ライバルは局長【土方】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『…何よ、トシのバカ!ハゲ!!』
「オイ待てナマエ、俺はまだ禿げてねェエェ…!!」
トシはバカだ。私がどんなに寂しい思いをしてるかわかってないんだ。だからあんなこと…。
『え、明日ダメになったの?何で?』
「いや、近藤さんの見合いがあって…」
『また近藤さん!?いつも近藤さん絡みの理由ばっかじゃない…』
「俺だって好きでやってる訳じゃ…ハァ、お前ももうちょっと我慢しろよな。ワガママばっか言ってねェで」
『な、何よ!』
そして冒頭に戻る。
…私だって本気でトシが禿げてるとか思ってる訳じゃない。ただトシは近藤さんに甘過ぎるんだ。そろそろ近藤さんも独り立ちしないといけないんだよ!
心の中で近藤さんへの文句を並べながら道をプラプラ歩いていたら、いま私の怒りを一身に受けている人物が現れた。
「お、ナマエちゃん!」
『…チッ』
「今、舌打ちしたァアァ!?ちょ、ナマエちゃんんん!!?」
これ以上近藤さんと話していたら、リアルに近藤さんを殺りかねないので黙って横を通り抜けた。後ろで近藤さんが「いつものナマエちゃんじゃないいい!」って叫ぶ声が聞こえたけれど、無視無視。私は人混みを掻き分けてズンズン進んだ。
「おねーさん、おねーさん」
『何、私?』
「そうそう、おねーさん綺麗だね!」
「俺たちと遊ばない?」
ニヤニヤして近寄ってくる、チンピラっぽい男2人組。アンタたちと遊んでる暇なんてないわ!
『遊ばない』
「そんな冷たいこと言わずに~」
『ちょ、離して…』
「いいじゃん、いいじゃん!」
『やだっ、助けてト…』
私、ワガママだったんだ。勝手に機嫌を悪くしたと思ったら、都合のいいときだけトシを頼って…こんな嫌な女なら、愛想尽かされても当然だよね。
「あれ、もう抵抗しないの?」
「じゃあ行こ…」
「オイ」
私の腕を引く男の力が弱まったので何事かと顔を上げれば、目の前にいたのは紛れもなくトシだった。
「…誰に許可を得て、人の女に触ってんだァ…?」
「ひ、人のって…」
「まさかこの女!?」
「ナマエは俺の女だァアァ!!!」
「ひいい~!」
物凄い剣幕のトシ、逃げていくチンピラ。私は事態についていけてなくてポカンとしていた。するとトシが振り返って、こっちに向かって歩いてきた。
「その~…悪かった、な。俺、ナマエの気持ち何も考えてなかった…」
バツが悪そうに顎をポリポリ掻くトシが可愛くて、私は自然と笑顔になった。
『…来週こそは、デートしようね!』
ライバルは局長
(悪ィ、来週も近藤さんのお供で出なきゃならねェ…)
(また近藤さん!)
(再来週ならなんとか…!!)
トッシー企画、捷さまリクエスト作品。
2008.5.5 愛紗