第1章:早乙女学園
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「スタイリスト実技、ですか…」
第3話
何度も言うようにアイドル・作曲家を育成するこの早乙女学園は、これらを育成するため一般の学校で行う授業に加え、専門の授業も行う。作曲家コースなら作曲がなんたるかだとか、アイドルコースならボイストレーニングなどといった具合に。
そして今日、担任の月宮先生から言い渡されたのがアイドルコースのスタイリスト実技…いわゆるファッション審査だ。今時のアイドルはどこで誰が見ているかわからないから私服ですら気を抜けないとか云々。アイドルって大変なんだなぁ、と最初は気楽に思っていたけど、よく考えれば私はアイドルコースだった。あ、あぶない…!
芸能界ってライセンスがないから自分が芸能人である、と自覚するのが中々難しいとはいえ、私も端くれの端くれにいるのだ。しっかりしないと。
フーっと深呼吸をして詳細を頭に叩き込む。今回は抜き打ちで明日行うので洋服一式を持参すること、今回のモデルは自分自身であること、特にテーマは無いから自分の好みでテーマを決めてスタイリングするようにとのこと。
最初だからか、少し易しめで安心した。いきなり他人のスタイリスト、だなんて言われて明日となると急すぎるし。とはいえ、テーマが無いっていうのも中々難しいなぁ。
伝えることを言い終えた月宮先生は「それじゃ、明日楽しみにしてるわ~!」と可愛すぎるウインクを決めて、今日のホームルームが終わった。わざわざ帰りのホームルームに話すってことは調達するにも骨が折れることを計算してのことなのだろうか。そうだとしたらすごすぎる早乙女学園。
「スタイリスト実技か~!面白そうだけど俺そこまで服って意識したことないんだよね!どうしよー!」
「あぁ…俺も一十木と同じだ」
「こう態々試験をするぞって言われると困ってしまいますね」
「僕はお洋服さん大好きですよぉ。カラフルで可愛いですよねぇ」
席替えをして嬉しくも近くになった為、自然と周りに集まって話し出す私と一十木くん、聖川くん、そして四ノ宮くん。うーん、みんな悩んでるけどスタイルいいし何着ても似合うと思うんだけどなぁ。あ、いやいやなんでもいいことはないか、試験だし。
そうぼんやりと考えていると普段どういう服装をしているかという話題になり、一十木くんはパーカーとかのカジュアル、聖川くんはベストや着流し、四ノ宮くんは割とゆったりした服装を好むらしかった。うん、どれもイメージ通りだ。結構みんな自分の好みが外見にも現れてるんだなぁ。
うんうんと唸る一十木くんは、あっ!!、と四ノ宮くんを見て何か閃いたようで声をあげた。どうしました?、と問いかけるとさも名案!と言わんばかりに輝いた表情で口を開いた。ま、眩しい…! 今日も一十木くんの笑顔が眩しいです先生!!
「翔だよ!あいつオシャレでしょ!?何かアドバイス貰いにいこうよ!」
「翔…さん?」
「Sクラスで四ノ宮と同室の者だ。…そうか、確かに気にしている節はあるな」
「翔ちゃんのお部屋には帽子がたくさん飾られているんですよぉ」
「わぁ…!漂うオシャレ感です…!」
私も見てみたかったです、と早速その『翔』さんの元へ行こうとしている彼らに見送る形で告げると、綾奈ちゃんも一緒にいきましょう!、と四ノ宮くんに手を取られる。一瞬、なんと言われたか理解出来なくて固まってしまったけど急速に理解してぶんぶんと首を振る。
「ダ、ダメですよ四ノ宮くん!異性のお部屋にお邪魔するなんて…!」
「どうしてですかぁ?翔ちゃんも綾奈ちゃんなら歓迎してくれると思いますよぉ」
「えっとその、わ、私、人見知りだし、『翔』さんに気を遣わせてしまうかも…!」
「綾奈ちゃんなら大丈夫です。きっと翔ちゃんと並ぶと可愛いです!」
「ええ!?い、一十木く…聖川くん…っ」
「それにお友達を仲間はずれなんてダメですよぉ」
「、!」
異性を自室に入れることにあまり抵抗がないのか、四ノ宮くんは純粋そのものの表情で私もと誘ってくれる。そもそも校則違反なんですけど…。て、ていうか『翔』さんのお部屋っていうことは四ノ宮くんのお部屋でもあるのにそんな感じでいいのか四ノ宮くん…!
