GW遠征合宿篇
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「なっ!なにか手伝うことって、ありっあります、か!!!」
第3話
ついに明日は遠征合宿。前日だから今日は色々やらないといけないことが山積みだ。持っていく備品をまとめたり、加えて今日の練習用のドリンクやらも用意しないとだし、昨日黒尾さんと約束したボール出しもきっとやる場面が出てくるだろう。うーん、放課後だけじゃ間に合う気がしない。
しかも先ほど朝練を終えて登校してきた福永くん曰く、猫又監督に昨日提案した大量のタオルが届いたとかなんとか。伝手でもあったのかな。仕事が早くて助かるけども。しかし新品となると吸水性が悪いから一度洗濯したいところ。
「ねぇ、昼休みとかに部室ってあいてるのかな。明日の遠征の準備したいんだけど…」
やっぱりそういうのって放課後まで使えない?、と福永くんに相談してみれば部室の鍵はそれぞれの部長が管理しているとのこと。つまり黒尾さんが持ってるのか。じゃあ直接聞きにいくか、と思案していると気を利かせた福永くんが黒尾さん宛にLINEを送ってくれたらしい。さすが。
すぐに返信もきて、少し時間の長い中休みに取りにいくことになった。備品のリストアップもしたかったからその時に一緒に聞こう。ありがとね、と笑えば親指を立ててくれた。やっぱり彼はいい人だ。
「うーん…思いつくのはこれぐらいだけど…あんまり荷物増えてもなぁ」
授業中にせこせこ作った備品リストを眺めながら黒尾さんのクラスへ向かう。あるに越したことはないとはいえ、あまり持って行きすぎも良くない。というか持てない。私が。
そこも黒尾さんと要相談だなぁ 、と考えながら着いた先は3年5組。福永くん情報によるとここが黒尾さんと夜久さんのクラスなのだとか。上級生の教室は緊張するなぁ、とコソッと中を様子見ればそこにはお目当ての黒尾さん、と夜久さん。そして遊びにきているのか海さんの姿があった。気付いてもらえるかな~っと視線を送ってみるが残念ながら私に目力はないらしく、時間も惜しいので近くにいた先輩に声をかけた。その人はえらく顔を赤くして狼狽えた後、黒尾さんを呼びに行ってくれた。そ、そんなにびっくりしたのかな。
申し訳ない、と心の中で謝罪しているとその先輩に声をかけられた黒尾さんがフイっと私に視線をやった。小さく頭を下げるとニカリと笑って、一緒にいた夜久さんと海さんも扉の前まで来てくれた。
「おはよーさん。ワリーな、わざわざ」
「おはようございます。いえ、私こそ無理言ってすみません。本当にお借りして大丈夫なんですか?」
「構わねーよ。気にすんな」
「高原さん、お昼は食べる時間あるのか?」
「大丈夫です、海さん。洗濯回してる間にその辺りで食べるので」
「えーマネちゃん1人で~?」
「黒尾キモ」
「なんですか、一緒に食べてくれるんですか黒尾さん」
夜久さんの辛辣な反応に「キモくねーよ!」と反論した黒尾さんは私の言葉にフム、と少し思案したあとニヤリと笑った。なんと嫌な笑みだ。爽やかさのかけらも無い。
「イイねー!そうするか、マネちゃん?」
「丁重にお断りします」
「なんでっ!!!」
「先輩の好意は受け取るもんだろ!」とプンスコ怒る黒尾さんはさておき、副主将である海さんに備品のリストを確認してもらう。フム、と顎に手を当てて思案する海さんは「あー…確かにこれはあるといいな」とか「これは合宿所で借りられるから無くていいよ」だとか、かなり充実した返答をしてくれた。
そういえば聞いてなかったけど、今回行くのは烏野総合運動公園の体育館でそこの使える合宿所があるらしい。合宿所ともなれば確かに色々な備品はありそう。消耗品ぐらいを持って行っておけばいいか、と私の中でも解決。行きも帰りも新幹線だというからリッチである。さすが強豪は部費も多いんだな。今回は私もそれにあやかりマス。
