全力で駆け抜けろ!【土方】
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「野郎共ォ!今日はお前たちの天下だ、思う存分暴れまくれェエェ!!!」
「「「オォオオォ!!!」」」
心配されていた天気もなんとか持ち直し、今日は年に一度の銀魂高校体育祭!我がZ組は運動神経抜群な人ばかりで、3年間クラス替えのない銀魂高校では毎年Z組が優勝していた。
「ナマエちゃんは何の競技に出るんだったっけ?」
『私は二人三脚リレーだよ』
「あぁ、マヨがヤキモチ妬きまくりの競技ネ」
「男女ペアで二人三脚のリレーだものねぇ」
『…マヨって土方くん?何でそーなるのよ。おかしくない?』
最近この2人はこればっかだ。何かにつけて私たちの会話に土方くんを入れたがる。校長の挨拶がダラダラ続いてる最中、私たちはコソコソと話していた。ってゆーか誰も校長の話なんて聞いちゃいない。
「ナマエは天然記念物アル!」
「そうよね、ここまで鈍感だと逆に尊敬しちゃう」
『どういうことよソレ!!』
「あはははは…」
「うふふふふ…」
『ちょっとォオォ…!!!』
2人は薄笑いを浮かべて、完全に私を小バカにしてる。私は土方くんとあまり話したことはなくて、3年になって初めて隣の席になってからようやく仲良くなってきた(…のかな?)人だ。強豪らしい剣道部の副部長で成績も優秀らしく、結構モテるみたいだけど…最近は私も土方くんのこと……って違ァアァう!!!何言ってんの私!落ち着け、焦るな。
校長の長い話が終わり、全校生徒が各クラスの集合場所に戻った。その後も私は土方くんのことを考えていて…やっぱ好き、なのかなぁ…好きなんだよねぇ。
「ナマエちゃん、ナマエちゃん」
『え、何?』
「ナマエちゃんって、土方くんのこと好きなんでしょう?」
『ぶふう!』
「あ、怪しい反応アル~」
さっきまで考えていたことをそっくりそのまま聞かれて、過剰に反応してしまった。ヤバいいい!これじゃ、私が土方くんを好きってバレて……
「オイ」
『ひいい!あ、土方くんか。ビックリした~』
「何でだよ…お前二人三脚出るだろ?もう召集かかってっぞ」
『え?マジでか。ありがとう土方くん!!』
「頑張れよ~」
頑張れよ、土方くんにそう言われただけで全力が出せそうな気がする私は、相当ゲンキンな奴だと思った。
『って、何で土方くんんん!?土方くんは選抜リレーの選手でしょ!?』
「いや、ナマエのペア長谷川だろ?何か騎馬戦で足ケガしたみたいで。俺この競技の補欠入ってたし」
ちょ、マダオォオォ!!何でこんな肝心なときにケガしてんだよ~私の心臓止めるつもりかテメェェェェ!!
競技開始前からバクバクうるさい心臓を抱えながら、スタート位置に着いた。と言っても私たちはアンカー(くじ引きの結果)。出番が回ってくるまでは静かに待機だ。
「大丈夫だって、俺がナマエに合わせるから」
『土方くん…』
ずっと黙っている私を見て不安になってるのかと思ったらしい土方くんは、優しい言葉をかけてくれた。
そっか私、土方くんのこういうところが好きなんだ。忘れ物をしたら何も言わずに貸してくれるし、困っていたらどんなに面倒くさいことだろうと手伝ってくれる。
『いや、大丈夫よ!私、足には結構自信あるんだから…土方くんのペースについていけるように頑張る!!』
そう言ってグッと親指を立てて見せると、土方くんはキョトンとした直後ニヤリと笑ってこう言った。
「今、俺たちのクラスは…4位だな。この差を引っくり返して1位でゴール出来たら、ナマエの言うこと何でも聞いてやる」
『えええマジでか!よっしゃ!!』
「ただし、選抜リレーで俺たちのクラスが優勝したら…」
俺と付き合ってくんねェか…?
突然の告白に呆然としていたら、私たちが走る順番になってしまった。頭の中がぐちゃぐちゃのまま無我夢中で走った結果、何と1位でゴールイン。自信があるとは言ったけれど、まさか本当に3組も抜けるとは思っていなかった。
「やったな!約束通り、ナマエの言うことなんでも聞いてやる」
『…本当に、何でも?』
「ああ、約束だしな」
『それじゃあね……選抜リレーで、絶対に1位でゴールしてくれない…?』
「え?それって…」
『いーから早く行って!選抜リレーの召集かかってるよ!』
彼が私の願いを叶えてくれるのに、そんなに時間はかからなかった。
全力で駆け抜けろ!
(望み通り、1位でゴールした)
(う、うん…)
(…よっしゃあァアァ!!)
(多串くん、燃えてるなァ)
トッシー企画、小百合さまリクエスト作品。
2008.5.5 愛紗