引きそうに無い四ノ宮くんにどうしたらいいのかと、二人に助けを求めると一十木くんは苦笑、聖川くんはため息をついて、彼を説得しようと聖川くんが四ノ宮くんの肩に手を触れようとしてそれは止まった。
綾奈ちゃんは僕たちのお友達です、としゅんとして言う四ノ宮くんからはなんだか耳が生えているように見える。しかも垂れ下がって。か、かわいい。
…お友達、か。
仲間はずれは嫌だ、と言ってくれたことに心が温かくなった。女の子だからとかではなく、一人の高原綾奈として見てくれてる。そう言ってくれた気がしたから。それが嬉しくて、ありがとうございます、と笑うと眼鏡の奥の翡翠色も笑ってくれた。この人には適わないなぁ、と思う。純粋で繊細で、そしてびっくりするほど優しい。
「よーっし!じゃあ4人で翔のところにいこう!」
「おーっ!です!」
「なっ…!?一十木、お前まで…!」
「えー?マサは高原のこと仲間はずれにしたいの?」
「違う!そういうことではない!」
「ならいいじゃん!行こう高原!!」
「わっ、」
四ノ宮くんに掴まれていた手とは反対の手を一十木くんに取られ、教室を出るべく立ち上がる。
ありがとう、聖川くん。君が仲間はずれをしたくてそう言った訳じゃないの分かってるよ。だって女子である私が男子寮に行くのは校則違反だもん。真面目な聖川くんがそう簡単に頷く訳がない。
…でも私は君たちの前ではただの友人の高原綾奈でいたいから。
「聖川くん!行きましょう!」
嬉しさでへらりと緩みきった顔で声をかけると、結局彼も、仕方がない、と優しく微笑んでくれた。
私の友人はとても優しくて温かい人たちばかりだ。ぎゅっと握った手が大きくて、少し力を加えると二人も綺麗に笑ってくれた。
*
とりあえず教室に行ってみようとのことで4人でSクラスに向かう。
この学園は一年制だからみんなスタートは同じはずなのにSクラスってだけでレベルが違う気がして萎縮してしまう、のは、どうやら私だけらしい。口数の少なくなった私を気にかけた彼らにそう伝えると、これから負けないぐらい成長していけばいいじゃないか、ととても彼ららしく主張した。普通の人はそんな簡単には思えないのに、明るく言ってのける彼らは既に抜きん出ている気がした。私もしゃんとしないと、と背筋を伸ばす。
曲がった背中では、彼らの隣は似合わないから。
「失礼しまーす!翔、いるー?」
「ん?音也?聖川に那月まで。どーした?」
「あ!よかった。いたいた!」
翔いたよー!、と笑う一十木くんに続いてSクラスの教室に足を踏み入れる。幸い殆ど生徒はいなくて私達を特に咎める様子は無かった。
一十木くんは今ここにいる理由を簡単に説明すると、お願い!、と顔の前で手を合わせた。すると『翔』さんは、なんだそういうことか、と快諾してくれた。よかった。
…というよりもすっかり自己紹介のタイミングを逃してしまった。当の彼も、一緒にいる私が気になるようでチラチラと視線を向けていた。
まだ幼さの残る顔立ちは整っていて、でもどちらかといえば可愛いと言う方が似合う気がする彼は確かにオシャレ好きなのか、制服も自分なりに着こなしていた。しかも似合ってる。制服にハットを合わせるっていうのも中々。
「それじゃぁお部屋に帰りましょお」
「そうだな。事は急を要する」
「高原も!行こう!」
「ハァ!?おい、お前ら…!」
ぞろぞろと教室を出て行く3人に残される私達。目があったので苦笑を返すと彼もまた、しょうがねぇなぁ、とでもいうように苦笑した。そこでやっと私達は自己紹介を交わすのだった。
20150107
第3話
何度も言うようにアイドル・作曲家を育成するこの早乙女学園は、これらを育成するため一般の学校で行う授業に加え、専門の授業も行う。作曲家コースなら作曲がなんたるかだとか、アイドルコースならボイストレーニングなどといった具合に。
そして今日、担任の月宮先生から言い渡されたのがアイドルコースのスタイリスト実技…いわゆるファッション審査だ。今時のアイドルはどこで誰が見ているかわからないから私服ですら気を抜けないとか云々。アイドルって大変なんだなぁ、と最初は気楽に思っていたけど、よく考えれば私はアイドルコースだった。あ、あぶない…!
