Z組メンバー的日常
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「あ、忘れてた」
しばらく歩いている内に土方家が見えてきて、こういうルートで登下校すれば近いのかと1人で納得していたら、十四郎がゴソゴソと学ランのポケットを探り出した。
「ん」
『え、何?』
お目当てのものを見つけ出したのか、十四郎はポケットから手を引き抜いてそのまま私の方に突き出してきた。何だろう?と疑問に思いながらも手を出すと、そこにチャリンという音を立てて何かが落とされた。
『…鍵?』
「悪ィな、渡すの忘れてたわ。俺は部活で帰るの遅くなるし…それがなきゃ不便だろ」
『あ、ありがとう!』
わー…とちょっと感動しながら鍵を見つめていたら、そんなに嬉しーか?と苦笑いの十四郎に言われた。
家に着いて部屋に荷物を置くと、修学旅行の費用についての問題を思い出した。あわばばば、十四郎に言わなくちゃ。
『とーしろー!』
「何だよ」
制服のまま下の階に降りると、十四郎は既に着替えをすませてテレビを見ていた。
あのね、と切り出して今日銀八先生と話したことを伝えると、あーそういえばよォ…と十四郎が言い出した。
「バカ親父が雅の分とか言って、多めに金振り込んでんだよ。だから生活費のことは気にすんな」
『おじ様…!』
「修学旅行のことだけど…それは俺の貯金でなんとかしてやる」
『えええ!だってかなり大金じゃない…そこまで迷惑はかけらんないよ』
「いーから。大人になったら返してもらうぜ?」
そう言ってニヤリと笑う十四郎。そのぶっきらぼうな優しさが身に染みて、ちょっぴり泣きそうになった。
『…ありがとう!』
「そうだ、アドレスとか教えとけよ。知らないと不便だろ」
『あ、えっと…私、携帯持ってないんだ』
「…へ?そうなのか。今時…」
『わ、悪かったわね!』
そう言ってフンと顔を背ければ、十四郎は「悪ィ悪ィ」と笑いながら言った。
「そういえば、荷物はいつ届くんだよ?」
『荷物?荷物は昨日持ってきたので全部だけど…』
「昨日持ってきた、って…旅行カバン1つじゃねェか!何だお前、旅行気分か?」
『違うよ!必要最低限な物しか持って来なかったんだよ!』
「でもそれじゃ不便だろ。仕方ねーな…」
そう言って十四郎はテレビを消して立ち上がり、居間を出ていった。
『と、十四郎ー?』
「買い物行くぞ」