拍手連載【土方】
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2
Z組の教室に着くと、喧嘩や求愛で大騒ぎだ。いつものことなので大して気にせず席につく。すると、普段は遅刻ギリギリで学校に来る総悟が近付いてきた。
「おはようごぜェやす、今日も生きてるんですかィ?」
「生憎元気モリモリだコノヤロー」
「早く死なねェかな…あっそうだ。3限目の体育で抹殺しよう、そうしよう」
「独り言は人に聞こえないように言え!!」
ニヤニヤしている面が相変わらず憎たらしい。朝から死の宣告をされて不快になりながらも、今日も生き残れることを天に祈る。
急に真面目な顔になって隣の席に腰かけた総悟は、何だかんだ言って俺の秘密を知る唯一の存在だ。俺が自ら話した訳じゃねェが、どうも総悟にはバレちまうらしい。
俺の気持ちを知ってからというもの、協力するわけじゃねェが邪魔するわけでもねェ…ただ黙って話を聞いてくれる存在だ。
「ナマエちゃん、昨日も告白されたらしいですぜィ」
「…またかよ」
3年に上がってからというもの、ナマエへ告白する野郎共が後を絶たねェ。ナマエは俺とは似ずに可愛い顔をしているし、サバサバした性格で友達も多い。
モテるのは仕方ねェが、めちゃめちゃ腹が立つ。でも、それを止める権利は俺にはねェし……やるせない。
「でもまたフッたんですってよ。しかも今度はサッカー部の小池でさァ」
「マジでか、我が妹ながら考えとることが分からん」
サッカー部の小池といったら、顔も性格もいいと評判の爽やかな奴だ。外面のいいZ組の野郎共には敵わねェが(実は3Zの男はモテる、その実態を知られてねェから。俺は違うけど)まあまあモテる奴だ。そんな奴をフッちまうなんて、何考えてんだ、アイツ。
悶々とした気持ちを抱えて、午前中の授業を身が入らねェまま過ごし(せっかく夜遅くまで予習したのにそれも無駄になった)(体育のバスケでは、総悟の魔の手から逃れるのに必死だった)、いつの間にか昼休みになった。
『十四郎ーっ!お昼食べよー!!』
ニコニコしながら教室のドアから顔を覗かせるナマエを見て「おー」と返事をしつつ席を立つ。今日は何を食べようかと考えながら廊下を歩いていたら、今朝総悟に聞いたことを確かめたくなった。
「お前、小池フッたんだってな」
『げ、何で知って……あ~また沖田くんでしょ』
「まあな」
いっつも沖田くん情報じゃん。とか言いながら、バツが悪そうに手をモゾモゾさせた。
『別に秘密にしてた訳じゃないよ、わざわざ知らせることじゃないと思っただけ~』
「何でフッたんだよ、小池。いい奴じゃん」
何言ってんだ、俺。何で小池を勧めてんだよ…意味分かんねェ。「いい奴」とか言っといて、もしナマエと小池が付き合ったら…かなり嫉妬するんだろう。俺はアホか、何がしたいんだ。
『仕方ないでしょ。私にだってね、好きな人くらいいるの!』
顔をほんのり赤くして言うナマエに、一瞬思考が停止した。そっか…そうだよな。高校生な訳だし、好きな奴がいるのが普通だよな。実際俺だっているし。
頭では理解してみるものの、その受け入れを拒む。バカじゃねーの。双子の兄貴なんて、恋愛対象外もいいとこだ。
俺じゃナマエを幸せになんて……してやれねェんだ…。
高校に入ってから、こんなに気の重い昼休みは初めてだった。
Z組の教室に着くと、喧嘩や求愛で大騒ぎだ。いつものことなので大して気にせず席につく。すると、普段は遅刻ギリギリで学校に来る総悟が近付いてきた。
「おはようごぜェやす、今日も生きてるんですかィ?」
「生憎元気モリモリだコノヤロー」
「早く死なねェかな…あっそうだ。3限目の体育で抹殺しよう、そうしよう」
「独り言は人に聞こえないように言え!!」
ニヤニヤしている面が相変わらず憎たらしい。朝から死の宣告をされて不快になりながらも、今日も生き残れることを天に祈る。
急に真面目な顔になって隣の席に腰かけた総悟は、何だかんだ言って俺の秘密を知る唯一の存在だ。俺が自ら話した訳じゃねェが、どうも総悟にはバレちまうらしい。
俺の気持ちを知ってからというもの、協力するわけじゃねェが邪魔するわけでもねェ…ただ黙って話を聞いてくれる存在だ。
「ナマエちゃん、昨日も告白されたらしいですぜィ」
「…またかよ」
3年に上がってからというもの、ナマエへ告白する野郎共が後を絶たねェ。ナマエは俺とは似ずに可愛い顔をしているし、サバサバした性格で友達も多い。
モテるのは仕方ねェが、めちゃめちゃ腹が立つ。でも、それを止める権利は俺にはねェし……やるせない。
「でもまたフッたんですってよ。しかも今度はサッカー部の小池でさァ」
「マジでか、我が妹ながら考えとることが分からん」
サッカー部の小池といったら、顔も性格もいいと評判の爽やかな奴だ。外面のいいZ組の野郎共には敵わねェが(実は3Zの男はモテる、その実態を知られてねェから。俺は違うけど)まあまあモテる奴だ。そんな奴をフッちまうなんて、何考えてんだ、アイツ。
悶々とした気持ちを抱えて、午前中の授業を身が入らねェまま過ごし(せっかく夜遅くまで予習したのにそれも無駄になった)(体育のバスケでは、総悟の魔の手から逃れるのに必死だった)、いつの間にか昼休みになった。
『十四郎ーっ!お昼食べよー!!』
ニコニコしながら教室のドアから顔を覗かせるナマエを見て「おー」と返事をしつつ席を立つ。今日は何を食べようかと考えながら廊下を歩いていたら、今朝総悟に聞いたことを確かめたくなった。
「お前、小池フッたんだってな」
『げ、何で知って……あ~また沖田くんでしょ』
「まあな」
いっつも沖田くん情報じゃん。とか言いながら、バツが悪そうに手をモゾモゾさせた。
『別に秘密にしてた訳じゃないよ、わざわざ知らせることじゃないと思っただけ~』
「何でフッたんだよ、小池。いい奴じゃん」
何言ってんだ、俺。何で小池を勧めてんだよ…意味分かんねェ。「いい奴」とか言っといて、もしナマエと小池が付き合ったら…かなり嫉妬するんだろう。俺はアホか、何がしたいんだ。
『仕方ないでしょ。私にだってね、好きな人くらいいるの!』
顔をほんのり赤くして言うナマエに、一瞬思考が停止した。そっか…そうだよな。高校生な訳だし、好きな奴がいるのが普通だよな。実際俺だっているし。
頭では理解してみるものの、その受け入れを拒む。バカじゃねーの。双子の兄貴なんて、恋愛対象外もいいとこだ。
俺じゃナマエを幸せになんて……してやれねェんだ…。
高校に入ってから、こんなに気の重い昼休みは初めてだった。