芸能界ってライセンスがないから自分が芸能人である、と自覚するのが中々難しいとはいえ、私も端くれの端くれにいるのだ。しっかりしないと。
フーっと深呼吸をして詳細を頭に叩き込む。今回は抜き打ちで明日行うので洋服一式を持参すること、今回のモデルは自分自身であること、特にテーマは無いから自分の好みでテーマを決めてスタイリングするようにとのこと。
最初だからか、少し易しめで安心した。いきなり他人のスタイリスト、だなんて言われて明日となると急すぎるし。とはいえ、テーマが無いっていうのも中々難しいなぁ。
伝えることを言い終えた月宮先生は「それじゃ、明日楽しみにしてるわ~!」と可愛すぎるウインクを決めて、今日のホームルームが終わった。わざわざ帰りのホームルームに話すってことは調達するにも骨が折れることを計算してのことなのだろうか。そうだとしたらすごすぎる早乙女学園。
「スタイリスト実技か~!面白そうだけど俺そこまで服って意識したことないんだよね!どうしよー!」
「あぁ…俺も一十木と同じだ」
「こう態々試験をするぞって言われると困ってしまいますね」
「僕はお洋服さん大好きですよぉ。カラフルで可愛いですよねぇ」
席替えをして嬉しくも近くになった為、自然と周りに集まって話し出す私と一十木くん、聖川くん、そして四ノ宮くん。うーん、みんな悩んでるけどスタイルいいし何着ても似合うと思うんだけどなぁ。あ、いやいやなんでもいいことはないか、試験だし。
そうぼんやりと考えていると普段どういう服装をしているかという話題になり、一十木くんはパーカーとかのカジュアル、聖川くんはベストや着流し、四ノ宮くんは割とゆったりした服装を好むらしかった。うん、どれもイメージ通りだ。結構みんな自分の好みが外見にも現れてるんだなぁ。
うんうんと唸る一十木くんは、あっ!!、と四ノ宮くんを見て何か閃いたようで声をあげた。どうしました?、と問いかけるとさも名案!と言わんばかりに輝いた表情で口を開いた。ま、眩しい…! 今日も一十木くんの笑顔が眩しいです先生!!
「翔だよ!あいつオシャレでしょ!?何かアドバイス貰いにいこうよ!」
「翔…さん?」
「Sクラスで四ノ宮と同室の者だ。…そうか、確かに気にしている節はあるな」
「翔ちゃんのお部屋には帽子がたくさん飾られているんですよぉ」
「わぁ…!漂うオシャレ感です…!」
私も見てみたかったです、と早速その『翔』さんの元へ行こうとしている彼らに見送る形で告げると、綾奈ちゃんも一緒にいきましょう!、と四ノ宮くんに手を取られる。一瞬、なんと言われたか理解出来なくて固まってしまったけど急速に理解してぶんぶんと首を振る。
「ダ、ダメですよ四ノ宮くん!異性のお部屋にお邪魔するなんて…!」
「どうしてですかぁ?翔ちゃんも綾奈ちゃんなら歓迎してくれると思いますよぉ」
「えっとその、わ、私、人見知りだし、『翔』さんに気を遣わせてしまうかも…!」
「綾奈ちゃんなら大丈夫です。きっと翔ちゃんと並ぶと可愛いです!」
「ええ!?い、一十木く…聖川くん…っ」
「それにお友達を仲間はずれなんてダメですよぉ」
「、!」
異性を自室に入れることにあまり抵抗がないのか、四ノ宮くんは純粋そのものの表情で私もと誘ってくれる。そもそも校則違反なんですけど…。て、ていうか『翔』さんのお部屋っていうことは四ノ宮くんのお部屋でもあるのにそんな感じでいいのか四ノ宮くん…!
