聖夜が為にいざ参る
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「こんにちは、よい子の皆さん!(勲裏声)」
「ぶわははは!」
「サイコーっす、局長!」
クリスマスパーティー当日、勲さんは去年総悟が着ていた(ジャンケンで負けたらしい)というサンタさんの衣装を見に纏って登場した。先に着席し、トシくんの誕生日パーティーの時に使った三角帽子を頭に載せて待っていた私達は一斉に噴き出した。いや、だってスネ毛とか丸出しなんだもん!勲さんと総悟の体型を考えればすぐにわかることだけど、勲さんは衣装がピッチピチで少し苦しそうだった。
みんなの拍手に迎えられた勲さんは手前の席に座っていた隊士と握手をしてから、正面に用意されていたマイクの前に立った。
「えー、今夜はイサオクロースからよい子のみんなに…なんとプレゼントがあります!」
「いやイサオクロースって何だよ、何も被ってねーよ!」
「まずは一番隊の沖田総悟君、欲しいものは何かな?」
「オイ、無視か!」
「何でもいいんですかィ?」
「ああ、言ってみろ!まぁイサオクロースにはもうわかってるんだがな、総悟君の欲しいものくらい!」
ガッハッハ!と豪快に笑う勲さんを前にして、そうですねィ…と腕を組んで考えている総悟を横目に見ながら私とトシくんはコソコソ話していた。
『ねぇ、総悟の欲しいものって…』
「絶対無理言うよなァ。近藤さんも学習すりゃいいのに」
『でも総悟なりに遠慮するかも…!』
「いや、アイツはこういう時こそ未成年であることを最大限に行使する奴だ。絶対遠慮しねぇ」
突然、そうだ!と声をあげてポンと手を打った総悟にみんなの注目が集まった。
「島」
「…へ?」
「いや、だから島。どっか南の方がいいなァ、常夏な感じでよろしく頼みまさァ」
「いや、島ってお前…」
『どこの大富豪!?』
「お願い、イサオクロース!」
「出た、子供ブリッコ!」
まさかの島の要求に、部屋にいた全員が度肝を抜かれていた中、イサオクロースはすごく意気消沈した様子で担いでいた真っ白な袋をゴソゴソ漁った。
「俺さぁ、総悟君はきっとこういうのがほしいと思って…」
「何ですかィ?油田でもいいですぜ」
『油田て』
「これ…」
イサオクロースが取り出したのは、小さなオレンジの包み。受け取った総悟はその場でリボンをほどいて中身を確認した。
『総悟、中身なんだった?』
「トランクスでさァ」
「なるほど、トランクスか。………って何でェェ!?」
「こっちが聞きてーやい」
ホラ、と袋から取り出されたのは間違いなくトランクスで、私達は訳がわからずただ呆然とそれを見るしかなかった。
「いやアレじゃん、総悟ももう大人な訳だし…俺たちは紳士だ。紳士たるもの下着にまで気を遣うのが筋ってもんだろ」
「近藤さんの口から【紳士】という単語が出てこようとは…」
「しょっちゅうフンドシ一丁になる紳士なんて聞いたことありやせんぜ」
「確かに【紳士】って言うより【不審者】ですよね」
「うまい!」
「うまくねーよォォォ!」
みんなヒドイ!と叫んでその場にうずくまり、ヒンヒンと高い声を出しながら泣いてる勲さんを慰めるのに些か時間がかかった。
イサオクロースが復活した後、私はぬいぐるみ(イサオクロースお手製)、トシくんは似顔絵(もちろんイサオクロース作)をもらった。私は嬉しかったんだけど、トシくんは「これ、俺?」と複雑な顔をしていた。似顔絵を見せてもらうと、確かに似てるとは思えなかった。
イサオクロースはプレゼントを一通り配り終えた後、満足そうに笑っていた。この表情を見ると、やっぱりパーティーに参加してよかったと思った。
イサオクロースがサンタクロースの衣装から着流しに着替え勲さんに戻って、みんなが労いの拍手を送っていた時、部屋の真ん中の方から控えめな「あの~…」という声が聞こえた。声の主は、ザキくん。
「俺だけ、プレゼントもらってないんですけど…」
「え?マジで?」
「ていうかお前いつからいた?」
「えええ!?ちょ、ええええ!!【紳士】って言うより【不審者】ですよねってつっこんだの俺ですよ!」
「マジでか」
「いくら地味だからってそれはないでしょおおお!」
憤慨するザキくんに、周りにいた人が「まぁ飲め!」とお酒を飲ませると、ザキくんはすぐにつぶれてしまった。お酒弱いんだ~。
それを皮切りにみんながお酒を飲み始めて、大騒ぎが始まった。私はお酒なしだったけど、一緒に盛り上がれてすごく楽しかった!