任された使命



昨日の夜から、[#dn=2#]の機嫌はすこぶる良好だ。ちょくちょく揃えて買ったシルバーの指輪を眺めては、満足そうに笑って俺に目を向ける。そして『トシと恋人同士なんて夢みたい!』と言って、愛しそうに俺を見つめる。そんな[#dn=2#]を見ていたら、俺も自然と笑顔になって、アァこれが幸せってもんかと実感していた。

朝いつも学校に出発する時間になり、[#dn=2#]はいつものように慌ただしく準備をしていた。


『トシ!今日は学校は早く終わるんだけど、バイトがあって…帰るの8時くらいになりそう』

「アァ、分かった。大人しく留守番してる」

『なるべく早く帰るから!』

「気ィ付けろよ~」



分かった!と言って走っていく[#dn=2#]はとても危なっかしくて、見てるこっちがヒヤヒヤしてしまう。
そんなところも可愛いと思えてしまう俺は、芯の芯まで[#dn=2#]に惚れちまってるらしい。


「まだ出会って10日も経ってないのにな…」



まったくだ。出会ってから日も浅いってのにこんなになっちまうたァ、運命以外に考えらんねェ。

…って何ロマンチックなこと考えてんだ俺ェエェ!何だコレ、めっちゃ恥ずかしいじゃねェか…!!



そんなことを考えながらひとりで葛藤していたら、テーブルの上の携帯が鳴り響いた。ディスプレイを見てみれば、この前と同じ【沖田総悟】の文字。通話ボタンを押して電話に出ると、その声を何だか物凄く久しぶりに聞いたような感覚に陥った。



「もしもし総悟か?…え?アァ、うん…は?マジでか……」



総悟からの電話の内容は、意外っつーか思った通りっつーか……とにかく驚きを隠すことが出来なかった。



acht 任された使命
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