微かな心境の変化
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「はーい、それじゃ委員会決めをしまーす」
さっきまでザワついていた教室が、急に静かになった。隣の席の総悟くんと話していた私も、体の向きを正面に戻して先生の方を見た。
どうやら今から委員会を決めるらしい。まあ、新学期だし定番だよね。
「じゃーまず…学級委員だな」
「新八が適任アル」
「何でだよ神楽ちゃん」
「学級委員、新八でいい人~」
「ちょ、【で】って何ですか【で】ってェェ!!」
銀八先生がクラスに声を掛けると、見事に全員が挙手した。出遅れた私がワタワタしていたら、総悟くんが小さい声で「こーゆーのは、あのメガネにやらせときゃいいんでさァ」って言ってきた。い、いいのかなぁ…?
…やっぱり、空気読めない奴。みたいに思われたくなかったので、私もコッソリ挙手しておいた。別に新八くんが学級委員になっても、何も問題ないだろうしね!
「ハイ決定~。学級委員は、志村…新八……っと。基本早いもん勝ちだから、やりたい委員会あったらサッサと手ェ挙げろよ~?え~次は体育委員「はいはいはいはいいいい!俺やりたいィィ!!」
【体育委員】という言葉を聞いた瞬間、近藤くんが立ち上がって大声で叫んだ。び、ビックリしたァァ…。周りを見ればみんなが驚いていて、高杉くんなんてイスから転げ落ちそうになっていた。
「うるせェよ近藤!この体育バカが……よし。じゃあ次は文化委員」
「俺がやりまさァ」
総悟くんがガタンとイスの音を鳴らして立ち上がった。え、総悟くんも委員会やるんだ……正直意外。めんどくさいこととか嫌いそうなのに。って勝手に決めつけちゃダメだよね、ゴメンね総悟くん…と心の中で謝っておいた。
私が小さな懺悔をしていたら文化委員は彼に決定したらしく、総悟くんは着席した。
『総悟くんも委員会入るんだ、偉いね~』
「いや、文化委員楽だし」
『へ、へぇ~そうなんだ~』
「それ以外に委員会入る理由なんてありやせんぜ」
ちょっとォ、やっぱり彼はめんどくさいこととか嫌いなんじゃないかァァ!さっきのゴメン返してよォォ!!
何だか損した気分になっていたら、総悟くんはニヤリと笑って言葉を続けた。
「それに…先に委員会入っとかねェと、後々マズイことになるんでさァ」
『え?どゆこと?』
「まあまあ、雅も委員会入っといた方がいいですぜィ」
総悟くんの言った言葉の意味はよく分からなかったけれど、とりあえず適当な委員会に入っておいた方が良さそうだ。そう思っていたとき銀八先生が「誰か保健委員やらねェか~?」と言っていたので、立候補したら無事に保健委員になれた。
その後、選挙管理委員に妙ちゃん(総悟くんが「コレも楽なんでさァ。姐さんも良いとこ狙いますねィ」なんて言ってた)、図書委員に桂くん、進路委員に九ちゃんが決まっていよいよ最後の委員会になった。
「え~最後、記録委員」
さっきまではそれなりに順調に決まっていたのに、記録委員の番になるとみんなが黙り込んで先生と目を合わせようとしなかった。
『ねね、何コレ?』
「記録委員、超面倒なんでさァ。下手したら学級委員よりも」
『マジでか』
どーりで教室中が静かになるはずだ。誰もがその委員会を避けようと必死な中、声を発したのは桂くんだった。
「記録委員、めんどくさいからアホ杉でいいんじゃないか」
「ヅラ、テメェェ!めんどくさいからって何だ、しかも俺はアホ杉じゃねェ高杉だ!!」
「晋助様には無理っスよ!晋助様は字が超絶に汚いっス。幼稚園児並みに」
「また子ォ!お前それフォローしてるつもりかもしれねェが、全くフォローになってねェぞォォ!!」
「字ならトシが綺麗だぞ」
「何言ってんだよ近藤さん!」
「字が汚いと先生が困るんで、記録委員は多串くんな」
「ソレ俺のことかァァ!!?」
みんなどうしても記録委員は避けたかったらしく「それがいいわ!」とか「お似合いアル!」とか言って丸め込み、結局十四郎が記録委員になって一件落着した。ゴメンね十四郎、気の毒だけど私にはどうすることも出来ないの…。