我慢のあとは【土方】
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『ハァ…』
私が携帯の画面を見てため息をつくのは、一体何回目なのだろうか。ため息をつくと幸せが逃げるってよく言うけれど…もしそれが本当なら、私はこの先確実に不幸な人生を送るだろう。
ため息の原因は無論、真選組副長の土方さん。ちょうど1年くらい前、その頃は女中であった私は土方さんに告白された。女中になったばかりの頃から憧れていた人だったから、物凄く嬉しくて……同時に信じられない思いでいっぱいだった。
だって土方さんって…巷では「鬼の副長」なんて言われてて、いくら綺麗な女の人が近付こうと見向きもしなかったのに……なんで私なの?って、毎日考えた。
それに局内での恋愛は御法度、事が大きくなる前に私は女中の職を辞した。
それからずっと土方さんは私を大切にしてくれて、とっても幸せだったんだけど……ここ1ヶ月は連絡が取れない日が続いている。真選組の副長という仕事が大変なのは百も承知だし、それも含めて土方さんとお付き合いしてるんだから、仕方ない。仕方ないけど…!
『やっぱ寂しいんだからァ!!!』
「ナマエちゃん、ここ一応スナックなんだけど。男の所持金を巻き上げる狩り場なんだけど」
『うん、それもちょっと違うと思うな』
カラン、と音を立ててグラスの中の氷が動く。親友である妙ちゃんに話を聞いてもらう為に、私はオジサンたちに混じってココへやって来たのだ。
「なに、倦怠期ってやつ?」
『そんなんじゃないよ!私は土方さんのこと大好きだもん!!』
「いろいろ忙しい時期なのよ…ホラ、今って新しい隊士の入る時期じゃない?」
『そうだけど~…前までは毎日連絡くれてたもん。会う暇はなくても』
「もうちょっとの我慢よ、ね?」
うん…と返事をして、グラスの中身を飲み干した。
私は大好きだけど……土方さんは私に飽きちゃったのかな。私と付き合ってたって、つまんない…のかな。
徐々に酔いが回ってきたので、ソファーに横になって目を閉じた。
彼専用の着信音が鳴らなくなってから、私は何度も電話帳の中から土方さんを探した。いつもそれをしばらく眺めてから、親指でクリアボタンを押す。
私から土方さんへの連絡は一切しない。土方さんはとても優しいから、私が『寂しい』って言えば…きっと時間を作ってくれる。でも、だからこそ甘えちゃいけないんだ……我儘言って困らせたくない!!
少し眠ってしまったのに気付いてゆっくりと目を開ければ、さっきまで横にいた妙ちゃんの姿がない。ボーッとしながら体を起こせば、私の体から羽織が滑り落ちた。それは見覚えのある濃紺で…間違いなく、彼の…。
「あ、起きたか?」
『土方…さん?え、何で……』
妙ちゃんの座っていた方とは逆側でお酒を飲んでいたのは、私が最も会いたかった愛しい人。
土方さんはさっき私が落としてしまった羽織を拾い上げて、私の肩に掛けてくれた。
「寒ィだろ、そんな格好して…」
『え?あ、少し……って!何で土方さんがココにいるんですか!?本物!!?』
「バーカ、本物に決まってんだろ?」
クックック…と、喉を鳴らして笑う彼は、最後に会ったときから何も変わってなくて…ちょっぴり泣きそうになった。
「アイツが屯所に電話かけてきてな、迎えに来た」
『アイツ…?』
土方さんの見る方に目をやると、近藤さんを投げ飛ばしている妙ちゃんの姿が。
「…ゴメンなナマエ、寂しかったんだろ?」
『え…』
「全部聞いたから。俺ァ最近仕事ばっかやってたからな…悪ィ」
『そんなこと…!』
「ま、理由があったからバリバリ働いてたんだけどな」
『へ?理由…?』
そう言って懐をゴソゴソ探った土方さんは、何かを取り出して私に突き出した。
「俺の給料……1ヶ月分だ」
渡された小さな箱を開けてみれば、そこには可愛いデザインの指輪。驚いて土方さんの方を見れば、真っ赤になった彼の顔が。
「その…ちょうど今日で付き合ってから1年経つ、だろ?」
『あ…』
そう言えば、土方さんに告白されたのは1年前の今日だった。土方さんは私が持っていた箱から指輪を取り出して、それをそっとはめてくれた。
「次は、3ヶ月分…な?」
『え、ちょ、それって…!!』
慌てる私を見てニヤリと微笑んだ土方さんは、やっぱりとても優しい人だ。私の喜ぶことを知っていて、さりげなく言ってくれる……そんなあなたが大好きです!
我慢のあとは
(やっべ、久し振りにナマエ見たら…キスしたくなってきた)
(えぇ!?ちょ、待っ…!!)
(もーダメ、我慢出来ねェ…)
えっと、まずは咲さまスミマセン。倦怠期じゃねーよコレえええー!加えてこのグダグダさ…本当に申し訳ないorz
こんなのでよろしければ、捧げさせていただきますっ!
2008.4.19 愛紗