行け、芋掘り隊!
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突然妃咲ちゃんが「仲間に入れて!」と言ってきた今回の依頼、それは農家の芋掘り作業を手伝うというものだった。疲れる割に報酬は現金ではなく、本音を言うとノリ気ではなかった。しかしババアに「アンタは仕事を選べるような立場かい!」と怒鳴られて、渋々家を出た。
それが今となっては楽しみで仕方ない!何でかって、そりゃ妃咲ちゃんと一緒にいられるからだろう。妃咲ちゃんはもう土方十四郎という物凄く気に食わねェ奴の恋人だけど、そんなの知らねー。俺がどうしようと俺の勝手だ。絶対に妃咲ちゃんを俺に惚れさせる!そしていつも一緒にいて、毎日ラブラ…「銀さん、ナレーション長いです」
と、近い将来現実になるであろう想像を頭の中で繰り広げていたら、白い目をした新八に邪魔をされてしまった。ちくしょう、せっかくいいとこだったのに…。
「新八、てめェ邪魔してんじゃねーぞ!せっかく俺と妃咲ちゃんのラブラブ新婚生活を想像してたのに」
「何それ不健康だよ!夢ばっか見てないで現実に目を向けようよ!」
「うるせーバカ!アホ!」
「悪口が幼稚!しかも…アレ?銀さんちょっと涙目じゃね?」
「う、うるせー黙れメガネ!」
「メガネの何が悪いんだァァ!」
『ちょ、どうしたのケンカ!?』
新八とギャーギャー言い争っている俺たちの前に現れたのは、着替えを済ませた妃咲ちゃんと神楽。2人とも畑で作業しているオバチャン集団と同じような格好をしているにも関わらず、妃咲ちゃんはいつものように可愛く見えた。
『もう、依頼主の方待ってるよ!早く作業しないと』
「ホンット、使えない男共アル」
神楽がわざとらしくハァとため息をついてそう言った直後、オバチャンに呼ばれて2人は畑の中に入っていった。それをボーッと見送った俺たちは、ポツリと呟いた。
「…なぁ新八くん、何で妃咲ちゃんってあんな格好でも可愛いのかな?」
「それは妃咲さん自体が可愛いからだと思いますよ、銀さん」
ホント、あんな可愛い子があんな憎たらしい奴の彼女なんて信じられない。つーか信じたくない!いつか絶対に俺…
「ぐはああ!」
「銀さんンンン!」
妃咲ちゃんを絶対に幸せにする、と心の中で決意を固めていたら、どこからともなく飛んできた泥ダンゴが俺の顔面にクリティカルヒットした。おいい誰だ投げたの!ちょっと口に入っちゃったじゃねーか!
「アンタらもサッサと働かんかね!」
「「あ、ハーイ…」」
朝から始まった芋掘りも昼頃には大方が片付き、残りの選別などの作業は自分たちでするから、と言われた。つまり、俺たちの仕事は終わったのだ!
「腰痛ェェェ!」
「疲れましたね…」
「もう動きたくないアル」
『軽トラ何台分くらい掘ったんだろ…?』
疲弊しきった俺たちはやっとの思いで着替え、報酬を受け取り帰りのバスを待っていた。このハンパない疲れ具合、やっぱ報酬は現金で貰えばよかった…。そうしたら甘いもんが食えたのに!
「そうだ、妃咲ちゃんの取り分…ハイ」
『え?こ、こんなに…いいの?』
「いいんですよ。正直僕ら、妃咲さんがいなかったらここまで頑張れませんでしたし」
「遠慮するなヨ!持ってけドロボー!」
「いや泥棒じゃないからね神楽ちゃん」
『みんな…ありがとう!』
そう言ってニヘッと笑う妃咲ちゃんはやっぱり可愛くて、本当に妃咲ちゃんに似合うのは服装とかじゃなくて笑顔だと思った。
しばらくバスに揺られてかぶき町に帰ってきた俺たちは、笑顔で手を振り屯所に戻っていく妃咲ちゃんを見送った。
「銀ちゃん、片想いアルな」
「ちょ、神楽ちゃん!そんなストレートに…」
「いいんだよ、ぱっつぁん…俺は負けねェ!絶対妃咲ちゃんを惚れさせてみせる!」
「銀さん…僕も応援します!」
「私は妃咲姉の味方アル」
「神楽ちゃぁぁん!ちょっとは銀さんにも協力して、ね?」
「嫌アル」
「神楽ちゃーん!おねがーい!」