再開と秋組公演
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心を、揺さぶられる。
第7話
「千秋楽お疲れ様でした!」
秋組旗揚げ公演"なんて素敵にピカレスク"。
先ほど無事千秋楽を大成功にて幕を下ろした。初日に観劇したものを遥かに超える完成度だった。七尾くんは憑き物が取れたようで、ただの脇役に深みを出した。彼には彼のストーリーがあることを観客に想像させるものだった。
何より一番変わったのは意外にも古市さんだった。それこそ主役二人を食っていく勢いだった。いや、正直食っていたような気もする。本気になった、ということなのだろうか。
バラバラと好感触の感想を語らいながら客席をあとにしていくお客さんを尻目に、いづみが用意してくれた最高の席でじっとステージを眺める。明日にはもうこのセットも片づけてしまうのだから見納めだ。
「ちょっと綾奈。楽屋行くよ」
「瑠璃川くん。…ちょっと先に行ってもらっててもいいかな。もう少し余韻に浸っていたくって」
「ったく。分かった。あんまり遅いと先帰るから」
「うん。ありがとう」
関係者席で観劇していた夏組メンバーはゾロゾロと楽屋へと向かった。みんな表情は明るい。きっと秋組の演技に感化されたのだろう。かくいう私もその一人だ。演劇が好きだということを再確認させられた。
初日の公演でもいい出来栄えだと思ったけど、今日の千秋楽を見てからだと初日のはまだまだだったんだなと分かる。彼らの伸びしろは測れないのかもしれない。
すっかり私一人になった劇場でゆっくりと目を閉じて深呼吸する。まだロビーには人がいるのか、ざわざわと喧噪が聞こえる。
…うん。久しぶりにやりたいことが出来た。
そして私もゆっくりとMANKAI劇場をあとにした。
「失礼しまーす。千秋楽お疲れ様でした!」
「お、綾奈さん。おせーよ」
「めちゃくちゃ感動したから余韻に浸ってたのー」
「惚れたっしょ?」
「その言葉が無ければ完璧だった」
終演から1時間弱は経ってから楽屋にお邪魔すると、みんな衣装から私服に着替えてはいたもののまだまったりと各々過ごしているようだった。最初に気付いてくれた万里くんはいつもの調子だったけど流石にちょっと疲れたように見えた。でも達成感に溢れた表情。いや、待てよ。疲れたように見えるのは隣にいる茅ヶ崎さんとゲームしてるからか?
「差し入れも持ってきたよ~。駅前のシュークリーム!甘さ控えめだからきっと甘いの苦手な人でも大丈夫だと思う!」
「マジで!駅前のって人気のとこだよね!中々買えないって聞いたんだけど!やばたん!」
「さすが三好くん、良く知ってるね。少し前に予約して取り置きしてもらってたんだ~!みんなの分もあるから食べて!一人2つはあたるはず」
「へぇ、そんなに有名なのか。気になるな」
「伏見さんのお口に合えばいいけど。もしかしたら伏見さんの手作りの方がみんなの好みの味で作れちゃうかも」
「シュークリーム~?さんかくある~?」
「ある訳ねぇだろ!」
わらわらと箱に集まってきてどんどん消えていくシュークリーム。美味しい!、という反応を見れるだけで買ってきた甲斐があったと思う。見た目的に甘いものが苦手そうな古市さんも普通に食べてるところを見ると口にはあったらしい。よかった。
ぐるりと部屋を見渡すともぐもぐと人一倍熱心に食べている人物が。結構見た目とのギャップがある。いやでも頬にクリームなんかつけちゃって彼もまだ若いんだな、と穏やかな気持ちになった。美味しい?、と彼の隣に腰を下ろすとびくりと反応してから少し気まずそうに小さく頷いた。
「甘いの好きなんだね、兵頭くん」
「…ッス」
