第1章:早乙女学園
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「早乙女学園、だ…」
第1話
春です。暖かい気候に睡魔と戦う季節。睡魔には困ったものだけど桜や梅なんかの植物が芽吹くこの時期は華やかで、私はとても好きだ。
そして春といえば新生活が始まる季節。
私もその新生活を始める為にここ、早乙女学園にやってきた。倍率200の入学するだけでも難しい試験をなんとかパスした私は、今日から晴れてここの生徒となる。この学園に来るまでに色々あったけどそれは割愛させていただこう。
広大な敷地の早乙女学園を見上げて思わず視界が滲む。
本当に夢のようだ。憧れた世界への第一歩。これは私にとって特別な一歩だ。
ここには私のような人がたくさんいる。そして、私も堂々と夢を追いかけられる。
ぐっと意気込んで門をくぐると、いやはや…なんというか、さすがアイドル育成の音楽学校。周りを見渡すと可愛い人やかっこいい人、美人な人が多くてなけなしの自信が見る影もなくなっていく。…い、いやいやそんな私だって一応選ばれてここにいる訳だし…!一応…、となんとか自分を叱咤して宛てがわれた教室へ向かう。
クラスはAクラスだ。
廊下を歩きながら緊張をほぐす為に深呼吸をするけど、早鐘のような心臓は中々大人しくはなってくれなくて。うう…ほんと人見知りは治さないとなぁ…、今後も問題になりそうだ…。
なんとか落ち着けようと教室の扉の前でまた深呼吸。落ち着け。なるようになるんだから。そう暗示をかけていると後ろから、ねぇ、と声をかけられて肩がびくりと跳ねた。び、びっくりした。振り向くと鮮やかな赤髪の爽やかな印象を受ける男の子が立っていた。なんだろう、何か用かな、とその瞳をついじっと見つめると彼は言いにくそうに言葉を探しながら口を開いた。
「えっと…君もAクラス?」
「は、はいっ」
「そっか!じゃあ教室入らない?ここにいてもあれだし!」
「、!すみませんっ塞いでて…!」
「いいよいいよ!気にしなくて!」
どうやら、彼が言いづらそうにしていたのは私が扉の前にいたことで邪魔をしていて退いて欲しかったからだと気付いて瞬時に謝る。あああああ初日から人様にご迷惑を…!
全然!、と明るく笑って彼は、俺も緊張してるから気持ち分かるよ、と言ってくれた。なんていい人なんだ…。
ありがとうございます、と返して扉を開く彼の後に続いて意を決して教室に足を踏み入れた。
「あれ?意外とまだみんな来てないんだね」
「そう、ですね」
彼の拍子抜けした様子に私も一緒に息を吐いた。どうやらまだこのクラスの人は3分の1程度しかきていないようだった。確かに思ったより早くには到着するように自宅を出たのだけど、入った瞬間に視線が集中するぐらいには人がいるかと思っていたから、その…少し安心してしまった。この小心者、と内心で悪態をついた。
どうやら席は決められていて私は廊下側の一番前らしい。そ、そんな都合よく窓側最後尾になんてならないよね…。
残念に思いながらも気を取り直して、さて入学式までどうしていようか、と考える。
アイドル・作曲家を養成するこの学園に入る為に猛勉強はしたけど、正直まだまだ足りないことだらけなのはわかっているし、少しの時間でも勉強しようか。
これまでは頼りきりだったからなぁ…、なんて考えていると先ほど一緒に教室に入った彼が、ねぇねぇ、と私に声をかけてきた。それに応えるように顔をあげれば雨上がりの太陽のように眩しい笑顔で彼は笑った。なんて明るくて暖かい笑顔なんだろう。
「俺、一十木音也!アイドルコースでギターが好きなんだ!君は?」
「あ、高原綾奈です。私もアイドルコースで…」
「高原ね!よろしく!やっぱりアイドルコースか!なんとなくそうかと思ってたんだ」
「一十木くんもなんですね。えっとこちらこそよろしくお願いします」
「うん!これから同じアイドル目指すんだし仲良くしようよ。敬語無しでさ!高原っていくつなの?」
「じゅ、17歳、です」
「え!年上だったの!?逆に俺が敬語使わないといけないじゃん!」
「そ、それは気になさらないでください。敬語じゃない方が、その、嬉しいです」
