甘いお菓子にご用心
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『おっはよー!』
翌朝、妃咲は何事もなかったかのように食堂にやって来た。昨晩あの場にいなかった近藤さんは普通に「おお、妃咲ちゃんおはよう!」と挨拶していたが、俺と総悟は何だかよそよそしく「おはよう」「おはようごぜーやす」と挨拶した。
いつもと微妙に違う様子の俺たちを、妃咲は少し疑問に思ったようだったが、俺たちは気付かないふりをして朝食に箸を運んだ。
『あ、そうだ!これ…』
近藤さんの隣に座った妃咲は左手に持っていた紙袋をゴソゴソ漁って、ハンカチの被せられたバスケットを取り出した。
「何だコレ?」
『ふふ、ジャジャーン!』
盛大にハンカチが取り払われたバスケットの中身を見て、俺たちはあっと声をあげた。そう、中には所狭しとクッキーが詰め込まれていた。
「コレ…」
『あら、みんな今日が何の日か知らないの?』
「今日?」
「10月31日…」
「あ、もしかしてハロウィンですかィ?」
『ピーンポーン!さぁ、みんなもどうぞ』
どうやら妃咲はハロウィンを“菓子を配る日”と勘違いしているらしい。だがまぁ妃咲の手作りの菓子が食えるなら細かいことはどうでもいい!
他の隊士も食うのは何だか気に入らないが、ここで文句を言わずにあたたかく見守る俺…大人の余裕だ。さすが俺!
クク、と喉の奥で笑い、貰ったクッキーを一口食べる。美味い。さすが妃咲だ!もぐもぐとクッキーを頬張っていると、周りの奴らの動きが止まった。何だ?…ハハーン、あまりの美味さに驚いてんだな。ふはは!俺の妃咲が作ったんだ、美味いに決まってんだろうが!
「あ゙あ゙あ゙あ゙!」
「何だ!?」
急に叫び声をあげたかと思えば、全員ダッシュして食堂を出ていった。
『…もしかして私、失敗しちゃった?』
「いや、めちゃめちゃ美味かったぞ」
『本当!?よかった~!実はね、隠し味に…これ!』
「お!マヨネーズじゃねェか。さすが妃咲だ!」
残っていたクッキーを再び口に運び、妃咲と一緒に笑い合った。
“菓子を配る日”ではないが、こんなハロウィンがあってもいいかなぁと思った。
連載第十九話。
1日遅れのハロウィンです!しかしギャグwww
2008.11.1 春日愛紗