七夢
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「どこへ行くのだ、鈴」
その声に私の体はビクリと強張った。土方さんは顔だけで振り返って声の主を確かめた。私は恐怖で押し潰されそうな気がして、振り返ることが出来なかった。
そんな私に気付いたのか、土方さんは私を自分の後に隠すようにして、低い声で言った。
「アンタか、鈴を囲ってる奴ァ…」
「そう言う貴様は…真選組、鬼の副長か」
「光栄だねェ、ご存知とは…」
「鈴を返せ、私の物だぞ。何だお前、ヒーロー気取りか?」
「フン、悪ィか?」
軽く笑った土方さんは、小さく辺りを見回して刀に手をかけた。
「こんな大勢で出迎えたァ、豪勢なこって…」
私は気付かなかったけれど、土方さんがそう声をかけると周りの物陰からたくさんの人が出てきた。
『こんなに、たくさん…!』
私は息を飲んだ。いくら土方さんが強かろうとも、この人数が相手じゃ敵わないだろう。
そう思った私は、土方さんの着流しをギュッと握った。すると土方さんは私の方を見て、ニヤリと笑った。
「下がってろ、すぐ終わる」
そう言った土方さんはシャンと音を立てて抜刀し、斬りかかってくる浪士たちを倒していった。その姿は華麗としか言いようがなく、私はしばらく見惚れていた。
大方の敵が片付いた頃、御館様は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「コイツは、もらってくぜ…」
そう言った土方さんは再び私の手を握り、傘を置いたまま走り出した。御館様の「運命は変えられん、お前はこれからも闇の中だ!」という叫びを聞きながら。