俺15歳だよ?、と首を傾げる一十木くんに本当にタメ口でいいと告げると彼は嬉しそうに笑った。その笑顔は本当に眩しくて、こういう人がアイドルに向いているっていうんだろうなぁ…、と自分とは正反対の一十木くんに少し気分が下がった。
いや、でもまだ初日なんだからネガティブはなしだ!こうしてすぐ落ち込むのは悪い癖。それをこの学園で克服するのもひとつの目標なのだから頑張らないと!、と意気込む。その様子に一十木くんは不思議そうにしていたけど、高原ってなんか可愛いね、とまた笑った。
「私は一十木くんの笑顔が眩しいです…」
「えー?そうかなぁ。自分じゃよくわかんないな~。ってか高原!敬語は無しって言ったじゃん!」
「わ、私、訛りがあるから…敬語だとそれが出にくいから出来ればこのままで…」
「え!そうなんだ!俺は方言って可愛いと思うけどなー。どこ出身なの?」
「関西で…嫌いとかじゃないんですけど」
「関西ってあれじゃん!『めっちゃ好きやねん』!一回言ってみてよ!生で聞いてみたい!」
「ど、どうしてそのフレーズなんですか…!?」
だって代表的じゃない?、と首を捻る一十木くんに申し訳ないがかなり恥ずかしい。や、別に普通に言えるんだけど、こうして方言を控えようとしていると公言した傍から話すっていうのが恥ずかしい。だけど一十木くんはこの学園にきて初めての友達…だ。あまり無下にはしたくない。
ワクワクした様子で私の言葉を待っている一十木くんは本当に無垢な子供のようで、余計に心臓がぐぐぐと締め付けられた。
よ、よし。これもアイドルへの道なんだ。これぐらいのこと応えられなくてどうする。アイドルになれたらバラエティのお仕事とかあるかもしれないし無茶ぶりにも応えられるようにしないと、…ってもしかして一十木くんは私を試してる?同じアイドル志望として私がどれほどのものか測ろうと!?すごい!一十木くんすごい!!だ、だったら尚更引けないぞ!いけ綾奈!私ならできる!!
「め「あー!音也くんじゃないですかぁ!」、ちゃ…」
「那月!久しぶりー!そっか、同じクラスだったね!」
「はい、そうですよぉ。よろしくお願いしますねぇ」
「うん!こっちこそよろしく!」
意を決して開いた口はお約束とでもいうように虚しく消えていった。めげるな私、泣くな私。
一十木くんに声を掛けた彼は金髪で、なんとなく金髪=怖い人のイメージがある私からすると少し身構えてしまった。けれど、彼はふわふわしている髪型のおかげでかそこまで怖い印象を受けない。あと纏っている雰囲気も柔らかくて、きっと優しい人なんだろうなぁと予想した。
ワイワイと盛り上がる二人をなんとなく眺めていると金髪の彼と目があった。私の方からは見えていたのだけど、彼の方からは一十木くんの影で私に気付いていなかったらしい。眼鏡もしているし、きっと少し視力も弱いのだろう。目があった彼はドキリとするほど優しい笑みを向けてくれて思わず頬に熱が集まった。
「こんにちはぁ。僕は四ノ宮那月です」
「あ、えと、高原綾奈です!よろしくお願いします!」
「はいっ。綾奈ちゃんですね」
「あれ。そういや那月って17歳だよね?高原と同い年だ!」
「そうなんですかぁ!それじゃあ僕のことはなっちゃんって呼んでください」
同い年同士仲良しさんになりましょう、なんてほわほわしている四ノ宮くんの顔を見ていると反射的に頷いてしまいそうになる。
いやいやいやまてまて。同い年とはいえなんとなく初対面の人をあだ名って照れくさい。だからって名前呼びはもっと照れくさいのだけど…。
こういう時人見知りな自分が本当に嫌になる。一十木くんは四ノ宮くんにもタメ口でしかも名前呼びなのに。純粋にそういうことをやってのけている一十木くんてすごい。
「そ、その照れくさくて…。じょ、序々にそう呼べるようにしたいなぁと…思います」
「…ふふっ。綾奈ちゃんは可愛いですねぇ。分かりました!早く仲良しさんの証を戴けるようにたくさんお話しましょうねぇ」
「は、はい!嬉しいです!こちらこそ!」
じゃあまずは第一歩で握手しましょう!、と言う四ノ宮くんに習って私も笑ってその手を握り返す。私の倍もありそうな大きくて温かいその手にとても安心するのがわかった。そんな気の抜けた顔を見た一十木くんに、いい顔してるよ!、なんて言われて思わず赤面してしまった。どんな顔してたんだ私!!
