タイミングは大事
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『はい』
蛇口を閉めると、妃咲は俺に手拭きを差し出した。それを受け取って濡れた手を拭くと、妃咲は小さく笑って『ありがとう』と言った。
「気にすんな、俺がやりたくてやったことだから」
『…優しいんだね、トシくん』
微妙に顔を赤らめてそう言う妃咲、やべー好きだー。って、この状況…もしかして告白のチャ、チャンス…?フラれるのは怖いけど、言っちまいたいという思いもある。どうする、俺!
「妃咲…」
『あ、』
男なら腹くくれ。と決意をして切り出したのにも関わらず、妃咲が何かに気付いたようで話が続けられなくなった。このやり場のない想いはどーしたらよいのだろうか!
『トシくん、ちょっと来て!』
「え、あ…オイ!」
妃咲が突然俺の手を取って歩き出した。久々に握った妃咲の手は柔らかくて……じゃなくて!いきなりの出来事に驚いた俺はなすすべもなく妃咲に引っ張られていった。
『確か、ここに…』
妃咲に引っ張られてついたのは妃咲の部屋。俺の手を離した妃咲は机の引き出しをガチャガチャ漁っていた。何事だ?
『あったあった!』
「何が…」
目的の物を見付けて嬉しそうに微笑む妃咲は、再び俺の手を取った。だ、ダメだ!ドキドキするじゃねェかあああ!!
心臓を労って手を離そうかとも思ったが、妃咲が取り出したものを見てやめた。
「ハンドクリーム…」
『トシくんの手が荒れちゃったら嫌だもん』
そう言ってニコニコ笑って俺の手に丁寧にクリームを塗る妃咲を、俺は黙って見つめていた。
『はい、できた!』
「お、サンキュ」
俺が礼を言ったら、妃咲は何を思ったかハッとして恐る恐るこう言った。
『あ、もしかして余計なお世話だった…?』
「ハァ?んなわけねェだろ」
『そっか、ならよかった…』
「妃咲のそーいうよく気が付くところ、俺ァ好きだぜ?」
『えへへ、って……好き…?』
「…え?」
『え?』
「エェエエェ!!?」
自分でも何故あんなことをナチュラルに言えたのかわからんが、今すべきことはただひとつ!
『あぁっ、トシくん!?』
俺は脱兎の如く妃咲の部屋から逃げ出した。
連載第二話。
とうとう言っちゃいました。な、長かった…!(引っ張ったのお前!!)
2008.5.10 愛紗