一日遅れの記念日【土方】
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『う、うそでしょ…?』
信じられない!何で、何でよりによって明日なのよォオォ!!?
明日、私たちは付き合って3ヶ月の記念日を迎える。私たち…ってのは私と十四郎のことで、3ヶ月前に十四郎の告白によって付き合うことになったのだ。
ずっと彼に片想いしていた私にとっては願ったり叶ったりの展開で、その日から今日まで大きなケンカもなく…順調に愛を育んでいたのに……!
「う、だから悪ィって…」
『剣道部の顧問ってアイツでしょ、あのハゲ散らかったオヤジめ~!!!』
「俺だって遠征延長なんて聞いたことねェよ…!」
遠征中の十四郎からかかってきた電話によると、ハゲ顧問の手によって帰宅が延長されたらしい。本当なら今日の夕方帰ってくるハズだったのに…!そして、明日は一日中デートする予定だったのにィイィ!!
本当ならすぐ帰ってきてほしいトコだけど、十四郎は我が校のエース。抜けるわけにはいかないし、十四郎がそんな中途半端なことはしないけど…。
『うう~、』
「明後日の夕方には帰るからさ…その次の日にデートしよう、な?」
『……ん』
寂しい気持ちを必死に押さえ込んで、承諾の返事をする。十四郎が悪い訳じゃないし、絶対に明日じゃなきゃいけない訳でも、ない…。
最近遠征続きで疲れているにもかかわらず、私のために時間を作ってくれる十四郎の優しさが痛いほど身に染みる。私のワガママで十四郎の邪魔をするわけにはいかない……。
『頑張って』と一言だけ言って、震える指で終話ボタンを押した。
本当は明日じゃなきゃ嫌だよ。明日の為に新しい服も買ったし、学校じゃ一切しないメイクだって練習した。
可愛い、って…十四郎のただ一言が聞きたくて。
『…~っ!』
堪えてた涙が溢れて止まらなくなって、ベッドにダイブした。枕に顔を押し付けて声を殺して泣き続けた。
目が覚めたとき、時計の短針は既に10を指していた。
最後の着信が、昨日の夜11時だから…約半日に渡って、泣きつかれて寝ていたようだ。
『…ふふっ、酷い顔』
鏡を見たら、目は真っ赤で頬にはシーツの痕がついていた。髪はグチャグチャでパジャマのボタンがひとつ外れていた。花も恥じらう乙女の寝起きにしてはお粗末すぎる格好だ。
階段を降りてお風呂に向かい、体を洗って歯を磨いた。両親はとっくに出掛けていて、朝食か昼食か判断しかねる御飯を食べた。
それからボーッとワイドショーを見て、今頃十四郎は練習試合してんのかな?とか思いながら、ただただ時間を過ごしていった。
「ただいま~、って。ナマエ、アンタまさか一日中パジャマで過ごしてたの?」
『…ち、違うよ。もうお風呂に入ったの』
嘘じゃないけれど、なんとなく罪悪感を感じて部屋に引っ込んだ。
我ながら物凄く堕落した生活だと思う。夜8時になって…あんなに寝たはずなのにまた眠くなってしまい、ベッドに潜り込んだ。
夜中に目が覚めちゃうな、こんな時間に寝たら…。
そんなことを思いながらも、なぜか涙が止まらなくて、今夜も枕は涙で濡れた。
『…ん、』
目を開ければ、案の定まだ夜中。外は真っ暗だった。机の上に出しっぱなしの携帯を見ると、なんと着信15件。
何のイタズラ?と思って履歴を見てみると、相手は全部十四郎だった。夜の9時から数分おきに、何度も何度も電話がかかってきていたのだ。見事に全部無視してしまった。最悪だ。
自分のバカさにほとほとあきれ、呆然としていたら手の中の携帯が光った。
慌てて通話ボタンを押せば、「やっと出た…」という愛しい人の声。
『あ、ゴメン…寝てた』
「バカ。今から出てこれるか?」
『バ、バカです。え、今…?』
そう言って携帯の時計を見れば、もう12時を回っていた。つまり、3ヶ月記念日はもう終わってしまっているのだ。
『十四郎、今どこにいるの?』
「…お前の家の前」
『……ハァ!?!?』
十四郎の驚き発言を聞いて、慌てて部屋の窓を開けて外を見れば、門の所に立っている十四郎を発見した。目が合うと、十四郎は優しく微笑んでくれた。
今の私の格好は…言わずもがな今朝と同じ感じで、決して人に見せられるようなものではなかったが、気にせずに外に飛び出した。
『十四郎っ…!』
「ナマエ…ゴメンな。もう記念日、終わっちまった…」
存在を確かめるようにギュウッと抱き締めれば、十四郎は苦笑いしながら優しく頭を撫でてくれた。
『ちがっ、私が……』
「俺は…確かに記念日も大事だけど、その…ナマエの笑顔、見れる方が嬉しい…んだけど……」
パッと顔を上げれば、月明かりでもわかるくらい十四郎の顔は真っ赤になっていた。
十四郎…と呟けば、優しく頬を撫でられて、十四郎の顔がだんだん近付いてきて……。
『って、ダメェエェ!!!』
どーん!と十四郎を突き飛ばしたら、かなり驚いた顔をしていた。
「な、何で…!」
『ちょ、見ないでェエェ!!!』
今の自分の姿を思い出すと、急に恥ずかしさが込み上げて(さっきまでは何ともなかったのに…)きて、十四郎に背を向けてしゃがみこんだ。
「何だよ、可愛いじゃねェか……ナマエの寝起き!」
『バ、バカァアァ!!!』
ニヤニヤ笑う十四郎を涙目で睨み付けたけれど、今の私の心は嬉しさでいっぱいで、自然と顔が緩んだ。
一日遅れの記念日
(よし、そろそろ戻らねェと…)
(あれ…十四郎、それって剣道部のジャージ?ってことは……)
(…練習試合終わってから、遠征先コッソリ抜け出してきたんだよ)
ほとんどヒロインちゃんの名前が出てこないィイィー!!!
ゴメン、愛。ネタ(原案)としては頭の中で素敵なストーリーが出来上がっていたんだけど…私が文におこすとこうなるわけです。←
こんなのでよかったらドゾ!
2008.3.18 愛紗