二夢
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『久しぶりです、こんなに人とお話ししたの』
「アァ?何でだよ、毎日男の相手してるんだろーが」
『む…その言い方やめてもらえます?普段は話を聞くだけなんですよ!笑ってればそれでよかったんです』
「ヘェ、じゃあよかったじゃねーか。久しぶりに素に戻ったんだろ?」
『素って…!でも確かに、土方さんに話して幾らかスッキリしました』
ありがとうございます。と言って、鈴は柔らかく笑った。
「笑った…」
『…え?』
「お前今、自然に笑ってたぞ!」
『ほ、本当ですか!?』
そう言って嬉しそうに目を輝かせる鈴にドキッとしたのは秘密にしておいて、そろそろ時間なので店を出ることにした。
「さて…そろそろ帰るわ、これ以上長居するほど金ねェし」
『そう、ですか…』
そう言ってあからさまにシュンとする鈴を見て、どうしようもなく愛しくなった。が、俺は自分の心に素直に従えるような男ではなく、つい意地の悪いことを言ってしまう。
「バーカ、そんな顔すんな。俺が帰っちまうのがそんなに寂しいか?」
『なっ!ち、違いますっ!!』
顔を真っ赤にして否定する鈴を尻目に「そーか」とそっけなく返事をして立ち上がると、鈴は慌てたように声を出した。
『ひ、土方さん!』
「何だ?」
『あの……また、会いに来てもらえますか?』
鈴の不安と期待を湛えた瞳で見つめられたら、断れるはずもない。だが素直じゃねェ俺は、再び意地の悪い言葉を返した。
「気が、向いたらな」
ヤバイぞ俺、明日から毎日スナック通いになりそうだ。自嘲的にククッと喉を鳴らして笑い、明日もATMに足を運ぶ自分を想像したら更に笑えた。
<hr />連載第二話。
近藤さんの気持ちが少し分かった土方。
2008.7.21 春日愛紗