女は美を求める生き物
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「あのさぁ妃咲ちゃん」
『何でしょう?』
普通の朝食をとる俺たちの隣でじっと座っている妃咲に、我慢出来なくなった近藤さんが話しかけた。
「あのさ、何でダイエットなんてやろうと思ったの?」
ズズ、と味噌汁をすする近藤さんを見て、妃咲は目を見開いてワナワナ震えていた。俺たちは頭の上にクエスチョンマークを浮かべ、妃咲の次の言葉を待った。
『そ、そ、そんなの…』
立ち上がった妃咲は、ガタンと椅子を倒しながら後ずさった。どんだけ驚いてんだ?
『太っちゃったからに決まってるでしょーがぁぁぁぁぁ!』
妃咲が食堂中に響く声で叫んだので、そこら辺にいた全員の動きが止まった。総悟は持っていた箸を落とし、近藤さんは味噌汁を溢していた。
「アチッ!」
『わわ!大丈夫ですか勲さん!』
そこに置いてあったふきんで隊服を拭いた近藤さんは、気を取り直して妃咲に言った。
「えっと、何て…?」
『いや、だから太っちゃったんですって』
「どこら辺が?」
『お腹とか…』
妃咲のその言葉に、全員の視線が妃咲の腹部に注がれたが、どうも出ているようには見えない。妃咲は『ちょ、みんな見ないでよォォォ!』と両腕で腹を覆って叫んだ。
「全然太ってねーじゃねーか」
『男の人にはわからないのよ!』
「つーか妃咲はそれくらいの体型で普通でしょう。ガリガリな女よりよっぽど健康的でさァ」
『ダメよ!ヤバイのよ!つまめるもの、お腹の肉が!』
あわわ、と頭を抱えてよろめいた妃咲の顔は、ものすごく青ざめていた。
…そんなに深刻になることか?正直妃咲を見ていて「太っている」なんて感じたことはないし、むしろ「ちゃんと食ってんのか?」とよく思う程だ。女ってなァ思考回路がよくわかんねー。だが、不謹慎だとは思うが狼狽えている妃咲もすごく可愛いと思った。イカンイカン、真面目に聞いてやらねば。
「妃咲は今のままが一番いいだろ、俺はそう思う」
『…でも』
「それに俺ァ、妃咲が旨そうに飯食ってんの見るのが好きだ」
『トシくん…!』
「…ほら、これ食えよ」
そう言って俺は、マヨネーズをたっぷりかけた卵焼きを差し出した。
『うん……美味しいっ!』
目尻に少しの涙を浮かべながらパクリと卵焼きを食べた妃咲は、口元にマヨネーズをつけてニコリと微笑んだ。
「結局妃咲も土方さん依存症なんでさァ」
「うんうん、そうだよなァ。でもいいのか、総悟?」
「土方さんにゃあ負けやせんぜ。いつか奪取してみせまさァ」
「そーかそーか!がっはっは!」
連載第十八話。
結局バカップルオチ/(^o^)\
2008.10.11 春日愛紗