六夢
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「鈴、どうした…?」
気付いたらもう花火は終わっていて、私の目からは堪えきれなかった涙が溢れていた。
『あ、すみません…すぐっ……止めますか、ら…』
そう言って着物の袖で乱暴に涙を拭うと、土方さんはその手を掴んでぐいっと引き寄せた。私の体はすっぽりと土方さんの胸に収まり、背中に手を回した土方さんによって強く抱き締められた。
『土方さん!何、』
「いいから黙ってろ…!」
私の言葉を遮ってそう言い、愛しそうに顔を擦り寄せてくる土方さんに私も我慢が出来なくなって、そっと彼の背中に手を回して抱き締めた。
『土方さん、土方さんっ…!』
お互いを求めるようにひたすら抱き締め合って、しばらくすると体が離れていった。泣いた後の酷い顔を見られたくなくて俯いていると、土方さんが口を開いた。
「鈴」
『…はい、』
「今から言うこと、真面目に聞いてくれ」
『はい…』
土方さんの言うことを不真面目に聞いたことはないけれど、わざわざ言うということはきっと大事な話なんだろう。私はゆっくりと顔をあげて、土方さんの方を見た。
「鈴…単刀直入に言う。俺んとこに来ないか」
『え…』
「御館様とやらは俺たちがしょっぴいてやる。今すぐにって訳にはいかねェが、絶対逮捕してやっから…」
『土方さん…』
大切な話なんだろうとは思ったが、まさかこんな申し入れだとは思っていなかったので私は言葉が出てこなかった。
土方さんの真剣な眼差しを見つめた。彼について行けたらどれだけ幸せなのだろう。全てを投げ出して、あなたと共に生きていきたい。
「明日の朝、店に行くから。それまでに考えといてくれ」
そう言って握られた手に引かれ、私達は店に戻った。
私、幸せになってもいいのかな。望み続けた夢を、掴めるのかな…。
<hr />第六話。
次で最終話です。
2008.8.30 春日愛紗