微かな心境の変化
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十四郎が焼いてくれたホットケーキは物凄く美味しかった。歯磨きをして身支度を整え、いざ登校!というときに私はある問題を思い出した。
『十四郎、十四郎…』
「ん、何だよ」
『…学校までの道が分かんない』
昨日、ここまでの道のりを覚えておくべきだった。住所だけを頼りにたどり着いたから、きっと凄く遠回りをしてるとは思うけど…。
申し訳なくて控えめに言ってみたら、十四郎はキョトンとしていた。
「一緒に行けばいいだろ」
『…へ?いいの?』
「いや俺はいーけど。あ…雅は嫌か?」
『いやいやいやそんなわけないでしょ!ゼヒお願いします!!』
私が慌てながらペコリと頭を下げると、十四郎は「大袈裟だな」って言いながら笑っていた。
今更だけど、十四郎は凄くいい人だと思う。初対面の私にも親切だし、さっきも何も言ってないのにホットケーキを焼いてくれた。こう、ね。さりげなく優しいんだよ!
だからといって好きになった訳じゃない。けど……
そんなことを考えながらボーッと見ていたら、十四郎と目が合った。十四郎は「な、何だよ!」って言いながら赤くなっていた。可愛いなぁ…。
「あ、雅ーっ!」
十四郎と並木道を歩いていたら、後ろから聞き覚えのある声が飛んできた。振り返れば、神楽ちゃんがブンブン手を振りながら駆け寄ってきた。
『おはよう、神楽ちゃん!』
「おは…ん?何でマヨ方が隣にいるアルか!」
『マ、マヨ方?』
「土方だバカヤロー」
「あら雅ちゃん、神楽ちゃん!おはよう」
『あ、妙ちゃん!おはよー!』
「アレ?土方くんも一緒なの?」
『あ、えっと…』
どうしよう、言っちゃっていいのかなコレ?でも十四郎の迷惑になっちゃったらいけないし…どうしよう!
あわばばば…!と私が焦っていたら、十四郎は「道が分かんねェって言うから、連れてきてやっただけだ」って言ってスタスタと先に歩いて行ってしまった。私はそんな十四郎の後ろ姿をポカンと見ていた。
「雅、マヨに何かされなかったアルか?」
『え、大丈夫だよ?』
「土方くんって案外親切よね~。あ、九ちゃんじゃない!おはよう」
「妙ちゃんたちか。おはよう」
あれれ、何だろうコレ。妙ちゃんが十四郎を褒めた時、胸がチクリと痛んだ。何なんだろう…何か変な病気じゃなきゃいいけど。
何だかモヤモヤする気持ちのまま、学校へ向かった。