そのキッカケは君【土方】
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『おはようございます、土方さん!』
「アァ、おはよう」
『今日もお仕事頑張ってくださいね!』
最近の俺は、コイツに夢中だ。コイツというのは…こないだから屯所で働いているナマエという娘のことで、ナマエは新人ながらも一生懸命仕事に取り組むので隊士たちからの評判も上々だ。いつも笑顔で周りを明るくしてくれて、早くも真選組の一員になってやがる。
泥だらけの隊服を山程抱えて物干場の方へ向かうナマエの後ろ姿を見ていると、ヨロヨロしていてとても危なっかしかった。以前の俺なら女中の手伝いなんてほとんど(と言うか全く、)しなかったが、ナマエとなると話は別だ。ナマエだけ贔屓してると言われても…何も言い返せねェなこりゃ。
前が見えなくなるほどナマエの腕に積み上げられた隊服のほとんどを取り上げると、ナマエは驚いて俺を見上げた。
『ひ、土方さん…?』
「バカ、見てるこっちがヒヤヒヤすんだよ」
『へ?…あ、スミマセン!ひとりで大丈夫ですから!!』
「俺ァ今、洗濯がしたい気分なんだよ。邪魔すんじゃねー」
今の言い訳はさすがにないな…と思いつつ、横を歩くナマエを見れば、ポカンとした面から笑顔に変わってこう言った。
『土方さん、お洗濯好きなんですね!じゃあ一緒にやりましょう!!』
「えーと…アァ、やろう……」
今の苦しい言い訳を信じたのかよ!というツッコミは心の中に留め、ゴウンゴウン音を立てる洗濯機に隊服を放り込んだ。物干し竿を拭いて干す準備をしているナマエの後ろ姿を見ながら、俺は縁側に腰掛けてタバコに火をつけた。その煙に気付いたのか、ナマエは手を止めて俺の方へやってきた。ヤベ、ナマエってタバコ嫌いだったかな…。
ナマエに嫌われるんじゃねェかと内心ビクビクしながらナマエの言葉を待つと、タバコを見つめたナマエはポツリと話し出した。
『土方さんって、いつもタバコ吸ってますよね…体とか大丈夫なんですか?』
「体?俺ァいつ死んでも後悔しないように生きてるから大丈夫だ」
『何ですかソレ、理由になってませんよ!!もし土方さんが死んだら、たくさんの人が悲しむんですからね。体は大切にしてください』
「んじゃ、俺が死んだらナマエも泣いてくれんのか?」
真面目な顔で言うナマエが可愛くて、希望を込めた質問をした。一瞬驚いた表情をしたナマエだったが、すぐに真剣な面持ちに戻ってこう言った。
『泣きませんよ、』
ああ、所詮ナマエの中での俺ァ、ただの上司だったんだな…死んでも泣けないくらいの。ナマエの言葉のショックがデカすぎて半ば放心状態になっていた俺に、ナマエは優しく微笑んでこう言った。
『すぐに後を追わせていただきますから』
何だって?俺が死んだらナマエも死ぬ?
驚いてナマエの方に体を向けると『土方さんがいない世界に、未練なんてありませんから』なんて言いやがった。何だコレ、期待して……っつーか俺ァ告白してもいいのか?
バカヤロー。ナマエがあんなこと言うから、タバコ吸える本数が減っただろうが。その上、死にたくねェ理由が出来ちまっただろうが!
そのキッカケは君
(アレ?土方さん…もうタバコ消しちゃうんですか?)
(死なせたくねェ奴がいるんでね……なァナマエ、一緒に生きようじゃねェか)
(え?それって…!)
すみません、なおみ様ァアァ!!
何コレどこがほのぼの!?最後微妙にダークじゃねェかァアァ!!!ちょ、マジですみません調子乗ってました。
こんなのでよろしければ、捧げさせていただきますっ!
2008.4.21 愛紗