やっと通じた想い
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裏庭に1人で立ち尽くしている俺は悩んでいた。
生まれてから今まで、告白なんてしたことがないので何て言えばいいのかサッパリ分からんのだ。
「…うーん」
腕組みをして一生懸命考えるが、何も思い付かん。どうしたもんか…これはシャレたことなんて考えずに、ストレートに言った方がいいのかもしれない。
「…そうだな。俺、妃咲のことが好きなんだ!付き合ってくれ!!……とかどうだ?」
ばさばさっ!
イマイチかな…と思っていたら、後ろで何かが落ちる音が聞こえた。ヤバい、誰かに聞かれ……
「…妃咲!?」
『トシくん…』
振り返れば縁側にいたのは顔を真っ赤にした妃咲で、足元には書類らしきものが散らばっていた。ああ、さっきの音はコレだったのか。と、妙に冷静に考えていたが…直後、急に焦り始めた。
「あわばばばばば妃咲!コレは、そのっ…」
『…っ!』
俺が慌てて言い訳を考えていたら、妃咲はその場にへたりと座り込んだ。
「…妃咲?」
『今の、本当…?』
恐る恐る声をかければ、消えそうなほど小さな妃咲の声が聞こえてきた。妃咲は俯いているので、表情は見えない。
…土方十四郎、お前は男だろ。告白するって決めたんだ、ビビってんじゃねェよ…!
両手をキュッと握って、ゆっくりと口を開いた。
「あぁ、そうだ。俺は妃咲が好きだ…」
『そう、なんだ…』
妃咲がポツリとそう呟いてから、長い沈黙が俺たちの間に漂った。な、何か言ってくれ!気まずすぎるゥゥ!!
『…ずずっ』
「へ?」
沈黙を破ったのは、妃咲の鼻の音だった。それにどういう意味があるのか分からなかった俺は、間抜けな声を出してしまった。妃咲は肩を震わしていて、泣いているようだった。
「妃咲、どうしたんだ…?」
『…ごめっ……』
「え…」
今、ゴメンって言ったか?
…ってことは、ダメだったってこと……
『…ずずっ。泣いちゃっ、て、ゴメンね』
「え、妃咲…?」
顔をあげて涙をグイッとぬぐった妃咲は、俺の大好きな笑顔を浮かべた。
『…ありがとう。私、トシくんのこと……大好きなんだ!』
妃咲の言葉を聞いた途端、俺の足の力が抜けた。ヘナヘナとしゃがみこんだ俺を見た妃咲は『ちょ、トシくん!どうしたの!?』と驚いていた。
妃咲の笑顔には…とんでもない威力があるみたいだ。
心の底から込み上げてくる感情に、俺は久しぶりに心から笑うことができた。
連載第三話。
妃咲ちゃんの笑顔の威力は、トシくんまで笑顔になっちゃうってことなんですが…伝わってますかね?(ドキドキ)
2008.5.12 愛紗