風邪は万病の元
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「じゃあ妃咲ちゃん。俺たちがいるとゆっくり出来ないだろうし、仕事に戻るけど…ツラくなったらすぐ言うんだよ?」
『はい!』
「妃咲、携帯ココに置いとくからな。いつでも呼べ。どこにいても駆けつけてやる」
『…ありがとう!』
「ポカリ置いときやす、いつでも飲んでくだせェ」
『うん!』
じゃあ、と言って部屋を出ていく3人に布団の中から手を振り、総悟の置いておいてくれたポカリを飲んだ。
さっきまで3人がいて楽しかった部屋は今やシンとしていて、私の呼吸する音しか聞こえない。頭にのせられたタオルを裏返して、ひんやりとした感覚に目を閉じる。
私に気を使ってくれた、ということはわかるし、そんな優しさもありがたい。けど、風邪を引いてひとりでいると…
『寂しい、な…』
いかんいかん、風邪引いて気持ちが弱くなってる…早く治してみんなに心配かけないようにしなくちゃ!
そう思い、私は眠りについた。
『…ん、』
額に感じた冷たさに目を開けると、そこには勲さんがいた。どうやら勲さんが額のタオルを取り替えてくれたらしい。
「あ、ゴメン妃咲ちゃん。起こしちゃった?」
『いえ、自然に目が覚めて…それよりもどうして……?』
「はは、あんなこと言っといてやっぱり心配になって来ちゃったんだよ」
『勲さん…』
「俺のことは気にしなくていいから、ゆっくり休んで?」
勲さんの優しい笑顔に癒され、お礼を言おうと口を開いた瞬間、勲さんの後ろの障子がゆっくりと開いた。
「妃咲ちゃ…あ、局長もいたんですね!」
「おー山崎!」
『ザキくん…』
「薬、買ってきたよ!」
ザキくんがニコニコしながら差し出した白い袋を勲さんが受け取って中身を改めると、大量の薬が出てきた。
「…山崎、これ全部妃咲ちゃんに飲ませて殺す気か?」
「ち、違いますよ失礼な!どれがいいかわかんなかったんで、並べてあったの全種類買ってきたんです!!」
「なんだ、そうか…」
「当たり前じゃないですか!」
ザキくんと勲さんの漫才みたいなやり取りを見ていて小さく笑い、今度こそお礼を言おうとしたらまた障子が開いた。
「妃咲ァ…あり、近藤さんに山崎もいるんですかィ」
「沖田隊長!」
スタスタと部屋に入ってきた総悟は、枕元に座って何かを差し出した。
『これ…』
「…リンゴでさァ。形は悪ィが、味に変わりはないはずですぜィ?」
『総悟が剥いてくれたの?』
「…じゃなきゃこんなガタガタにはなりやせん」
プイとバツが悪そうにそっぽを向いた総悟の差し出したお皿を見ると、所々赤い皮の残った、決して形がいいとは言えない一口大に切られたのリンゴが何個かのっていた。
私はそのリンゴを摘まんで口に運び、ゆっくりと食べた。
『ありがとう、みんな…すごく嬉しい……!』
しばらくみんなとしゃべった後、ザキくんの買ってきてくれた薬を飲んで再び目を閉じて寝た。目が覚めたら、治ってるといいな…。