六夢
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午後8時5分前、私はソワソワしていた。女の子達の控え室の中を無駄にウロウロしたり、鏡を見て後れ毛を整えたり。妙ちゃんや阿音ちゃんには「どうしたのよ?」と聞かれ、何て答えればいいかわからなかった私はモゴモゴしていたので、ますます不審がられたことだろう。
とにかく私は落ち着くことが出来なかった。どういうつもりかはわからないけど、土方さんに今夜8時に迎えに来ると言われた。その上、帰り際に…キ、キスされた。いや、自分からしたこともあるけどあれは体が勝手に動いたんであって、今回の土方さんのは……と色々考え込んでいると、店長さんが入り口に現れ「鈴ちゃん、ちょっと」と呼ばれた。
『何でしょう?』
「今日…って明日になるのか、とにかく閉店した後で女の子達がお別れ会開いてくれるみたいだから、参加してってね」
『…でも、御館様が……』
「ああ大丈夫、アイツには俺から言っとくから」
『本当ですか!?あ、ありがとうございます!』
短い間だったけど、仲良くしてくれたみんながお別れ会を開いてくれることが嬉しくて、勢いよく店長さんにお礼を言った。いい思い出になる…楽しかった記憶があれば、これからも暗い暗い闇の中を生きていけるだろう。土方さんに会えるのも今日が最後だし、笑ってお別れを言おう。
ズキリと胸が痛んだのに気付かないふりをして控え室に戻ろうとすると、店長さんは「そういえば」と何かを思い出したように言った。
「土方さん、来られたよ」
その言葉に反応して入り口を見て、パッと店長さんの方へ振り向くと、店長さんは笑顔で手を振ってくれた。
「楽しんでおいで」
次の瞬間、私は入り口の方へ駆け出した。愛しいあの人が待つ場所へ。
六夢*望み続けた夢