お揃いの指輪
『あ!』
安くて美味しいと評判のイタ飯を食べに行って、そのまま帰ろうと通りを歩いていると、露店商を見付けた。普段は全然気にしないけど、何だか今日は気になったので、立ち止まって飾ってあるアクセサリーを眺めた。
『見て見てトシ!綺麗~…』
「本当だな…あ、ソレとか[#dn=2#]に似合うんじゃねェか?」
「お兄さんたち仲いいねェ、恋人同士だよね?」
「アァ」
恋人同士…さっきまでは少し不安だったんだけど、今はもうその不安は払拭された。トシが「アァ」と即答してくれたことが嬉しくて、自然と顔がニヤけてしまう。
『トシ、お揃いで買おうよ』
「あ…俺、金ねェし」
『そんなのいいよ、私が買いたいんだから。どれがいいかなぁ?』
悪ィ、と言うトシと一緒に悩んで決めたのは、シンプルなシルバーのリング。お金を払って2つ受け取り、それを左手の薬指にはめた。するとトシも左手の薬指にはめてくれて、2人で顔を見合わせて笑った。
こういうのを「本当に幸せ」って言うんだろうなぁ、と思った。
幸せな時間、ずっと続けと願う私は愚か者ですか…?
2008.4.29 愛紗