本日、無線日和【土方】
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「この着物…変、じゃねェよな」
空を見上げれば雲ひとつない青空。こんな日にオフをもらえるたァ…俺はツイてるに違いねェ。しかも今日はただのオフじゃねェ。何てったって、今日は…
「女ですかィ、土方さん」
「そ、総悟…」
鏡の前で身なりを整えていたら、許可も得ずに総悟が部屋に入ってきた。最悪だ、コイツにバレたら絶対に邪魔してくるに違いない…!
「べべべつにナマエと初デートなんて行かねェぞ俺ァアァ!!!」
「へえ、ようやく初デートかィ」
「あ…」
し、しまったァアァ!何でばらしちまったんだよ俺ェェェェ!!くそっ総悟のやつ、ニヤニヤ笑ってやがる…その面思いっきり殴りてェ!
「まあまあ土方さん、初デートでドジ踏まねェようにコレを……てれれれってれ~真選組無線~(沖田ダミ声)」
「…何だソレ」
「コレはアレでさァ、近藤さんとゴリラの結婚式妨害大作戦のときに使った無線なんだ~(沖田ダミ声)」
「アァ、あの全く役に立たなかった無線な。つーか何だその「…なんだ~」ってしゃべり方。腹立つんだけど」
「コレで俺が指示を出してあげるんだ~(沖田ダミ声)」
「要らねェよ。つーかお前、その声どっから出てくんの?」
「ああ疲れた…まあまあコレを着けてって下せェ。そうしないとデートの邪魔しやすぜ?」
「どっちにしても邪魔するんじゃねェかァアァ!!!」
無線を着ければ邪魔はしないと言われたので、半信半疑だったが時間もないので総悟の言う通りにして出掛けた。
待ち合わせの家康像の前に行くと、ナマエはもうそこにいた。ナマエというのは最近出来た俺の彼女で、介護士の仕事をしているらしい。道に迷って困っていたナマエを助けたのが出会いで、俺の一目惚れだった。お互い多忙な中何とかオフが重なって、今日やっとデートすることになったのだ。
チラチラ時計を見ながらキョロキョロと俺を探すナマエがとても可愛くて、声を掛けようとすると…。
「お嬢さん可愛いね、1人?」
「俺たちと遊ぼうよ~」
『ひ、人を待ってますので…』
何なんだアイツらァアァ!!気安くナマエに触ってんじゃねェぞコルァ!!!
腰の刀に手を掛けて斬りかかろうとしたら、何ともやる気のない声が聞こえた。
《あーあー…聞こえやすか、土方さん?》
その声に思わずズッコケてしまい、すぐに起き上がって返事をした。
「…総悟ォオォ!!今忙しいから黙っとけ」
《トシー?ナマエちゃんとデートなんだってなァ》
《聞こえますか副長~?》
「近藤さん…山崎ィイィ!!」
《ひいい!》
《コレ上手く通じてんですかねィ?》
《ちょ、総悟マイク貸せって……あーあー。本日は晴天なり~本日は晴天なり~》
「頼むから黙ってくれェエェ!!」
総悟たちより今はナマエの安全第一だ。ナマエに絡んでいた野郎共に飛び蹴りをお見舞いした後、驚いているナマエに声を掛けた。
「怖かっただろ、大丈夫か?」
『あ、はい…ちょっとビックリしました』
「ナマエが無事でよかっ…《近藤さん!俺にもしゃべらせて下せェ!!》
《待て総悟、順番な!》
《沖田隊長の次は俺にもやらせてください!》
《わぁーった、わぁーった》
コイツら完全に楽しんでやがるゥウゥ!!!くそ、こんなの着けてたらデートに集中出来ね…でも外したらその後がコワイ。どうするべきか…。
『土方さん?どうかしたんですか?』
「ん、あ…いや何でもない」
『そうですか…?じゃあ早く行きましょうよ、大江戸遊園地!!』
「ああ、そうだな」
早く早く!とはしゃぐナマエを見ていたら、イヤホンから聞こえる雑音なんて無視できるような気がし…
《なーなー、今日の昼の日替わり定食って何?》
《確か、サバの味噌煮だったような…》
《マジでか。近藤さん、早く行きましょうぜィ》
…遊ぶんだったら他を当たってくれ、頼むから、300円あげるからァアァ!!!
本日、無線日和
(土方さん、そのイヤホンって何ですか?)
(コレは仕事の無線だ…)
(ははあ、仕事熱心なんですね~)
(…まぁな)
トッシー企画、桜井うめさまリクエスト作品。
2008.5.5 愛紗