二夢
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『ご指名ありがとうございます、鈴と申します』
案内された席に座ってしばらく待つと、昨日の娘が昨日と同じ微笑みを張り付けてやって来た。
しゃらん、
彼女の艶やかな纏め髪には上等そうなかんざしが光り、荒れを知らない白い手でぎこちなく酒を作っていた。
「サンキュ」
『お客様、私をご指名して下さったの初めてですよね。お名前は何と?』
「土方だ、土方十四郎」
彼女の差し出した酒をグイッと飲み、名前を教えてやった。すると娘は『土方さん、』と呟いた。もちろん例の笑みは浮かべたまま。
『土方さん、お仕事は何を?』
「真選組の副長だ。聞いたことねェか?」
『あ、すみません…世間の事情には疎いもので。真選組とは……幕府の省庁か何かですか?』
「まァあながち間違っちゃいねェが…そんな大層なモンじゃねェ、ただの警察だ」
『え、そうなんですか?』
ここで娘の顔から、初めて微笑みが消えた。心底驚いた表情で、目をぱちくりさせて俺を見ていた。
「何だよ、悪ィか?」
『いえ、あの、でも…』
先程まで落ち着いた雰囲気を漂わせていた女とは思えねェほどしどろもどろになりながら言葉を発する彼女が何だか可愛くて、俺は自然と笑顔になった。
『えっと……私と話すの、高いらしいんですけど』
「知ってる、だからこうして貯金崩してきたんだろーが」
『貯金を!何でわざわざ…』
「決まってんだろ、」
昨日の微笑みはどこへやら、彼女はとても不思議そうな顔で俺を見ていた。
「お前の笑顔が気に食わねェからだ」
二夢 崩された仮面