引きそうに無い四ノ宮くんにどうしたらいいのかと、二人に助けを求めると一十木くんは苦笑、聖川くんはため息をついて、彼を説得しようと聖川くんが四ノ宮くんの肩に手を触れようとしてそれは止まった。
綾奈ちゃんは僕たちのお友達です、としゅんとして言う四ノ宮くんからはなんだか耳が生えているように見える。しかも垂れ下がって。か、かわいい。
…お友達、か。
仲間はずれは嫌だ、と言ってくれたことに心が温かくなった。女の子だからとかではなく、一人の高原綾奈として見てくれてる。そう言ってくれた気がしたから。それが嬉しくて、ありがとうございます、と笑うと眼鏡の奥の翡翠色も笑ってくれた。この人には適わないなぁ、と思う。純粋で繊細で、そしてびっくりするほど優しい。
「よーっし!じゃあ4人で翔のところにいこう!」
「おーっ!です!」
「なっ…!?一十木、お前まで…!」
「えー?マサは高原のこと仲間はずれにしたいの?」
「違う!そういうことではない!」
「ならいいじゃん!行こう高原!!」
「わっ、」
四ノ宮くんに掴まれていた手とは反対の手を一十木くんに取られ、教室を出るべく立ち上がる。
ありがとう、聖川くん。君が仲間はずれをしたくてそう言った訳じゃないの分かってるよ。だって女子である私が男子寮に行くのは校則違反だもん。真面目な聖川くんがそう簡単に頷く訳がない。
…でも私は君たちの前ではただの友人の高原綾奈でいたいから。
「聖川くん!行きましょう!」
嬉しさでへらりと緩みきった顔で声をかけると、結局彼も、仕方がない、と優しく微笑んでくれた。
私の友人はとても優しくて温かい人たちばかりだ。ぎゅっと握った手が大きくて、少し力を加えると二人も綺麗に笑ってくれた。
*
とりあえず教室に行ってみようとのことで4人でSクラスに向かう。
この学園は一年制だからみんなスタートは同じはずなのにSクラスってだけでレベルが違う気がして萎縮してしまう、のは、どうやら私だけらしい。口数の少なくなった私を気にかけた彼らにそう伝えると、これから負けないぐらい成長していけばいいじゃないか、ととても彼ららしく主張した。普通の人はそんな簡単には思えないのに、明るく言ってのける彼らは既に抜きん出ている気がした。私もしゃんとしないと、と背筋を伸ばす。
曲がった背中では、彼らの隣は似合わないから。
「失礼しまーす!翔、いるー?」
「ん?音也?聖川に那月まで。どーした?」
「あ!よかった。いたいた!」
翔いたよー!、と笑う一十木くんに続いてSクラスの教室に足を踏み入れる。幸い殆ど生徒はいなくて私達を特に咎める様子は無かった。
一十木くんは今ここにいる理由を簡単に説明すると、お願い!、と顔の前で手を合わせた。すると『翔』さんは、なんだそういうことか、と快諾してくれた。よかった。
…というよりもすっかり自己紹介のタイミングを逃してしまった。当の彼も、一緒にいる私が気になるようでチラチラと視線を向けていた。
まだ幼さの残る顔立ちは整っていて、でもどちらかといえば可愛いと言う方が似合う気がする彼は確かにオシャレ好きなのか、制服も自分なりに着こなしていた。しかも似合ってる。制服にハットを合わせるっていうのも中々。
「それじゃぁお部屋に帰りましょお」
「そうだな。事は急を要する」
「高原も!行こう!」
「ハァ!?おい、お前ら…!」
ぞろぞろと教室を出て行く3人に残される私達。目があったので苦笑を返すと彼もまた、しょうがねぇなぁ、とでもいうように苦笑した。そこでやっと私達は自己紹介を交わすのだった。
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