七夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
土方さんの衝撃の申し入れからお店に戻るまでの道のりで、私達の間で言葉が交わされることはなかった。別に気まずかった訳ではない、私の場合は。ただ、恥ずかしくて嬉しくて…でも本当に私がついていってもいいのかな…って。私なんかがいても土方さんには何の得にもならない。そう考えるとすぐに返事をすることが出来なかった。
「じゃ、また明日な…」
『あ、はい…今日はありがとうございました』
色々なことを考えながら歩いていると、もうお店に着いていたらしい。ゆっくりと離れていく手に寂しさを感じて、まともに土方さんの方を見ることが出来なかった。
人混みに埋もれていく土方さんの背中を見届けた後、店内に戻ると店長に出会った。
「あれ!鈴ちゃんもう戻ってきたの!」
『あ、はい…』
「もっとゆっくりしててもよかったのに…あ、今日はお店出なくていいからね」
『え、でも…』
「今夜は、土方さんが鈴ちゃんの時間を買ったんだ」
そう言った店長によって控え室に押し込まれ、私は1人ポケと呆けた。そして、土方さんの言葉を思い出していた。
土方さんの言ったことは本気だろうか?いや、本気に違いない。土方さんのあの目、嘘をついている風ではなかった。
闇の中から抜け出せる上、土方さんと生きていけるなんてこの上ない幸せだ。
ずっとずっと憧れてた幸せが、手の届く範囲にある。そう思うと、私の口元は自然と綻んだ。
七夢*蝶の見果てぬ夢