再開と秋組公演
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「…なにそれ酷くなってるの?」
「らしいよ。最近はイタズラ電話とかも来てるって」
「そう…」
第4話
初めてMANKAI寮にお邪魔してから数日後。無事翌日の有給も獲得した私は仕事終わりにMANKAI寮に訪れていた。夕飯まではまだ時間があるから、と瑠璃川くんと衣装の細かいところを詰めていく。明後日がゲネプロらしい。まじか。
人並みには器用ではあるからどうやら役には立てているらしい。その中で、先日いづみにも相談されていた脅迫についての話を聞いた。未だに誰がやっているのかは分かっていないらしいけど…。
「実力行使するっていうのが気になるね…。今のところみんな怪我とかはしてない?」
「うん。それは今のとこないよ。ただこの前からチケット発売開始してて、最近は宣伝を兼ねて町に出てるからそこで何もないといいけど」
「確かにそうだね…。一応いづみにも一人で出歩かないようにとは言ってるんだけど、きっと守ってないんだろうなぁあの子」
「正解。昨日も普通に一人で買い出し出てた」
「もう…」
何かあってからじゃ遅いのに…、そうぶつくさいう私に瑠璃川くんも、同感、とため息をついた。
「御馳走様でした。伏見さん、すごいですね。本当においしかったです」
「ハハッ。そりゃよかった。後でデザートのスコーンも持ってくな」
「うわ~!楽しみ!」
料理男子な伏見さんの夕飯も頂いたところで先にお風呂をいただきにいく。全部終わらせてから作業したほうが気が楽だし。いづみに先にどうぞと言ったけど、綾奈には頑張ってもらわないとだから、とやんわりと断られて先にお風呂をいただくことになった。ありがたい。でも一人で出掛けることを黙認するつもりはないぞ。
寮というだけあって大きなお風呂を堪能し、スキンケアもしっかりして髪も大体乾かして談話室に向かう。瑠璃川くんの部屋だと皇くんもいるから、と私がお願いしたのだ。まさか芸能人の彼までもここの劇団員だとは思わなくて本当に驚いた。まぁ、話してみると普通の男子高校生だったけど。
「あれ。高原さん」
「あ、茅ヶ崎さん。おかえりなさい、今日は遅かったんですね」
「ただいま。そ、会社の飲み会。マジ疲れた」
「アハハ、お疲れ様です。今日と明日、ちょっとお邪魔しますね」
「あぁ、秋組の衣装作り手伝ってくれるんだっけ」
「はい。微力ながら頑張ります」
「うん。よろ」
今日の夕飯なに?、と言いながら靴を脱ぎだした茅ヶ崎さんに、脱ぎにくいだろうと鞄を持ってあげて、なんかオシャレな名前のイタリアンでしたよ、と返す。そして顔をあげるとそこにはどこかぼやっとした表情で立っている佐久間くんの姿。こっちを見てるのは確かだけど、どうしたんだろう。
「…」
「佐久間くん?どうしたの?」
「あ、ほんとだ。なんかフリーズしてる」
「うわぁ!あ、お、おかえりなさい至さん!すみません、そうしてると二人が夫婦みたいに見えちゃって…!」
「え」
「まじか」
「はい!思わず見入っちゃいました!」
「…おかえりなさい、至さん。お風呂にします?ご飯にします?…それとも、私?」
「もちろん綾奈」
「えええええ!!!ほ、ほんとに夫婦だったんですか…っ!」
「こーら、綾奈!至さんも!二人して咲也くんからかうの辞めてください!」
ええっ!からかわれてたんですかオレ!、と驚く佐久間くんに茅ヶ崎さんと二人で顔を見合わせて笑う。通りがかったいづみは、もう!、と少しご立腹。すみません純情な男子高校生を弄んで。可愛かったです。いつまでも純粋に育ってくださいお願いします。
「ほんと高原さん楽だわ」
「私も茅ヶ崎さんのノリ好きですよ」
「高原さんは表の顔知らないから余計かな」
「表?私にとっての表は今の茅ヶ崎さんなのでなんとも…いやでもちょっと見たいです、他の顔」
「…まぁ。そのうちね」
あ、咲也あとでガチャ代打よろ~、と言って彼は自室に向かった。佐久間くんも元気に返事していた。可愛いなぁ。
じゃあ私もそろそろ衣装作成取り掛かるね、とその場をあとにする。いづみは本当に通りがかっただけだったらしく、よろしく、と言って手を振った。
談話室に入ると既に作業を始めていた瑠璃川くんに、遅い、と悪態をつかれ、素直に謝って私も手を動かす。
綾奈のそのパジャマ可愛い。どこの?、なんて女子会のような会話をしながら二人とも手元は動かす。瑠璃川くんなら女子用でも似合いそうだったけど、メンズ用も可愛かったよ、と言えばスルスルと動いていた彼の手が止まった。じっと視線を感じたから私もそれにならって手を止めた。どうしたんだろう。
「…オレは自分の恰好が"普通"の枠に入ってないのは分かってる。誰に言われようと変えないけど、綾奈は、どう思う?」