そうこうしていると校内放送がかかり、新入生は講堂に集合するようにとのことだったので私達は一緒に教室を出た。講堂へ向かう道すがら、周りにいるたくさんの新入生を見渡してまたもや、ほぉ…、と思わず感嘆の声が漏れた。何度もいうがさすがアイドル養成学校というだけあって容姿の整った人が多い。あ、あの人可愛い…、なんて思うと同時にあんなに可愛い人がたくさんいる世界を自分は目指しているのかと思うと足が竦んだ。1年しかない学園生活なのだから落ち込んでいる暇なんてそれこそないのだろうが、底辺から始まる私は死に物狂いで挑まなければあの世界にはきっと入れない。
あのキラキラしたステージに、私はもう一度立ちたい。私がもらったモノを、届けたかったモノを、届けられる存在になりたいからここに来たんだ。
いつの間にか俯いてしまっていた顔をあげる。前を歩く二人は誰が見てもかっこよくて、そして少し話しただけでも分かるぐらい、優しい。
「ん?どうかした高原」
「すみません、歩くの早かったですね」
まずは彼らと並んで歩けるレベルにまで這い上がらないと。
「ううん…!少しぼうっとしてしまって」
立ち止まり、振り返って待ってくれている二人に駆け寄って、少し後ろを歩く。
きっといつか彼らと肩を並べて歩こう。今はまだ置いていかれないように駆け寄るので精一杯だけど、譲れないものを譲らないで済むように。望むものを手に入れられるように。
「死ぬ気で、頑張ろう」
20140606
第1話
春です。暖かい気候に睡魔と戦う季節。睡魔には困ったものだけど桜や梅なんかの植物が芽吹くこの時期は華やかで、私はとても好きだ。
そして春といえば新生活が始まる季節。
私もその新生活を始める為にここ、早乙女学園にやってきた。倍率200の入学するだけでも難しい試験をなんとかパスした私は、今日から晴れてここの生徒となる。この学園に来るまでに色々あったけどそれは割愛させていただこう。
広大な敷地の早乙女学園を見上げて思わず視界が滲む。
本当に夢のようだ。憧れた世界への第一歩。これは私にとって特別な一歩だ。
ここには私のような人がたくさんいる。そして、私も堂々と夢を追いかけられる。
ぐっと意気込んで門をくぐると、いやはや…なんというか、さすがアイドル育成の音楽学校。周りを見渡すと可愛い人やかっこいい人、美人な人が多くてなけなしの自信が見る影もなくなっていく。…い、いやいやそんな私だって一応選ばれてここにいる訳だし…!一応…、となんとか自分を叱咤して宛てがわれた教室へ向かう。
クラスはAクラスだ。
廊下を歩きながら緊張をほぐす為に深呼吸をするけど、早鐘のような心臓は中々大人しくはなってくれなくて。うう…ほんと人見知りは治さないとなぁ…、今後も問題になりそうだ…。
なんとか落ち着けようと教室の扉の前でまた深呼吸。落ち着け。なるようになるんだから。そう暗示をかけていると後ろから、ねぇ、と声をかけられて肩がびくりと跳ねた。び、びっくりした。振り向くと鮮やかな赤髪の爽やかな印象を受ける男の子が立っていた。なんだろう、何か用かな、とその瞳をついじっと見つめると彼は言いにくそうに言葉を探しながら口を開いた。
「えっと…君もAクラス?」
「は、はいっ」
「そっか!じゃあ教室入らない?ここにいてもあれだし!」
「、!すみませんっ塞いでて…!」
「いいよいいよ!気にしなくて!」
どうやら、彼が言いづらそうにしていたのは私が扉の前にいたことで邪魔をしていて退いて欲しかったからだと気付いて瞬時に謝る。あああああ初日から人様にご迷惑を…!
