GW遠征合宿篇
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「マネージャー…?」
第1話
東京、音駒高校に通う2年生。所属部活動は無し。委員会にも入ってない。
この学校ではあまりそういう生徒は少なく、新入生が入る時期なんかには意外と3年になっても勧誘があったりするらしいとは聞いていた。とはいえ、まさか自分に白羽の矢が立つとは思っていなかったわけで。1年の時もクラスメイトだった福永招平から勧誘されるとは夢にも思わなかった。なにせ彼は無口というか口数が少ない。
帰り支度をしていた私の机にまでわざわざやってきた彼は「マネージャー、してほしい」と簡潔に口を開いた。突拍子の無い。
別に彼が嫌いな訳ではない。大人しそうに見えて意外と親父ギャグなんかも披露したりするし、意外と表情も分かりやすい。クラスメイトとしては好感を持ってはいるわけだけども。
「…何を思ってそう言ってるのかは知らないけど、ごめん。マネージャーはやらないよ」
「お願い」
「えぇ…?どうしたの、普段そういうこと言わないのに。何かあった?」
一言断れば済む話かと思えば意外にも彼は食い下がってきた。その様子に何かあったのかと疑問に思う。まあ、ここまで言われたからには理由くらいは聞いてやろうと思う。
先を促せば、どうやら我らが音駒高校の男子バレー部は今度のゴールデンウィークに遠征合宿に行くとのこと。もちろん、今までだって何度も合宿はしているけど、今回は食事などの世話をしてくれる人がいないのだとか。そこで部員達にそれぞれマネージャー…、つまり合宿の手伝いをしてくれる人を当たれという指示が出たらしい。
「なるほどね…」
たしかに、それなら納得はいく。他の学年はそれぞれ担当しているから、福永くんは2年の中からそういう人を探さなければならないわけで。で、部活も委員会にも所属していなくて尚且つ交流のある私に、ということか。
ちらりと彼に視線をやって「ちなみに他にも勧誘してるの?」と聞けば彼自身は私にしかしていないという。つまりは他学年で確保出来ていれば問題はない訳だ。…しかし、私も私で頭が回ってしまった。1年生はまだ学校生活にも慣れてない。この前まで中学生だった子がパッとマネージャー業をこなせるとは思えないし、3年生にいたっては言わずもがな受験だ。まだ新学期とはいえ、ここまで部活に入らずにきた人間がこのタイミングで入部するとは思えない。あとは同学年で期待するしかないんだろうけど…。
私だって自分の高校のどの部が強いかとかそういう情報は知ってる。音駒のバレー部は強豪なのだ。だからこそ同学年のバレー部の子も接触したことはなくてもどの子がそうだとかは分かる。分かるけど…。
「…山本くんとか孤爪くんってそういう勧誘とか得意なの?」
「…」
「…あー…うん、わかった」
静かな否定が入った。
「…まあ、その遠征ぐらいなら手伝いにいってもいいよ。入部はしないけど」
「!」
「福永くん困ってるんでしょ?バイトも融通効くし、いいよ」
「…!!」
目をキラキラとさせて感謝を表す彼に苦笑して、これから紹介したいからと言われてバレー部に赴くことになった。なんか流されてるような気もするけど、まぁ、いいか。たまには。
教科書の入っていない軽いスクールバッグを肩にかけ、二人で体育館へ向かう。どことなく、福永くんの足取りは軽そうに見えた。
「なぁっ!?高原さん、だと…!?」
「まさか福永が連れてくるとはねー」
福永くんと一緒に体育館にやってくると、そこには金髪モヒカンの山本くんと、黒髪の長身の部員がいた。どうやら山本くんは私のことを知っているらしい。関わりなかったと思うんだけどな。
黒髪の人に「よくやった」と褒められた福永くんは両手で親指を立てていた。褒められて嬉しいらしい。
「どーも。主将の黒尾鉄朗だ。おたくは?」
「どうも。2年の高原綾奈です。福永くん、困ってたみたいなんでその遠征合宿だけで良ければお手伝いします」
「なんだ。入部はしねーのか」
「まぁ…色々あるので。中途半端に参加する方が迷惑なら帰ります」
「いやいやいや。それだけでもすんげー助かるわ。よろしく」
黒髪の長身さんはどうやら主将だったらしい。確かにそう言われると壮行会とかで見たことあるようなないような。主将さんに期間限定であることを了承してもらえたなら私ももう特にいうことはない。
今日も参加した方が良かったりするのかな、と考えていると山本くんとバチっと視線が重なる。ズギャーン!と聞こえてきそうな表情を浮かべた彼の顔は真っ赤だ。なんで。
「え、大丈夫…?山本くん」
「え!?な、なんで名前っ…!?」
「同学年の強豪バレー部の子ぐらいは覚えてるよ。話したことはなかったよね。よろしく」
「っ…!、!!」
「あ、ショートした(笑)」
怖くないよ~という意味を込めて微笑んでみたが、逆効果だったのか彼はプシューッとショートしてしまった。黒尾さんはそれを見てゲラゲラ笑っている。結構見た目とギャップある人だな、この人。
ショートしてしまった山本くんをどうにかする術を初対面の私が持っているはずもなく、申し訳ないけどそこは付き合いの長い彼らに任せることにした。こう言ったらあれだけどあの見た目で人見知りなんだな、山本くん。
そうこうしているうちに、ゾロゾロと部員が集まったようで悪気のない目でジロジロと見られて落ち着かない。どうやら今のところ私の他にお手伝いさんも見つかってないらしい。読みが当たってしまった。別に私が暇人だという訳ではないことをここに述べさせてほしい。
顧問である猫又監督もやってきて挨拶をすれば「よろしく頼むよ」とにこやかに歓迎してくれた。強豪だからもっとギスギスした雰囲気があるのかと思ったけど、そういう心配は無さそうだ。
今日は帰ってもいいとのことだったけど、せっかく来たし少しだけ見学しても良いかと聞けば快く了承してくれたので猫又監督の隣のベンチに失礼して腰を下ろす。練習が始まるとなると急に表情の変わった選手たちに少し胸がざわついた。
20180807
1/13ページ
