たった2文字
『…[#dn=2#]?』
コンコンとトイレのドアをノックしながら、トシが声をかけてきた。私はドアを開けずに『ほっといて!』と叫んだ。今トシの顔を見たら、涙が止まらなくなりそうだから…。
「…そういう訳にはいかねェんだよ!!」
突然大きな声を出したトシに驚きながら、鍵のかかったドアを見つめていた。
「そのままでいいから、聞いてくれねェか…?」
『うん…』
「…俺ァ、このままでいいと思ってた。[#dn=2#]と俺は違う世界の人間だし、ずっと一緒にはいられねェだろ…?それに何より、[#dn=2#]の気持ちが分からなかったから…」
『…』
「でもな、[#dn=2#]のあんな顔見て……黙ってられるほど俺ァ大人じゃねェんだ!ここ開けろ、俺には[#dn=2#]に言わなきゃいけねェことがあるんだよ!!」
開けてもいいの?
…そんなの愚問だ。今の私に出来ることなんて、ひとつしかない。
そっと鍵を捻るとゆっくりドアが開いて、真っ赤な茹で蛸みたいな顔をしたトシが下を向いて立っていた。
「一度しか、言わねェからな…!」
トシの真剣な瞳が、私の姿を捉えた。この瞳からはもう逃れられない。
「俺は、お前が……[#dn=2#]のことが好きだ…!」
この溢れ出す想い、もう止めなくてもいいの?
私は目にいっぱい涙を溜めて、トシの胸に飛び込んだ。受け止めてくれたトシは、とてもあったかかった。
もう我慢なんてしないから。
こんな気持ちになるのは、全部アナタのせい。
2008.4.23 愛紗