任された使命
バイト帰りに近所のスーパーでマヨネーズの安売りをしていたので、5つ買い込んで(おひとり様5つまでだったから)、嬉々として家に向かった。トシ、喜ぶかな…?左手の薬指にキラリと光る指輪を見つめ、小走りで帰宅した。
『たっだいまー!』
「[#dn=2#]…」
笑顔で出迎えてくれるかと思ったら、トシは困ったような顔をして出てきた。
『え、どうしたの…?』
「今日な、総悟から電話があって……」
嫌な予感がする。この話は聞きたくない……自分の心臓が激しく鼓動するのが分かる。トシの口が動くのが怖い。
「俺な…」
キュッと自分の手を握りしめるトシは、苦しそうな顔をした。私は逃げ出したい思いでいっぱいだったけれど、足の裏が床に張り付いたように一歩も動けなかった。
「多分、もうすぐ元の世界に戻っちまうと思う…」
私の思考が完全に停止した。トシが何を言ってるのか、理解するのにしばらくの時間がかかった。
何で、どうして?せっかく結ばれたと思っていたのに…。
2008.4.30 愛紗