一さんっ!?」」
「わ、え、えぇ…?その、ご兄弟がいるから必然的にそう呼んでて…」
見知った色は一十木くんと翔くんで。私達を見かけたはいいが既にST☆RISHとHE⭐︎VENSには確執がある為に、でていけば逆に揉めてしまうかもしれないと様子を窺っていたらしい。私が泣いていたことも見えていたらしく、しきりに心配の言葉をかけてくれた。むしろ瑛一さんには励ましてもらってたんだけど。それを言うと話の内容まで伝えなきゃいけなくなりそうで、私は「ちょっと反省することがあっただけだよ」と苦笑した。どうやら話し声は聞こえない位置だったようだ。手のことも聞かれていないみたいでその事に安堵の息を吐いた。
「本当に大丈夫ですよ。ST☆RISHじゃない私にまで突っかかってくるような方じゃないから」
「……なら、いいんだけどさ」
「…なんかあったらちゃんと俺達にも言えよな」
「…はい。ありがとう、二人とも」
心から心配してくれてる二人に嘘をつくのは心苦しいが、さすがにさっきの話をする訳にいかないな、とテーブルの下でスカートを握り締めた。
20221021
「瑛一さん。お久しぶりですね」
第33話
今日のレコーディングを終え、スタジオを後にしようとしたところで声をかけてきたのは瑛一さんだった。みんなで鍋をした日以来会っていなかったので随分久しぶりだ。彼も仕事を終えたところらしく、せっかくだしとスタジオのビル内に併設されているカフェでお茶することに。「構わない。座っていろ」とスマートにご馳走してくれる姿はあまりにもかっこよかった。
大人しく窓際のゆったり座れる席に腰を落ち着け、フゥと息を吐く。窓の外から差し込む光がキラキラと眩しい。その様子を特に何を思うでもなくぼんやりと眺めていると「待たせたな」と瑛一さんが2人分のコーヒーを手に腰を下ろした。
「すみません、ご馳走してもらっちゃって」
「なに、このぐらい気にするな。久しぶりの再会だ。楽しい話をしようじゃないか」
「ふふ、ありがとうございます。…うたプリアワードのノミネート、おめでとうございます。瑛一さん達がアイドルだってことを恥ずかしながら知らなくて。ビックリしちゃいました」
「ありがとう。まぁ当然だがな」
ST☆RISHのみんなも目指しているうたプリアワード。それを瑛一さん達のグループであるHE⭐︎VENSもノミネートされたということに私は驚きを隠せなかった。皇さんとは共演までしたというのに。あまりにも勉強不足だった、恥ずかしい。
「そういえばあの日、お前もST☆RISHの面々と一緒にいたな」
「あ…はい。同じ事務所なので一緒にお休みをいただいてたんです。まさかあんな形で発表されるとは思わなかったので本当にびっくりしたんですよ」
「そうか。奴等と交流があるのだろうが…勝つのは俺達HE⭐︎VENSだ」
「あの会場にいたファンの方達の反応を見ていれば瑛一さん達のグループが素敵なんだってことはすぐに分かります。勝つのはファンに求められた人。それだけですよ」
「意外に冷静なのだな。身内贔屓をしないその姿勢…イイッ…!」
「えっ。あ…ハハッ!ありがとうございます」
やっと笑ったか、と目を細めた瑛一さんにピクリと反応をしてしまった。…どうやら私は本当にそういうのを隠すのが下手らしい。
セシルくんが国に帰ったかと思っていたあの日。彼は王の許しを得てST☆RISHの元に帰ってきたのだ。そして彼等は曲を完成させ…社長の心を動かし、7人で歌うことの許可を得た。
加えて、念願のうたプリアワードへのノミネートが決まった。
生中継でうたプリアワードのノミネートを発表する会場と繋がる中で、正直、トントン拍子に進んでいく話に私はポカンと口を開けたままなにも反応出来なかった。嬉しいはずなのに、呆然としていた私はあの日…きちんとみんなにおめでとうと言えたのだろうか。…自信がない。自分の心の狭さに嫌気が差す。
「…みんなとは早乙女学園時代からの友達と言うこともあって…一丁前に寂しくなっちゃったんです、私。それにそうなるのも初めてじゃなくて。恥ずかしい話なんですけど」
断ち切らなければ、そんな感情。これからも自身がアイドルとしてステージに立ち続けたいなら、尚更。
そんな私の言葉を聞いた瑛一さんは「ふむ?」と少し考える仕草をして口を開いた。「当然なのではないか?」と。え?
「お前は早乙女学園に入学する前にもアイドル活動をしていただろう。μ's…だったか。あれほどのパフォーマンスをするグループだ。それはイイ仲間達だったんだろう?ならばグループで活動する人間を羨むのは当然だろう。解散したくてした訳ではないのなら尚更な」
「で、でも…わっ私はもう…プロで…」
「勿論プロだからこそ求められることはある。だが大切にしていたものに焦がれる気持ちは誰にだってあるものだ。お前のその気持ちは至極当然だろう。思うに、お前はST☆RISHを通してかつての仲間の姿を見ているんじゃないか?」
「っ…!!」
瑛一さんの言葉にボロリと涙が溢れた。私、そんな、そんな。思わず頬に手をやる。ワナワナと震える手は、冷たい。
振り切ったと思っていた。きちんと、思い出に出来ていると。そう思っていたのに。
私はずっと、μ'sの思い出を追いかけていた…?