「…誰かになにか言われたの?」
「日常茶飯事。別に気にしてないけど」
「そっか…」
初めて会った時から彼は可愛くて。そういえばそれをおかしいとは思わなかったかもしれない。そういう子なんだってスルッと飲み込めた気がする。彼は自分では納得しているんだけど、それでもまだ若い彼は多少なりとも周りの目も気になるんだろう。そりゃそうだ。人目が気にならない人間なんていない。
視線を手元の衣装に落としてる彼の名前を呼んで顔をあげさせる。うん。私の答えは簡単だ。
「いいと思うよ」
「、」
「好きなものを好きって言ってるだけだしね。それにそれは簡単なようで思ってるより勇気がいることなんだよ。それにここの人たちはみんなそのままの瑠璃川くんを見てくれる。だよね?」
「…まぁ」
「認めてもらえないことって寂しいことだから。瑠璃川くんは胸をはってていいと思うよ。可愛いものが好きな瑠璃川くんも全部、瑠璃川くんだよ」
「っ」
「それにそんなに可愛く着こなされちゃ女子の面目丸つぶれだわ~!」
「…いいこと言ったかと思ったらそれかよ…っ馬鹿じゃないのっ…」
ポスッと私の肩に頭を預けてきた瑠璃川くんの頭を撫でてあげる。きっと髪にも気を遣っているんだろう。サラサラとしていい匂いもする。普段は堂々としている瑠璃川くんだけど不安がないわけではないだろう。でも、この場所がどうか彼の心安らぐ場所でありますように。彼が彼でいられる場所でありますように。
「お疲れ。スコーン持ってきた、…幸、寝てるのか?」
「はい。ちょっとお疲れだったみたいです。あ、でもスコーンは食べます!私が!」
「ハハッ!分かった。幸が起きたらまた温めてやってくれ。キッチンに置いとく」
「任されました!」
「…幸、安心しきった顔してるな」
「そうですか?ちょっとでも休んでくれてたらいいな」
「幸はいつもしっかりしてるからこうやって甘えることってそうないからな。ありがとう」
幸くんを見る伏見さんの表情はとても穏やかで優しくて。ほら、ちゃんと君を見てくれる人はいるよ、瑠璃川くん。
そのまま幸くんは朝まで起きず、私はスコーンを食しながら黙々と作業に取り掛かった。その成果もあり、衣装は無事に完成した。
翌日、気まずそうに瑠璃川くんに謝られて笑ってしまった。でもその表情はスッキリしていたから何も言わずに頭を撫でた。ら、振り払われた。悲しい。
20170723
「らしいよ。最近はイタズラ電話とかも来てるって」
「そう…」
第4話
初めてMANKAI寮にお邪魔してから数日後。無事翌日の有給も獲得した私は仕事終わりにMANKAI寮に訪れていた。夕飯まではまだ時間があるから、と瑠璃川くんと衣装の細かいところを詰めていく。明後日がゲネプロらしい。まじか。
人並みには器用ではあるからどうやら役には立てているらしい。その中で、先日いづみにも相談されていた脅迫についての話を聞いた。未だに誰がやっているのかは分かっていないらしいけど…。
「実力行使するっていうのが気になるね…。今のところみんな怪我とかはしてない?」
「うん。それは今のとこないよ。ただこの前からチケット発売開始してて、最近は宣伝を兼ねて町に出てるからそこで何もないといいけど」
「確かにそうだね…。一応いづみにも一人で出歩かないようにとは言ってるんだけど、きっと守ってないんだろうなぁあの子」
「正解。昨日も普通に一人で買い出し出てた」
「もう…」
何かあってからじゃ遅いのに…、そうぶつくさいう私に瑠璃川くんも、同感、とため息をついた。
「御馳走様でした。伏見さん、すごいですね。本当においしかったです」
「ハハッ。そりゃよかった。後でデザートのスコーンも持ってくな」
「うわ~!楽しみ!」
料理男子な伏見さんの夕飯も頂いたところで先にお風呂をいただきにいく。全部終わらせてから作業したほうが気が楽だし。いづみに先にどうぞと言ったけど、綾奈には頑張ってもらわないとだから、とやんわりと断られて先にお風呂をいただくことになった。ありがたい。でも一人で出掛けることを黙認するつもりはないぞ。
寮というだけあって大きなお風呂を堪能し、スキンケアもしっかりして髪も大体乾かして談話室に向かう。瑠璃川くんの部屋だと皇くんもいるから、と私がお願いしたのだ。まさか芸能人の彼までもここの劇団員だとは思わなくて本当に驚いた。まぁ、話してみると普通の男子高校生だったけど。
「あれ。高原さん」
「あ、茅ヶ崎さん。おかえりなさい、今日は遅かったんですね」
「ただいま。そ、会社の飲み会。マジ疲れた」
「アハハ、お疲れ様です。今日と明日、ちょっとお邪魔しますね」
「あぁ、秋組の衣装作り手伝ってくれるんだっけ」
