縮まった距離
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いろんな友達に頼んで回って、なんとか昨日と一昨日の分のノートを入手することに成功した。大学近くのコンビニで、放課後必死にコピーして、今は家の近所のファミレスでバイト中だ。とは言ってもお客さんが集まるピークは越えていて、只今2~3組のお客さんが新しく料理も頼まず談笑してる最中だ。
『…ふ~っ』
「[#dn=2#]ちゃん、お疲れみたいだね」
『あ、先輩…』
声をかけてくれたのは、バイト先の男の先輩。頼りになる人で、たまに相談事も聞いてもらっちゃったりする仲だ。
『せーんぱーい…実は今、叶わぬ恋をしているんです~…』
「何々、どゆこと?」
『詳しくは語れないんですが、住む世界が違うんです』
結構ダイレクトに言ったけど、先輩は違う意味で取っているだろう。「私と彼では身分の差が~…」みたいな。
「そうなんだ…でも[#dn=2#]ちゃんは、その人のこと好きなんだろう?」
『…最近自覚しましたが』
「[#dn=2#]ちゃんはニブすぎ。好きならいいんじゃないのか?何も行動せずに後悔するよりは、ジタバタ足掻いた方がいい…カッコ悪いけどな」
そう言ってニコリと笑う先輩。そうだよね、足掻くことくらいなら私にだってできる。あとどのくらいトシがここにいられるのかは分からないけど、それまでは許された期間ってことで。素敵に片想いをエンジョイしちゃおう!
決意を固め、ふと時計を見上げるとバイトが終わる時間だった。ちょうど交代のバイトの人たちも来たし…先輩に『お先に失礼します。頑張ってみます!』と声をかけて、急いで着替えに行った。
途中寄ったコンビニでマヨネーズを大量に買い込み、(コイツまたマヨネーズ買ってんのかよ的な顔をされた。た、食べるのは私じゃないィイィ!!)足取りも軽く部屋に戻った。まだまだこの恋に問題は山積みで、前途多難なモノだけど…出来るだけやってみればいいんだ!何もせずに後悔なんて、絶対に嫌。
そっと部屋の鍵を開けると、トシはテーブルに突っ伏して寝息をたてていた。
『…かわいい』
トシを起こさないようにマヨネーズでいっぱいの買い物袋をテーブルに置こうとしたら、突然トシが声を出した。
「…[#dn=2#]、」
『あ、トシ起きた……って寝言か。何、私の夢見てんのかな』
「…一回しかァ、言わねェぞ~……」
『…何だろう?』
トシが夢の中で私に伝えたいことが気になってしまい、買い物袋を両手に提げたままの状態で次の言葉を待った。
「…俺ァ、お前が…[#dn=2#]が、好きだ……」
思わず手から買い物袋が滑り落ちた。自分の顔がどんどん赤くなってくのが分かる。足の力が抜けてしまって、その場にヘタリと座り込んだ。そんな、まさか…!
『ホ、ホントに…?』
サラリと爆弾発言をした当の本人は、綺麗な黒髪のスキマから可愛らしい寝顔をのぞかせていた。
フライング的な告白。
私も。って言っても、いいの?
…受け止めて、くれますか?
2008.3.28 愛紗