甘いお菓子にご用心
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「何やってんだ、おめーら」
人だかりから少し離れた場所から声をかけると、全員が謀ったように同じタイミングでビクッと反応した。
いや、そんなにビビんなくてもよくね?俺にバレたらまずいことでもやってんのか?
訝しげに隊士たちの顔を見回せば、隊士のひとりが「副長…」と呟いたのを皮切りに、全員が謝り出した。
「副長ォォ!スイマッセーン!」
「いや俺たちはただ興味本意でェェ!悪気は全くなくてェェェ!!」
「例え副長一筋だろうとも、見るくらいは自由じゃないっすかァァァ!」
「男のロマンっすよ!」
「夢奪わないでくださいィィ!」
「ハァ?何の事…」
いきなりの謝罪の嵐に、その場の状況が読み取れず疑問符を浮かべていると、「土方さん」と小声で言った総悟はチョイチョイと食堂の中を指差した。
戸のそばで片膝を付いていた総悟の隣に行き、30センチほど開けられた間から中を覗き込むと、そこには妃咲がいた。着物の上にエプロン姿で。
「…妃咲の奴、こんな時間に何やってんだ?」
「お菓子作りでさァ。見てくだせェ土方さん、妃咲が泡立て器で何か混ぜてるでしょう」
そう言われよくよく見てみると、妃咲の手には確かに泡立て器が握られ、もう一方の手には大きめのボウルが抱えられていた。
妃咲の周りに並べられた材料を見ても、十中八九菓子を作っているに違いない。でも何でこんな夜更けに?確か妃咲は明日休みのはずだろ、無理に今日する必要なんてないんじゃなかろうか。
「で、何でお前ら謝ったんだ?」
「へ?」
「妃咲見てただけなんだろ?謝る必要なんてないだろーが」
「副長…!」
いや、確かに俺の知らないところで妃咲(しかもエプロン姿の)を見られるなんて、ものすごい憤りを感じるようなことだ。だが今回は俺もちゃんと見ている。だから許す。というかなり単純な思考だが、可愛い妃咲が見れたのでよしとする。
「…妃咲は可愛いですねィ」
「そーだな、お前にはやらんぞ」
「譲ってもらおうなんて、考えてやせん。奪いますぜィ」
「…ふん、やってみろ」
ニヤリと笑った総悟に自信満々で答えてやったが、本当は不安でいっぱいだった。いかんいかん、絶対負けねェェ!