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あなたの想い



『運命の、人って…?』

「…言わなきゃ分かんねェか?」



ニヤリと笑うトシはゆっくり近付いてきてそっと私の手をとり、そのまま引き寄せて優しく抱き締めてくれた。


「お前だよ、[#dn=2#]…お前以外考えらんねェだろ」

『トシ…』


愛しそうに顔を寄せるトシは凄くあったかくて、抱き締められただけなのに涙が出そうになった。



「[#dn=2#]と出会えた…だからもう、こっちの世界での俺の使命は終わったんだよ。きっと近い内に戻っちまう」

『何でっ…!』


トシの腕の中から彼を見上げ、私は必死に訴える。分かってたことけど、トシが戻っちゃうなんて嫌…!



『そんなのっ…そんなの嫌だ!トシが真選組を大事に思っているのは分かるけど……戻っちゃうなんて耐えられない!!私、トシに会って初めてこんなに人を好きになった…!』

「俺だって…」


泣きながら自分の思いを叫んだら、トシはまた苦しそうな表情になって言った。



「俺だってそうだ!出来ることならずっと[#dn=2#]の側にいてェよ…けど、ダメなんだよ……お前は他の誰かと恋をして、結婚して、子供作って幸せになんなきゃいけねェんだ!!」



その時トシの目からはボロボロと涙が溢れて、私はハッと気づいた。トシには自分の命とも言える真選組を残したままこっちに来てしまったんだ。きっと今も心配で心配で仕方ないんだろう。
それに私は、真選組副長としての土方十四郎が大好きなんでしょ。トシがどんなに真選組大切に思っているか、知ってるじゃない!たくさんのことを抱えてる中で、私のことも大事に想ってくれてることくらい、伝わって来てたじゃない…!!



グイッと乱暴に涙をぬぐって、トシの胸を押して距離を取った。


『…ゴメン、私ってば…何も考えてなかった』

「[#dn=2#]…」



強くならなきゃ。自分のためにも、トシのためにも…!!



『鬼の副長、復活だね…』



ああ、そう言った時の私の顔は、相当酷いものだっただろう。さっきぬぐったはずの涙が、またあふれ出してきた。




大切な物の為に命を張って戦っている、気高くも剛健なあなたが大好きなんです。

2008.5.2 愛紗

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