お揃いの指輪
昨日の俺からの告白(…ん?[#dn=2#]からって言うのかこの場合?)で、俺たちは恋人同士になった。それは今でも信じられないような事実で、[#dn=2#]の相手が本当に俺みたいな男でよかったのであろうか?
それに…俺たちの間には大きすぎる壁がある。いくら助走をつけようとも飛び越えられねェだろう、高い高い壁。俺たちは双方からその壁を見上げ、崩れるのを待つしかねェんだ…。
しかしながら[#dn=2#]は、そんな俺じゃなきゃ嫌だと言ってくれた。[#dn=2#]がそう言うんなら、俺ァ待つさ。この壁が音を立てて崩れ、本当の意味で[#dn=2#]の笑顔が見えるまで…。
「あ、[#dn=2#]」
『なあに?』
「今日、学校終わってからどっか行かねェか…?」
俺がそう言うと、[#dn=2#]は嬉しそうに目を輝かせた。マジで可愛い。
『うんっ!でもどこ行く?』
「あー…俺あんまりこの辺の地理分かんねェから、[#dn=2#]の行きたいところでいい」
『そっか、じゃあ考えとくね!』
それじゃあいってきます!と言って、[#dn=2#]は家を後にした。[#dn=2#]を見送った後に、俺はまた考え始めた。俺ァもしかして、あんなに嬉しそうな[#dn=2#]から笑顔を奪い取ろうとしてるんじゃねェのか…?でも俺は、今こうやって[#dn=2#]と一緒に飯を食ったり、他愛ない話をするのが楽しくて仕方ねェ。屯所にいた頃にはあまり味わえなかった、安らぎの意味を教えてくれた。俺はワガママだ。[#dn=2#]には笑っててほしいし、この空間を失いたくない。
自分の考えをフッと笑って、部屋の掃除を始めた。んな女々しいこと考えてる場合じゃねェ。今日は[#dn=2#]と出掛けるんだからな!ついついニヤけてしまった顔を引き締めてみたけれど、俺の心はまるで遠足を楽しみにする子供のようにワクワクしていた。