終わりから始まる【銀時】
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3月3日、今日は銀魂高校の卒業式。
思えば、高校生活3年間でいろんなことがあった。
特に濃く私の脳に記憶されているのは無論3Zで過ごした1年間で、悲しい時よりも楽しい時が多く、楽しい時よりも大変な時が多かった。
それに、私は恋をした。
相手は坂田銀八………私たちの担任。彼は相当チャランポランな性格で、全てにおいていい加減だし無責任だし、授業中なのに平気でタバコ吸うしガサツだし不潔だし……マイナスポイントを挙げていけばキリがないが、これといっていいところはない。
それなのに生徒からの信頼は厚く、みんなから好かれている先生だ。私だって初め、彼を見る目は「好きな先生」だったのに、いつの間にか「好きな人」に変わってしまっていた。
どこが好きなの?と聞かれれば、即答出来ない自信がある。自分でも何故かわからない。
『でも、好きなんだもんなァ…』
「また言ってんのか」
『うるさいな土方。どうせ今日で終わりなんだし、いいでしょ』
土方はこの学校で唯一私の想いを知る人物だ。物心ついた頃から一緒にいる…いわば幼馴染みというもので、私たちの間には隠し事はなしだ。ちなみにお互いに恋愛感情を抱いたことはない。
式はもう既に終わっており、今は銀八が持ってきたクラス全員分の卒業証書を配るところだ。
「んじゃ、卒業証書渡すぞ。呼ばれた順に取りに来いよ~」
次々と名前が呼ばれ、いよいよ私の番がやってきた。
あ、わかった。私の銀八の好きなところ、ひとつはこの声だ。やる気の感じられない声だけど、心地よく響く声…。
「えー…ミョウジナマエ、」
『はぁい』
「卒業おめでとー」
証書と筒を受け取って席へ戻る。これでもう、銀八に名前を呼ばれることはないんだろうな…。
しばらくして最後のホームルームが解散になり、なんとなく銀八を囲むたくさんの生徒の輪に入れなくて、足は自然と屋上へ向かっていた。
『…卒業、かぁ』
3月の空気はまだ冷たく、ピュウと吹き付ける風を受けながらフェンスに背中を向けて、コンクリートの地面に体育座りをして膝に額をくっつけた。
『…やだなぁ』
「なに、ナマエは留年したかったわけ?」
その声にバッと顔をあげれば、そこにはネクタイを緩めながらこちらへ向かってくる銀八。
『え、何で…みんなは?』
「ナマエの姿が見えねェから探しに来たんだよ。ホラ」
私の手のひらに乗せられたのは、いちごみるく味の飴玉。銀八の大好きな味だ。
『…何コレ』
「銀八先生からの贈り物だ。クラス全員に配ってやろうとしたのにお前いねェんだもん」
『そりゃあ、スミマセンデシタ』
だからって飴玉の為にわざわざ私を探してくれたのだろうか。何だか嬉しくなってきて、自然とニヤける顔を隠すために再び額と膝をくっつける。
「銀八先生はァ、ナマエちゃんが卒業してくれて嬉しいぞ!」
いきなり何を言い出すのかと顔をあげようとしたが、銀八の手によってそれは阻止された。頭を押さえられたのだ。
『ちょ…!』
「そのままで、聞いとけ」
滅多に聞けない銀八の真面目な声に思わずドキッとした。私に抵抗の気持ちがないことを悟ると、銀八はそっと手を離してくれた。
「だって卒業するってことは、ナマエはここの生徒じゃなくなるんだぜ?」
『…で?』
私って何でこうゆうとき可愛くない言い方しか出来ないんだろう…。先生が生徒の卒業を喜ぶのは当然のことなのに、どうしても銀八が私と離れるのを喜んでいるように聞き取ってしまうのだ。
「つまり、俺たちに【先生と生徒】という関係がなくなる。わかるか?」
『…うん』
私たちの関係がなくなることを強調されてるみたいで、ものすごく怖くなった。涙が出そうだ。
「とゆーことは、俺がナマエを口説いても何も問題ないわけだ!」
『…うん。………ん?え!?』
銀八の言葉に驚いて頭をあげれば、いつものようにニヤリとだらしなく笑った銀八の顔。
「覚悟しとけよ、絶対オトしてやるから」
『…宣戦布告ってわけ?』
微笑んで見せると銀八は、あぁ。と短く返事をして立ち上がった。
卒業式は終わりだけだと思ってた。でも…
終わりから始まる
(その挑戦、うけてたつ!)
(メロメロにさせてやるからな!!)
(…なーに言ってんだか、)
銀八先生のキャラがよくわからんorz
2008.3.2 愛紗