「もう一個食べる?私一つでいいし」
「え、いやでも」
「今日の公演めちゃくちゃ感動しちゃったから。みんなには内緒ね?」
「…アザッス」
「ふふ。うん。お疲れ様」
そのまま彼の隣に座ったまま、公演中の話なんかをしていく。私は知らなかったけど衣装だけじゃなく小道具まで無くなったこともあったらしい。それは迫田さんなんかの協力もあって事なきを得たのだと。
七尾くんの衣装の件も、私がここに来るまでに落ち着いたらしい。彼はきちんと瑠璃川くんに謝って、そして瑠璃川くんもそれを許したのだと。ならもう私が口出すことではない。
これで、ようやく秋組公演は終演だ。
「このあと打ち上げらしいッスよ。綾奈さんも来るんスよね」
「え?や、私は関係者じゃないからな~」
「?衣装制作手伝ってくれたじゃないッスか」
「あれはあくまでお手伝いの範囲だから。打ち上げはMANKAIカンパニーのメンバーでやる方がいいよ」
「かてーこと言ってんなよ綾奈サン。監督ちゃんがいるとはいえむさ苦し過ぎっしょ」
「わっ!びっくりした、万里くんか」
「オイ、綾奈さんを乱暴に扱うんじゃねぇ摂津」
「はぁ?うるせーよ兵頭」
打ち上げの話になって当然のように来るんだろうと言われて驚いた。お手伝いでしかない私が行くのは忍びない。椅子の後ろから私の肩を組むように体重をかけてきた万里くんも誘ってくれたが、なんとも気まずい。そしてそこ喧嘩しない。
万里くんにも兵頭くんに言ったように説明するが納得してもらえない上に、確か監督ちゃんは綾奈さんのこと頭数にいれてたぞ、と言われてしまえば何も言えなくなってしまった。いいのかな、私も参加しちゃって。これだけ誘ってもらってもまだ頭を縦に振らない私にゲームしていたはずの茅ヶ崎さんまで近くにやってきた。なんかちょっとニヤニヤしてるのはなんなんだろう。
「会社の飲み会は抜けられないから好きじゃないけど宅飲みなら別だわ。高原さん酒強いの?」
「…弱くはないですけど別に普通だと」
「マジか。ちょっと意外。成人組少ないしさ。一緒に飲んでくれると嬉しいんだけど」
「酔った綾奈さんとか超見てー」
「万里くん黙って」
帰す気はない、とニヤニヤしている茅ヶ崎さんにため息を吐いた。確かに、成人してるのは茅ヶ崎さんと古市さん、それに伏見さんといづみぐらいだろうからその中で飲むのに気が引けるのは分からないでもない。茅ヶ崎さんが本当にそんなことを気にするかは別として。
分かりました、と返事をすればハイタッチをする万里くんと茅ヶ崎さんの頭を叩きたくなった私は悪くないと思う。
「じゃあそろそろ戻った方がいいんじゃ?お風呂とかも入りたいでしょ。食事の用意とかは私手伝うし」
「あー、だな。んじゃそろそろ寮に戻っか」
「俺、料理は守備範囲外だから高原さん、代わりによろ」
万里くんの声にみんなゾロゾロと腰をあげ、楽屋をあとにしていく。伏見さんが料理担当してるらしいけど、少しは休んでもらいたいし、いづみに言って先に準備し始めよう。参加するからにはお世話になりっぱなしにはなりたくないし。
それでも、すぐにシャワー浴びてくる、という伏見さんにゆっくりして、と笑ったのだが料理するのが好きだから自分もやりたいのだと言われてしまえば流石にそれ以上は言えなくて結局彼の腕にお世話になりそうである。
「臣~。オレ、さんかくおにぎりがいいな~!」
「そうだな。その方がみんなも食べやすいだろうし立食的な感じで食べられるものメインにするか」
「あ、それなら力になれそう。人数が人数だし私おにぎり担当しますよ」
「やった~!さんかく~!じゃあオレも綾奈と一緒にさんかく作る~!」
「色んな具をいれようね、斑鳩くん」
「うん!オレ、おかかとか好きだよ~」
