お揃いの指輪
『トッシー!ご飯出来たよっ』
「誰がトッシーだ誰がァアァ!!」
昨日の夜、トシから(…ん?これは私からって言うべきなの?)の告白によって、見事恋人同士になった私たち。障害の多すぎる恋だとは思うけど…今はトシが側にいてくれるだけで幸せ!
トシはマヨネーズをトーストにぶちゅぶちゅかけながら、私の視線気付いたのか少し顔を赤くして手を止めた。
「…何だよ」
『いやいや、トシは可愛いなぁ…と思ってね!』
「可愛いって…そんなこと言われても嬉しくねーよ!!」
『本当のことだもーん』
可愛くなんかねェエェ!!と叫びながら、持っていたマヨネーズのキャップを閉めて顔を背けた。鬼の副長は何処へやら、漆黒の髪の隙間から覗く真っ赤になった耳がピクピク動いているのが物凄く愛しくて…私はニヤニヤが止まらないまま朝食をとった。
「なぁ[#dn=2#]、」
私に続いてトシもご飯を食べ終わったので、2人分の食器を重ねていると、突然真剣な顔をしたトシが口を開いた。
『なにー?』
「お前…本当に俺でいいのか?俺たち、違う世界の…」
そう言うトシの目は憂いを帯びていて、今にも泣き出しそうだった。私だって考えない訳じゃない…結ばれない運命。そして、いつか来る別れ……正直、距離を置くことを考えたこともある。でもやっぱり、別れた時のツラさを減らすことよりも一緒にいるこの時間の方が何倍も大切なんだ。
『…いいに決まってるでしょ』
食器を持って立ち上がり、流しに運ぶ足を途中で止め、トシの方に振り返ってニッコリ微笑んだ。
『トシじゃなきゃ、やだよ…』
sieben お揃いの指輪