「はい。微力ながら頑張ります」
「うん。よろ」
今日の夕飯なに?、と言いながら靴を脱ぎだした茅ヶ崎さんに、脱ぎにくいだろうと鞄を持ってあげて、なんかオシャレな名前のイタリアンでしたよ、と返す。そして顔をあげるとそこにはどこかぼやっとした表情で立っている佐久間くんの姿。こっちを見てるのは確かだけど、どうしたんだろう。
「…」
「佐久間くん?どうしたの?」
「あ、ほんとだ。なんかフリーズしてる」
「うわぁ!あ、お、おかえりなさい至さん!すみません、そうしてると二人が夫婦みたいに見えちゃって…!」
「え」
「まじか」
「はい!思わず見入っちゃいました!」
「…おかえりなさい、至さん。お風呂にします?ご飯にします?…それとも、私?」
「もちろん綾奈」
「えええええ!!!ほ、ほんとに夫婦だったんですか…っ!」
「こーら、綾奈!至さんも!二人して咲也くんからかうの辞めてください!」
ええっ!からかわれてたんですかオレ!、と驚く佐久間くんに茅ヶ崎さんと二人で顔を見合わせて笑う。通りがかったいづみは、もう!、と少しご立腹。すみません純情な男子高校生を弄んで。可愛かったです。いつまでも純粋に育ってくださいお願いします。
「ほんと高原さん楽だわ」
「私も茅ヶ崎さんのノリ好きですよ」
「高原さんは表の顔知らないから余計かな」
「表?私にとっての表は今の茅ヶ崎さんなのでなんとも…いやでもちょっと見たいです、他の顔」
「…まぁ。そのうちね」
あ、咲也あとでガチャ代打よろ~、と言って彼は自室に向かった。佐久間くんも元気に返事していた。可愛いなぁ。
じゃあ私もそろそろ衣装作成取り掛かるね、とその場をあとにする。いづみは本当に通りがかっただけだったらしく、よろしく、と言って手を振った。
談話室に入ると既に作業を始めていた瑠璃川くんに、遅い、と悪態をつかれ、素直に謝って私も手を動かす。
綾奈のそのパジャマ可愛い。どこの?、なんて女子会のような会話をしながら二人とも手元は動かす。瑠璃川くんなら女子用でも似合いそうだったけど、メンズ用も可愛かったよ、と言えばスルスルと動いていた彼の手が止まった。じっと視線を感じたから私もそれにならって手を止めた。どうしたんだろう。
「…オレは自分の恰好が"普通"の枠に入ってないのは分かってる。誰に言われようと変えないけど、綾奈は、どう思う?」
「…誰かになにか言われたの?」
「日常茶飯事。別に気にしてないけど」
「そっか…」
初めて会った時から彼は可愛くて。そういえばそれをおかしいとは思わなかったかもしれない。そういう子なんだってスルッと飲み込めた気がする。彼は自分では納得しているんだけど、それでもまだ若い彼は多少なりとも周りの目も気になるんだろう。そりゃそうだ。人目が気にならない人間なんていない。
視線を手元の衣装に落としてる彼の名前を呼んで顔をあげさせる。うん。私の答えは簡単だ。
「いいと思うよ」
「、」
「好きなものを好きって言ってるだけだしね。それにそれは簡単なようで思ってるより勇気がいることなんだよ。それにここの人たちはみんなそのままの瑠璃川くんを見てくれる。だよね?」
「…まぁ」
「認めてもらえないことって寂しいことだから。瑠璃川くんは胸をはってていいと思うよ。可愛いものが好きな瑠璃川くんも全部、瑠璃川くんだよ」
「っ」
「それにそんなに可愛く着こなされちゃ女子の面目丸つぶれだわ~!」
「…いいこと言ったかと思ったらそれかよ…っ馬鹿じゃないのっ…」
ポスッと私の肩に頭を預けてきた瑠璃川くんの頭を撫でてあげる。きっと髪にも気を遣っているんだろう。サラサラとしていい匂いもする。普段は堂々としている瑠璃川くんだけど不安がないわけではないだろう。でも、この場所がどうか彼の心安らぐ場所でありますように。彼が彼でいられる場所でありますように。
「お疲れ。スコーン持ってきた、…幸、寝てるのか?」
「はい。ちょっとお疲れだったみたいです。あ、でもスコーンは食べます!私が!」
「ハハッ!分かった。幸が起きたらまた温めてやってくれ。キッチンに置いとく」
「任されました!」
「…幸、安心しきった顔してるな」
「そうですか?ちょっとでも休んでくれてたらいいな」
「幸はいつもしっかりしてるからこうやって甘えることってそうないからな。ありがとう」
幸くんを見る伏見さんの表情はとても穏やかで優しくて。ほら、ちゃんと君を見てくれる人はいるよ、瑠璃川くん。
そのまま幸くんは朝まで起きず、私はスコーンを食しながら黙々と作業に取り掛かった。その成果もあり、衣装は無事に完成した。
翌日、気まずそうに瑠璃川くんに謝られて笑ってしまった。でもその表情はスッキリしていたから何も言わずに頭を撫でた。ら、振り払われた。悲しい。
20170723
