交通ルールを守ろう
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あ、トシくんトシくん!違反者発見!』
「よし、しょっぴくぞ」
さすがに仕事中にサボるわけにはいかない、と思った私たちは、一応真面目に見廻りをした。するとパトカーの目の前に2人乗りをしている原チャリを見つけた。原チャリの2人乗りは交通違反、なのでトシくんに渡された拡声器を使って止めようとした。
『そこの原付、止まりなさーい。2人乗りしてる原付、止まりなさーい』
「…この麗しい声は……!」
原チャリは速度もオーバーしていたので、私たちもパトカーを飛ばして追いかけていた。しかし原チャリの運転者は何かを呟いたかと思うと急にブレーキをかけた。
「ぎゃああああ!」
「うぉ!」
『ひぃぃ!』
原チャリの後ろに乗っていた(恐らく)少年は前方に吹っ飛び、道路をゴロゴロ転がっていた。原チャリにぶつかりそうになった私たちはトシくんのブレーキとハンドル捌きによって衝突は避けられたが、下手なジェットコースターよりもよっぽど怖い思いをした。
「何やってんだてめェェェ!」
トシくんがキレて外に飛び出したので、私もドアを開けて外に出た。すると原チャリを降りた男は一目散にこちらへ駆け寄ってきた。
「妃咲ちゃァァァん!」
『ぎ、銀ちゃん!?』
銀ちゃんはヘルメットを脱ぎ、両手を広げて走ってきたけど、さっきのトシくんのお説教やトシくんの嫌がることは絶対したくないという思いからサッと避けた。銀ちゃんはそのまま道路にスライディングをしていた。
「よし、よくやった妃咲」
『トシくんが嫌だと思うこと、したくなかったから…』
「妃咲…!」
『トシくん…!』
しばらくうっとりとトシくんの顔を眺めていたが、銀ちゃんの「いてて」という声で我に返った。
『ぎ、銀ちゃん!原付の2人乗りは禁止です!』
「えーそうなのー?」
『免許取りに行ったとき習ったでしょう!?』
「妃咲、こいつにそんなこと言ったってわかんねーよバカだから。とりあえず逮捕な、バカだから」
「何でだよォォォ!」
ガチャンと音を立てて銀ちゃんの両手に手錠がはめられるのを見ていたら、私は重大なことを思い出した。
『あ、新八くん!』
バッと新八くんが吹き飛んだ方向に目を向けると、新八くんは飛ばされた時のままの体勢で微動だにしていなかった。
『新八くんンンン!』
「あ、妃咲さ…ん?」
『よかった、生きてた…』
新八くんの元に走り寄って声をかけると、新八くんはゆっくりと体を起こした。そして割れたメガネでちらりとトシくんたちの方を見て、「またやってるよ…」と呟いた。
「手錠外せェェェ!」
「外すかボケェェェ!」
ポツーンと立ち尽くして2人のケンカを眺めていると、後ろからパトカーのサイレンと何かを叫ぶ声が聞こえてきた。
「そこの暴走犬、止まりなさい。止まらねーと打つぜ」
「ざけんな!このサディスト!」
「はい逮捕」
「何でだァァ!」
大型犬…というには大きすぎる犬と、それを乗りこなす少女。それを追いかけ、バズーカを構える真選組隊士……アレ?何かあの人たちこっちに突っ込んでこない?アレ?避ける気なくない?アレ……
『ぎゃあああ!』
見事定春くんにはねられた私は、トシくんのダイビングキャッチによって救われた。危うく「犬とぶつかって殉職」ってなるとこだった…!
「おいチャイナ娘!妃咲を危険にさらしてんじゃねーぞ!!」
「妃咲姉ゴメンアル!サディストが無実の罪を定春に着せて捕まえようとしたから前方不注意だったネ!」
『あ、私は大丈夫だよー』
「オイ、とりあえず逃げるぞ!」
「あ、ちょ、待て!まだ違反の手続きしてねェ…!」
「逃げろォォォ!」
「待てェェェ!」
「妃咲、助手席乗れ!」
『あ、うん!』
再び2人乗りをして逃げる銀ちゃんと新八くん、定春くんに乗って逃げる神楽ちゃん。そしてパトカーで追いかける私たち。
友達と遊んでるみたいで楽しくなって、私の顔は自然と笑顔になった。
連載第十七話。
前半、秋の交通安全運動に関係なくね?
2008.9.28 春日愛紗