行け、芋掘り隊!
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最近の江戸は急に寒さが増し、たまに雪もちらつくようになった。普段は元気いっぱい真選組も、市中見廻りの際はマフラーや手袋などの防寒着が手放せない日が多くなった。
「うう、寒いね妃咲ちゃん」
『そうですね、早朝ですし…あれ?勲さん、手袋はどうしたんですか?』
「…忘れちゃった」
『あらら!じゃあこれどうぞ』
一緒に見廻りをしていた勲さんの言葉を聞いて、私が着けていた手袋を取って渡すと勲さんはキョトンとした表情をした直後、驚いた顔をしていた。
「えええいいよ!!妃咲ちゃんも寒いだろ?」
『このくらい平気ですよ!ささ、どうぞ』
「いや、いいって!第一それ、トシにもらったやつだろ?」
『…そうなんですぅぅ!!』
勲さんの言葉を聞いて、私は1週間ほど前を思い出していた。
「妃咲、妃咲!」
『なーに?』
「コレ…やる」
そう言ってトシくんは、小さめの紙袋を差し出した。トシくんから何かもらえたことが嬉しくて、ニヤニヤする顔を一生懸命引き締めて中を見た。入っていたのは、ふわふわの毛糸で編まれたピンクの手袋。
『わ、手袋!』
「これから寒くなるから…それにその手袋、妃咲に似合うと思って……」
『トシくん…!』
「妃咲…!」
『とっても素敵な時間でした…』
「じゃあ尚更借りられないよ」
ほぅ、と白い息をはいて手袋を抱き締めながらその時の事を思い出していると、勲さんは苦笑して再び断った。ハッと我に返った私は、『私にはトシくんの気持ちがあるから暖かいんです!』と言って、手袋を勲さんに押し付けた。
「…本当にいいの?」
『はい!ちょっと小さいかもしれないですけど…』
そう言ってにっこり微笑めば、勲さんも満面の笑みで「ありがとう!」と言ってくれた。勲さんの手に窮屈そうにはめられた手袋を見て、もう一度笑った私たちは見廻りを再開した。
「最近みんな、こたつにこもりがちだよな~。会議と見廻りの時くらいしか出てこねーもん」
『やっぱこの寒さですしね~。みんなが同時に同じ場所で暖まるのは難しいですね』
「もっと真選組に経費くんねーかなァ。そしたら食堂の石油ストーブをエアコンに変えるのに」
『あ、たき火とかどうですか?みんなで暖まれますよ!』
「お、いいね!ついでに焼き芋とかもしたいね」
『焼き芋…』
その言葉に反応してあることを思い出した私は、勲さんに一言残して走り出した。
『勲さん、先に屯所に帰っててください!』
「え、ちょ、妃咲ちゃんンンン!?」
21*行け、芋掘り隊!