「うん、採用」
賑やかな食卓になりそうだ。
20170726
第7話
「千秋楽お疲れ様でした!」
秋組旗揚げ公演"なんて素敵にピカレスク"。
先ほど無事千秋楽を大成功にて幕を下ろした。初日に観劇したものを遥かに超える完成度だった。七尾くんは憑き物が取れたようで、ただの脇役に深みを出した。彼には彼のストーリーがあることを観客に想像させるものだった。
何より一番変わったのは意外にも古市さんだった。それこそ主役二人を食っていく勢いだった。いや、正直食っていたような気もする。本気になった、ということなのだろうか。
バラバラと好感触の感想を語らいながら客席をあとにしていくお客さんを尻目に、いづみが用意してくれた最高の席でじっとステージを眺める。明日にはもうこのセットも片づけてしまうのだから見納めだ。
「ちょっと綾奈。楽屋行くよ」
「瑠璃川くん。…ちょっと先に行ってもらっててもいいかな。もう少し余韻に浸っていたくって」
「ったく。分かった。あんまり遅いと先帰るから」
「うん。ありがとう」
関係者席で観劇していた夏組メンバーはゾロゾロと楽屋へと向かった。みんな表情は明るい。きっと秋組の演技に感化されたのだろう。かくいう私もその一人だ。演劇が好きだということを再確認させられた。
初日の公演でもいい出来栄えだと思ったけど、今日の千秋楽を見てからだと初日のはまだまだだったんだなと分かる。彼らの伸びしろは測れないのかもしれない。
すっかり私一人になった劇場でゆっくりと目を閉じて深呼吸する。まだロビーには人がいるのか、ざわざわと喧噪が聞こえる。
…うん。久しぶりにやりたいことが出来た。
そして私もゆっくりとMANKAI劇場をあとにした。
「失礼しまーす。千秋楽お疲れ様でした!」
「お、綾奈さん。おせーよ」
「めちゃくちゃ感動したから余韻に浸ってたのー」
「惚れたっしょ?」
「その言葉が無ければ完璧だった」
終演から1時間弱は経ってから楽屋にお邪魔すると、みんな衣装から私服に着替えてはいたもののまだまったりと各々過ごしているようだった。最初に気付いてくれた万里くんはいつもの調子だったけど流石にちょっと疲れたように見えた。でも達成感に溢れた表情。いや、待てよ。疲れたように見えるのは隣にいる茅ヶ崎さんとゲームしてるからか?
「差し入れも持ってきたよ~。駅前のシュークリーム!甘さ控えめだからきっと甘いの苦手な人でも大丈夫だと思う!」
「マジで!駅前のって人気のとこだよね!中々買えないって聞いたんだけど!やばたん!」
「さすが三好くん、良く知ってるね。少し前に予約して取り置きしてもらってたんだ~!みんなの分もあるから食べて!一人2つはあたるはず」
「へぇ、そんなに有名なのか。気になるな」
「伏見さんのお口に合えばいいけど。もしかしたら伏見さんの手作りの方がみんなの好みの味で作れちゃうかも」
「シュークリーム~?さんかくある~?」
「ある訳ねぇだろ!」
わらわらと箱に集まってきてどんどん消えていくシュークリーム。美味しい!、という反応を見れるだけで買ってきた甲斐があったと思う。見た目的に甘いものが苦手そうな古市さんも普通に食べてるところを見ると口にはあったらしい。よかった。
ぐるりと部屋を見渡すともぐもぐと人一倍熱心に食べている人物が。結構見た目とのギャップがある。いやでも頬にクリームなんかつけちゃって彼もまだ若いんだな、と穏やかな気持ちになった。美味しい?、と彼の隣に腰を下ろすとびくりと反応してから少し気まずそうに小さく頷いた。
「甘いの好きなんだね、兵頭くん」
「…ッス」
「もう一個食べる?私一つでいいし」
「え、いやでも」
