オタクの何が悪い!
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「…妃咲、氏?」
『ん、何でござる土方氏!』
「…そ、その刀」
『ああこれはダメでござる。かなりのレア物でね~取り扱いには相当の注意を要するのだよ』
どうあっても妃咲(オタク)は刀を手放さない様子。いつもの妃咲なら笑顔で『いいよ!』って言ってくれるんだろうなぁ……あ、やべ涙出てきた。
俺が感傷に浸っていると、何かを決意したようにキッと顔をあげた総悟は妃咲に歩み寄った。そして…
「妃咲氏ィ~それはもしかして【美少女侍トモエ5000】の刀のレプリカじゃないのかな?かなり完成度が高いね~ちょっと見せてもらってもいいかな?」
俺と近藤さんは盛大に吹き出した。いや、吹き出さざるを得なかった。何たってあのサディスティック星の王子である総悟がオタク口調で妃咲に話しかけたから。全く予想だにしない展開に必死についていくも『わかるかね、沖田氏~』と言って笑顔で刀を総悟に渡す妃咲を見てかなり癒された。やっぱ妃咲は笑ってるのがいい。
鞘から刀を抜き、調べるように見ていた総悟だったが、しばらくしてため息をつき妃咲に返した。
「おい、どーだったんだ」
「何の変哲もねー刀でさァ。専門家に見てもらわねーことには、妖刀か否かわかりやせん」
「そうか…」
「でもさ、いーんじゃねーの?」
総悟の「収穫なし」との報告を受け、かなりがっかりした俺だったが、近藤さんはいつものように豪快に笑っていた。
「どんな中身になろーと妃咲ちゃんであることには変わりないんだし、しばらく様子を見よう。トシの時みたいに、自力で何とか出来るかもしれん」
「けどよ…」
「あんまり考え込むな、トシ。ハゲるぞ」
「ダメでさァ近藤さん、既に手遅れ……あっいけね、本音が」
「…総悟ォォォ!」
正直、近藤さんにそう言われて気が軽くなった。妖刀の呪い経験者は俺しかいねぇ、だから俺が何とかしねーと…と焦っていた。けど、そうだよな。俺たちが妃咲を信じてやんねーといけね…
「土方氏~!もうすぐ【魔法少女マリリン】の再放送が始まるナリ!一緒に観賞するでござる」
「え、あ、はい…」
うん、俺たちが信じてやんねーと。後ろでニヤついている総悟は無視だ、無視!
俺の腕をぐいぐい引っ張って自室に向かう妃咲に連れられ、俺はアニメ観賞会に参加したのだった…。