全然!、と明るく笑って彼は、俺も緊張してるから気持ち分かるよ、と言ってくれた。なんていい人なんだ…。
ありがとうございます、と返して扉を開く彼の後に続いて意を決して教室に足を踏み入れた。
「あれ?意外とまだみんな来てないんだね」
「そう、ですね」
彼の拍子抜けした様子に私も一緒に息を吐いた。どうやらまだこのクラスの人は3分の1程度しかきていないようだった。確かに思ったより早くには到着するように自宅を出たのだけど、入った瞬間に視線が集中するぐらいには人がいるかと思っていたから、その…少し安心してしまった。この小心者、と内心で悪態をついた。
どうやら席は決められていて私は廊下側の一番前らしい。そ、そんな都合よく窓側最後尾になんてならないよね…。
残念に思いながらも気を取り直して、さて入学式までどうしていようか、と考える。
アイドル・作曲家を養成するこの学園に入る為に猛勉強はしたけど、正直まだまだ足りないことだらけなのはわかっているし、少しの時間でも勉強しようか。
これまでは頼りきりだったからなぁ…、なんて考えていると先ほど一緒に教室に入った彼が、ねぇねぇ、と私に声をかけてきた。それに応えるように顔をあげれば雨上がりの太陽のように眩しい笑顔で彼は笑った。なんて明るくて暖かい笑顔なんだろう。
「俺、一十木音也!アイドルコースでギターが好きなんだ!君は?」
「あ、高原綾奈です。私もアイドルコースで…」
「高原ね!よろしく!やっぱりアイドルコースか!なんとなくそうかと思ってたんだ」
「一十木くんもなんですね。えっとこちらこそよろしくお願いします」
「うん!これから同じアイドル目指すんだし仲良くしようよ。敬語無しでさ!高原っていくつなの?」
「じゅ、17歳、です」
「え!年上だったの!?逆に俺が敬語使わないといけないじゃん!」
「そ、それは気になさらないでください。敬語じゃない方が、その、嬉しいです」
俺15歳だよ?、と首を傾げる一十木くんに本当にタメ口でいいと告げると彼は嬉しそうに笑った。その笑顔は本当に眩しくて、こういう人がアイドルに向いているっていうんだろうなぁ…、と自分とは正反対の一十木くんに少し気分が下がった。
いや、でもまだ初日なんだからネガティブはなしだ!こうしてすぐ落ち込むのは悪い癖。それをこの学園で克服するのもひとつの目標なのだから頑張らないと!、と意気込む。その様子に一十木くんは不思議そうにしていたけど、高原ってなんか可愛いね、とまた笑った。
「私は一十木くんの笑顔が眩しいです…」
「えー?そうかなぁ。自分じゃよくわかんないな~。ってか高原!敬語は無しって言ったじゃん!」
「わ、私、訛りがあるから…敬語だとそれが出にくいから出来ればこのままで…」
「え!そうなんだ!俺は方言って可愛いと思うけどなー。どこ出身なの?」
「関西で…嫌いとかじゃないんですけど」
「関西ってあれじゃん!『めっちゃ好きやねん』!一回言ってみてよ!生で聞いてみたい!」
「ど、どうしてそのフレーズなんですか…!?」
だって代表的じゃない?、と首を捻る一十木くんに申し訳ないがかなり恥ずかしい。や、別に普通に言えるんだけど、こうして方言を控えようとしていると公言した傍から話すっていうのが恥ずかしい。だけど一十木くんはこの学園にきて初めての友達…だ。あまり無下にはしたくない。
ワクワクした様子で私の言葉を待っている一十木くんは本当に無垢な子供のようで、余計に心臓がぐぐぐと締め付けられた。
よ、よし。これもアイドルへの道なんだ。これぐらいのこと応えられなくてどうする。アイドルになれたらバラエティのお仕事とかあるかもしれないし無茶ぶりにも応えられるようにしないと、…ってもしかして一十木くんは私を試してる?同じアイドル志望として私がどれほどのものか測ろうと!?すごい!一十木くんすごい!!だ、だったら尚更引けないぞ!いけ綾奈!私ならできる!!