「今日の公演めちゃくちゃ感動しちゃったから。みんなには内緒ね?」
「…アザッス」
「ふふ。うん。お疲れ様」
そのまま彼の隣に座ったまま、公演中の話なんかをしていく。私は知らなかったけど衣装だけじゃなく小道具まで無くなったこともあったらしい。それは迫田さんなんかの協力もあって事なきを得たのだと。
七尾くんの衣装の件も、私がここに来るまでに落ち着いたらしい。彼はきちんと瑠璃川くんに謝って、そして瑠璃川くんもそれを許したのだと。ならもう私が口出すことではない。
これで、ようやく秋組公演は終演だ。
「このあと打ち上げらしいッスよ。綾奈さんも来るんスよね」
「え?や、私は関係者じゃないからな~」
「?衣装制作手伝ってくれたじゃないッスか」
「あれはあくまでお手伝いの範囲だから。打ち上げはMANKAIカンパニーのメンバーでやる方がいいよ」
「かてーこと言ってんなよ綾奈サン。監督ちゃんがいるとはいえむさ苦し過ぎっしょ」
「わっ!びっくりした、万里くんか」
「オイ、綾奈さんを乱暴に扱うんじゃねぇ摂津」
「はぁ?うるせーよ兵頭」
打ち上げの話になって当然のように来るんだろうと言われて驚いた。お手伝いでしかない私が行くのは忍びない。椅子の後ろから私の肩を組むように体重をかけてきた万里くんも誘ってくれたが、なんとも気まずい。そしてそこ喧嘩しない。
万里くんにも兵頭くんに言ったように説明するが納得してもらえない上に、確か監督ちゃんは綾奈さんのこと頭数にいれてたぞ、と言われてしまえば何も言えなくなってしまった。いいのかな、私も参加しちゃって。これだけ誘ってもらってもまだ頭を縦に振らない私にゲームしていたはずの茅ヶ崎さんまで近くにやってきた。なんかちょっとニヤニヤしてるのはなんなんだろう。
「会社の飲み会は抜けられないから好きじゃないけど宅飲みなら別だわ。高原さん酒強いの?」
「…弱くはないですけど別に普通だと」
「マジか。ちょっと意外。成人組少ないしさ。一緒に飲んでくれると嬉しいんだけど」
「酔った綾奈さんとか超見てー」
「万里くん黙って」
帰す気はない、とニヤニヤしている茅ヶ崎さんにため息を吐いた。確かに、成人してるのは茅ヶ崎さんと古市さん、それに伏見さんといづみぐらいだろうからその中で飲むのに気が引けるのは分からないでもない。茅ヶ崎さんが本当にそんなことを気にするかは別として。
分かりました、と返事をすればハイタッチをする万里くんと茅ヶ崎さんの頭を叩きたくなった私は悪くないと思う。
「じゃあそろそろ戻った方がいいんじゃ?お風呂とかも入りたいでしょ。食事の用意とかは私手伝うし」
「あー、だな。んじゃそろそろ寮に戻っか」
「俺、料理は守備範囲外だから高原さん、代わりによろ」
万里くんの声にみんなゾロゾロと腰をあげ、楽屋をあとにしていく。伏見さんが料理担当してるらしいけど、少しは休んでもらいたいし、いづみに言って先に準備し始めよう。参加するからにはお世話になりっぱなしにはなりたくないし。
それでも、すぐにシャワー浴びてくる、という伏見さんにゆっくりして、と笑ったのだが料理するのが好きだから自分もやりたいのだと言われてしまえば流石にそれ以上は言えなくて結局彼の腕にお世話になりそうである。
「臣~。オレ、さんかくおにぎりがいいな~!」
「そうだな。その方がみんなも食べやすいだろうし立食的な感じで食べられるものメインにするか」
「あ、それなら力になれそう。人数が人数だし私おにぎり担当しますよ」
「やった~!さんかく~!じゃあオレも綾奈と一緒にさんかく作る~!」
「色んな具をいれようね、斑鳩くん」
「うん!オレ、おかかとか好きだよ~」
「うん、採用」
賑やかな食卓になりそうだ。
20170726
