オタクの何が悪い!
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俺はタバコをくわえた口がヒクヒクしているのを感じた。何でってそりゃ、見たくもねー子供向け(しかも少女向け)のアニメの再放送を延々と見ているからだ。チラリと横に目線を向ければ、うっとりした目付きでテレビを見る妃咲の姿。あぁ、可愛いなぁ……ってイカンイカン。意識が飛びそうになってた。大体今何時だ?
そう思って腕時計を見ると、何と午後10時。つまり約5時間程アニメ鑑賞会が行われていたのだ。何でだ、何でこんなずっと再放送してんだ!俺はその疑問を解決すべく、CMに入ったのかテレビから少し離れて一息ついた妃咲に聞いた。
「なぁ、これ何時までだ?」
『えっとぉー…夜中の12時まででござる!今宵は【魔法少女マリリン おさらい再放送スペシャル!】なのだ!』
「12時…!」
その言葉を聞いて俺は絶望した。あと2時間もあんのか!?何の拷問だこれは!
妃咲の勘違いというかすかな希望に賭け、新聞のテレビ欄をチェックしたが、待っていたのは妃咲の発言に間違いはないという事実だった。
しかし俺は別の希望を見つけた。それは翌日の早朝、つまり日曜日の朝早くにやっている子供向けアニメの枠だった!
妃咲がこれを見るつもりなら、早く寝た方がいいに決まってる。それに今やってるアニメは録画してあるみてーだし、もしかしたら解放されるかもしれない!
そう思った俺は、恐る恐る妃咲に話しかけた。
「あのー、日向氏?」
『何でござる?』
「ほら、ここ見てみ?」
『ん~?』
明日の朝アニメがあることを知らせる箇所を指差すと、妃咲はあっと声を上げて焦り始めた。
『あわばばばどうしよう!只今録画中につき新たな予約が出来ない!!日向妃咲、さながらアラバスタ編序盤の対クロコダイル時のルフィが如きピンチ!』
「…」
イカンイカン、イカンぞォォ土方十四郎!コイツは妃咲だ!誰が何と言おうと妃咲なんだ!そうだ、オタクだろーと何だろーと妃咲は妃咲。俺が惚れた妃咲に変わりはねーんだ。
「今録画してんのはまた今度見ることにして、明日の朝早起きしてこのアニメを見たらどうだ?」
俺がそう言うと、妃咲はうんうん唸るのをやめてパアッと笑顔になった。畜生、可愛い。
『ナイスアイディアでござる土方氏!それでは明日に備えて睡眠をとることにしよう』
「そうしろそうしろ!」
俺は妃咲の気が変わらねェ内に急いでテレビの電源を落とし、いそいそと布団を敷く妃咲の姿を見ていた。