「め「あー!音也くんじゃないですかぁ!」、ちゃ…」
「那月!久しぶりー!そっか、同じクラスだったね!」
「はい、そうですよぉ。よろしくお願いしますねぇ」
「うん!こっちこそよろしく!」
意を決して開いた口はお約束とでもいうように虚しく消えていった。めげるな私、泣くな私。
一十木くんに声を掛けた彼は金髪で、なんとなく金髪=怖い人のイメージがある私からすると少し身構えてしまった。けれど、彼はふわふわしている髪型のおかげでかそこまで怖い印象を受けない。あと纏っている雰囲気も柔らかくて、きっと優しい人なんだろうなぁと予想した。
ワイワイと盛り上がる二人をなんとなく眺めていると金髪の彼と目があった。私の方からは見えていたのだけど、彼の方からは一十木くんの影で私に気付いていなかったらしい。眼鏡もしているし、きっと少し視力も弱いのだろう。目があった彼はドキリとするほど優しい笑みを向けてくれて思わず頬に熱が集まった。
「こんにちはぁ。僕は四ノ宮那月です」
「あ、えと、高原綾奈です!よろしくお願いします!」
「はいっ。綾奈ちゃんですね」
「あれ。そういや那月って17歳だよね?高原と同い年だ!」
「そうなんですかぁ!それじゃあ僕のことはなっちゃんって呼んでください」
同い年同士仲良しさんになりましょう、なんてほわほわしている四ノ宮くんの顔を見ていると反射的に頷いてしまいそうになる。
いやいやいやまてまて。同い年とはいえなんとなく初対面の人をあだ名って照れくさい。だからって名前呼びはもっと照れくさいのだけど…。
こういう時人見知りな自分が本当に嫌になる。一十木くんは四ノ宮くんにもタメ口でしかも名前呼びなのに。純粋にそういうことをやってのけている一十木くんてすごい。
「そ、その照れくさくて…。じょ、序々にそう呼べるようにしたいなぁと…思います」
「…ふふっ。綾奈ちゃんは可愛いですねぇ。分かりました!早く仲良しさんの証を戴けるようにたくさんお話しましょうねぇ」
「は、はい!嬉しいです!こちらこそ!」
じゃあまずは第一歩で握手しましょう!、と言う四ノ宮くんに習って私も笑ってその手を握り返す。私の倍もありそうな大きくて温かいその手にとても安心するのがわかった。そんな気の抜けた顔を見た一十木くんに、いい顔してるよ!、なんて言われて思わず赤面してしまった。どんな顔してたんだ私!!
そうこうしていると校内放送がかかり、新入生は講堂に集合するようにとのことだったので私達は一緒に教室を出た。講堂へ向かう道すがら、周りにいるたくさんの新入生を見渡してまたもや、ほぉ…、と思わず感嘆の声が漏れた。何度もいうがさすがアイドル養成学校というだけあって容姿の整った人が多い。あ、あの人可愛い…、なんて思うと同時にあんなに可愛い人がたくさんいる世界を自分は目指しているのかと思うと足が竦んだ。1年しかない学園生活なのだから落ち込んでいる暇なんてそれこそないのだろうが、底辺から始まる私は死に物狂いで挑まなければあの世界にはきっと入れない。
あのキラキラしたステージに、私はもう一度立ちたい。私がもらったモノを、届けたかったモノを、届けられる存在になりたいからここに来たんだ。
いつの間にか俯いてしまっていた顔をあげる。前を歩く二人は誰が見てもかっこよくて、そして少し話しただけでも分かるぐらい、優しい。
「ん?どうかした高原」
「すみません、歩くの早かったですね」
まずは彼らと並んで歩けるレベルにまで這い上がらないと。
「ううん…!少しぼうっとしてしまって」
立ち止まり、振り返って待ってくれている二人に駆け寄って、少し後ろを歩く。
きっといつか彼らと肩を並べて歩こう。今はまだ置いていかれないように駆け寄るので精一杯だけど、譲れないものを譲らないで済むように。望むものを手に入れられるように。
「死ぬ気で、頑張ろう」
20140606
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