…ST☆RISHのみんなに追い付けないはずだ。いつだって未来を見てる彼等と、過去のμ'sを振り返る私とじゃ交わる道なんて無いのだから。
ST☆RISHのスタイルは酷くμ'sと似ていた。だからこそ、重ねて見ていたんだ。だからこそ、そこに入れないことが悲しくて…寂しかった。ほんとに、私はなんて愚かで悲しいんだろう。
「…奴等と関わることで苦しむのなら、うちに来るといい。綾奈」
「…え…?」
「我がレイジングエンターテイメントでは奴等のような甘い人間はいない。所属する人間全てが上を目指し、そして己に自信を持っている。己を高めるには持ってこいの場所だ」
「そん、な」
「それに、お前の手のことを知らない者があまりにも近くにいすぎだ。うちならばお前のサポートに回れる者がほとんどだ。不自由はさせない」
「っ!」
断らなきゃ、いけないのに。手のことを出されると私はとんと弱い。それが自分の弱みだということを理解しているし、なにより隠し通すことにも限界があるからだ。
言葉に詰まる私に瑛一さんは特に急かすでもなく「そういう選択肢もあるということだ」と口元に笑みを浮かべてコーヒーを啜った。ST☆RISHのみんなに戦線布告した時のあの不敵な笑みではない、思いやってくれる優しい表情だった。
「…瑛一さんは優しいですね」
「ハハハッ!奴等を挑発する俺を見てもそういうのか」
「はい。だって自信は悪いことじゃありません。グループでやってる以上、自身を卑下することは…メンバーのことも同時に卑下することになりますもん、ね…」
そう言った自分にハッとした。μ'sの結成当初こそ自信の無さを吐露することはあれど、活動している時はここまでではなかったのだ。…早乙女学園に入学してから、私は手のひらを返すように弱くなっていた。一人というのは、本当に脆い。セシルくんが国へ帰ったと教えてくれた日に私の質問を鼻で笑ったカミュさんはきっとそんな私の心を見透かしていたんだろう。
「瑛一さん」
「ん?どうした」
「…私、アイドル向いてないですね」
アイドル向いてますかね。そう尋ねた私にカミュさんは悩むことなく「向いている訳がなかろう」と鼻で笑ったのだ。
悔しいが自分でもしっくり来てしまうのだから仕方ない。過去を追い続けてしまう私はアイドルを諦めるべきなんだろう。俯く私に瑛一さんは少しの沈黙を置いて「ならば、」と静かに口を開いた。
「ならば向けばいいだろう。難しく考えることはない」
「…え?」
「向いてないからと諦められるぐらいであればとっくにお前はこの業界にいなかっただろう。それだけアイドルが、歌が好きだということだ。ならば、その震える魂のままに届けたい相手にまっすぐに伝えるだけのこと」
「瑛一さん…」
「少なくとも俺はこれからもそうするつもりだ。エンジェル達が求め続ける限り。何があろうとな」
眩しい。素直にそう思う。確固たる自信があって、それを裏付ける努力も、きっとあって。かっこいい、思わず笑みと共にこぼした言葉を拾った彼は高笑う。
「いつでも連絡してこい」
そう言い残して彼は私の頭にポンと手を乗せ、先にカフェを後にした。彼のカップは空だった。
一人になった空間でフゥ…と溜め息を吐く。まさか事務所の移籍の誘いをされるとは思わなかった。けど、どこか心が軽くなったのは確かだった。ありがたいな、と私はすっかり冷めきったブラックコーヒーを口にした。その苦さが、今は心地よかった。
「…ん?」
ふと、ゆらりと視線を動かした先に見えた赤色と金色。声は届かなそうだけど見覚えのあるそれに思わずじっと視線を送る。するとソロリ…とこちらを見遣った2つの目とバチッと視線が交わった。あ、あ〜…もしかしてあんまり良くない場面を見られたかもしれない。苦笑を浮かべながらチョイチョイと手招きしてみれば、2人は少し迷った様子だったけどすぐにこちらの席にやってきてくれた。
「綾奈っ!あいつにひでーこと言われてねーか!?」
「さ、さっきの鳳瑛一だよね…!?高原って知り合いだったの…!?」
「えっと…皇さんとドラマ共演した時に瑛一さんにもお会いする機会があって」
「「瑛一さんっ!?」」
「わ、え、えぇ…?その、ご兄弟がいるから必然的にそう呼んでて…」
見知った色は一十木くんと翔くんで。私達を見かけたはいいが既にST☆RISHとHE⭐︎VENSには確執がある為に、でていけば逆に揉めてしまうかもしれないと様子を窺っていたらしい。私が泣いていたことも見えていたらしく、しきりに心配の言葉をかけてくれた。むしろ瑛一さんには励ましてもらってたんだけど。それを言うと話の内容まで伝えなきゃいけなくなりそうで、私は「ちょっと反省することがあっただけだよ」と苦笑した。どうやら話し声は聞こえない位置だったようだ。手のことも聞かれていないみたいでその事に安堵の息を吐いた。
「本当に大丈夫ですよ。ST☆RISHじゃない私にまで突っかかってくるような方じゃないから」
「……なら、いいんだけどさ」
「…なんかあったらちゃんと俺達にも言えよな」
「…はい。ありがとう、二人とも」
心から心配してくれてる二人に嘘をつくのは心苦しいが、さすがにさっきの話をする訳にいかないな、とテーブルの下でスカートを握り締めた。
20221021