「海さん、ありがとうございました。助かりました。さすが頼りになりますね」
「お安い御用だよ。また何か分からないことがあったら聞いてくれ」
「ちょっとマネちゃん~?その言い方だと主将の立場がないんだケド?」
「あ、鍵の管理ありがとうございます主将さん。大切な鍵の管理はしっかりやりますんで安心してください主将さん」
「おまっ!このやろ!」
わしゃわしゃ~!、と髪をぐりぐり撫でられ、セットなんてあったもんじゃない。そんな言うほどしっかりセットなんてしてないけども。でも今まで先輩っていう存在がいなかったからこうやって可愛がってくれるのは少し気恥ずかしくもあり、嬉しいというのが本音だったりする。
「おい!女の子だぞ黒尾!やめろ!」という夜久さんは失礼だけどお母さんみを感じました。
「あ~…お腹すいたなぁ」
昼休み。タオルの洗濯は洗濯機を回して干すところまでやりたいので足早に教室を後にする。既にお腹は飯を寄越せとグルグル鳴いている。もう少し我慢してくれ私の腹よ。
よしよし、とお腹をさすりながら着いた部室前には大量の段ボール。どうやらこれが猫又監督が手配してくれたタオルらしい。うーん…多すぎる気もするけどこれからも使うって考えると別にいいのかな。
とりあえず今回は一箱分だけ洗おう、と開封していく。残りはとりあえず部室の端っこへ置かせてもらう。置き場所とかは部員の人に決めてもらおう。変にまとめておいたら場所分からなくなっちゃうだろうし。思っていたより綺麗な部室を見渡して洗剤だけ手にして洗濯に向かう。時間はないのだ。私のお腹の為にも。
「高原っさん!!、」
「おわ!?び、びっくりした…山本くんか。どうかした?部室に忘れ物?」
「なっ!なにか手伝うことって、ありっあります、か!!!」
「えっ、手伝い?」
さてお昼だ、と部室棟の近くのベンチに腰掛けると呼ばれた名前。驚いて顔を上げればそこに山本くんの姿。人見知りなのに頑張って声をかけてくれたのか、ガチガチのまま何か手伝うことはないかと聞いてくれた。なんで私がここにいること知ってたんだろう?、と疑問に思いながらもご厚意は嬉しいけど、洗濯回すだけだったし特にない。それをそのまま伝えると彼は目に見えて落ち込んだ。あぁ…なんかごめん。
「でもわざわざありがとう。私、山本くんに嫌われてるのかと思ってたから嬉しい」
「え!?!?んな訳っ…!つかなんで!!!」
「だ、だって一昨日も私の姿みて衝撃受けてる感じだったから…何か私が知らない間に嫌な事しちゃってたのかと思、」
「それはない!断じて!!!」
「そ、それならよかった」
ということはつまり本当にただの人見知りってことでいいのかな?なのに勇気を出して声をかけてくれたのか。嬉しいな。
ありがとう、と笑うと毎度のごとく顔を真っ赤にした彼にフフと笑ってお昼は食べたのかと聞けばまだだというからよかったら一緒に食べようと誘う。かなり狼狽した彼は暫く葛藤し、そして何かを決心したかのように少し離れた地面に腰を下ろした。ベンチ空いてるのに、とは言わない。人見知りとは難しいのだ。
「そういえば、よく私がここにいるって分かったね。福永くんに聞いたの?」
「い、いや、今朝の福永のLINEはバレー部のグループに送られてたからよ」
「え!そうだったんだ!無駄に通知鳴らしちゃったんだね、申し訳ないや」
「全然!つか普段もっとくだらねーことで動いてっから、その、気にしなくて大丈夫ッス」
「そっか、ありがとう」
山本くんは終始ソワソワと落ち着かない様子だったけど、話しかければ緊張しながらもきちんと受け答えしてくれた。人見知りが治るのももう一歩って感じだろう。
他愛の無い会話をしていればいつの間にか時間が経っていたようで洗濯機の洗濯終了の音が鳴った。その大量のタオルを干すのを山本くんが手伝ってくれたおかげで午後の授業にも余裕を持って教室に戻ることができた。感謝感謝。
さて、午後も2つ受けたらすぐに部活だ。
20180808
